テーマ:サッカーあれこれ(19778)
カテゴリ:サッカー
以前、職場で知的障害の患者さんと接する機会があった。
私より10歳以上も年上だったが 私を「お兄さん」といって慕ってくれた。 喜怒哀楽が非常に激しく、ときには接し方に難しさを感じた。 せっかく就職が決まっても、1日で辞めてしまうので 「しっかりしてよ」 なんていうと、必ずフテ腐れてしまうのだ。 結局、家庭の事情で遠くに引っ越してしまい もう長いこと会っていない。 そんなこともあり、知的障害について 少しでも理解しようと考えていた頃の話。 2002年8月15日、私は横浜市にある 三ツ沢公園陸上競技場に駆けつけた。 Jリーグが開催される三ツ沢競技場の隣にある 一般的な陸上競技場である。 そこでキックオフされたのは日本代表対マリ代表。 これは、れっきとしたW杯の試合だった。 その年行われたW杯といえば 日本が初めて自国開催したFIFA大会だった。 トルシエ率いる日本代表はベスト16に入り 日本中が熱狂の渦に巻き込まれた。 ブラジルの優勝で幕を閉じた、その大会から約1ヵ月後 もうひとつのW杯が日本で開幕した。 その名も、2002INAS-FIDサッカー世界選手権。 いわゆる、知的障害者のサッカー大会である。 インターネットを中心に、もうひとつのW杯を 盛り上げようと、数多くのサポーターが呼びかけた。 ニュース番組でも取り上げられていた。 入場は無料。しかも、同じ障害を持つ方々が手作りした メモ帳やキーホルダーが記念品として配られた。 わずかだが、募金というカタチでお礼をした。 まだ大事にとってあるよ。 思ったより多くのサポーターが来場していたが 日本代表一色になっていないのが良いところ。 書類に不備があり、失格が決まっていたマリ代表に対しても 健闘を祈って国旗を振るボランティアの姿も。 試合は一進一退の好ゲームとなったが マリ代表が1点を奪い、1-0で勝利。 日本代表も、最後まで諦めずに戦った。 初勝利に大喜びのマリ代表の選手達。 悔しさを隠さず、サポーターに頭を下げる日本代表の選手達。 試合が終われば、選手もサポーターも国境を越えて 健闘を讃え合い、大きな拍手を送る。 感動的な光景だった。 試合前、知的障害者がどんなプレーを見せるのか 正直なところ、それは二の次だと思っていた。 しかし、目の前で繰り広げられたのは 組織的で、熱意溢れるプレーの連続。 何よりも感じたのは、ひたむきさだった。 その後日本代表は予選突破を逃し、9~12位決定リーグに。 あるニュースで試合前、ロッカールームの光景が放送された。 激励に訪れたのは、当時東京ヴェルディに所属していた 北沢豪である。選手達の気持ちが締まらないのを察した北沢は 「これ、遊びじゃないよ。君たちの胸に付いてるの 何だかわかってるよね?」 北沢は、障害者だからといって特別扱いしなかった。 日の丸を付けている以上、日本代表。 代表に入れなかった選手も沢山いるのだ。 日の丸を見つめた選手達の顔色が変わった。 その後、メキシコ代表、韓国代表を撃破。 しかし、最後は南アフリカに破れ10位で大会を終えた。 最後の試合が終わり、監督を務めた 大橋浩司監督(現・日本女子代表監督)は記者会見で 人目をはばからずに泣いた。 「選手達は本当に良くやってくれた。感謝したい。 結果が伴わなかったのは、全て私の責任です」 FIFA大会ほど華やかでなかったものの 多くの人が情熱を注いだ大会は幕を閉じた。 そして、4年後の今年。 このINAS-FIDサッカー世界選手権が 8月下旬からドイツで開催される。 メディアで、どれだけ取り上げられるのか 今現在想像も出来ないが 我が日本代表には大いに暴れてきてほしい。 日本の開幕戦は8月29日。対戦相手は なんと開催国ドイツだ。相手にとって不足なし。 詳細はコチラへ↓ http://jhfa.jpn.org/index.htm 日本ハンディキャップサッカー連盟 JHFA 今回の代表に選出されている背番号2の宮原選手。 前回大会に続く出場となりそうだ。あのときの三ツ沢には 彼が勤務するビッグカメラの社員の方々が あの赤いハッピを着て大勢駆けつけていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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教えていただきありがとうございます♪
(2006年08月12日 07時52分38秒)
今回は、前回を上回る成績を残して欲しいものです
メディアでも、もっと取り上げて欲しいもんですね。 (2006年08月12日 19時23分52秒)
素敵な日記をありがとうございます。
知的障害の中でも、発達障害は アイコンタクトや、パスすること、先を読んで動くことなど サッカーで必要な要素を苦手とするそうです。 それでも、少しずつ練習を重ねることで、チームプレイになっていくようですね。 素晴らしいプレイをしてきてほしいですね。 それにしても、パラリンピックのメディアで取り上げられ方の少なさ こうした大会がの知名度の低さ・・・ 考えなければいけないですね。 (2006年08月12日 20時59分56秒)
★Satchan7さん
4年前の試合観戦のとき サッカーに興味の無い友人を連れていたのですが 試合中は、たまらず声を出し 試合後は大きな拍手を送っていました。 やはり、彼等のプレーは大きく 心を動かすものだったのでしょう。 (2006年08月13日 09時06分14秒)
★森野コルリさん
なるほど、必要な要素を苦手としていても あそこまで出来る彼等は本当にスゴイんですね。 キャンプにも長い時間を費やしたそうです。 成果が出ることを祈ります。 今のところ、あまり話題に出ませんね。 多くの人々に希望を与えるイベントだと 思うのですが・・・・。 (2006年08月13日 09時12分24秒) |
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