天皇杯決勝観戦記。
元旦は7時前に目が覚めたので、自宅のベランダから初日の出を拝むことにした。海や山から眺める絶景には遠く及ばない住宅街からの日の出だが、日本晴れに恵まれたおかげで爽快なものだった。 雑煮を食べ、午前9時に家を出る。目指すは国立競技場。鹿島アントラーズ対サンフレッチェ広島の天皇杯決勝は午後2時キックオフだが、前座で全日本女子選手権の決勝が10時から行われる。対戦カードは、東京ヴェルディの妹分である日テレ・ベレーザ対TASAKIペルーレ。当然、ベレーザを応援。 まだ空席が目立つ国立競技場に到着。人数こそ少ないが、ベレーザにもペルーレにも心強いサポーターが後押ししている。 試合は、序盤ペルーレがチャンスを作るがその後はベレーザのペース。細かいテクニックと小気味良いパスワークで翻弄。何度も決定機を迎えるが最後のシュートが枠に飛ばない。ようやく先制点が決まったのは前半32分。左サイドから切れ込んだ大野がゴール前へ折り返すと中央から澤が合わせてゴール。後半にも交代出場した荒川がドリブルを仕掛けしっかりとゴールへ流し込み追加点。試合を決めた。 ベレーザはカップ戦、リーグ戦を合わせて今季4冠という偉業を達成。まさしく黄金期である。次々と人が飛び出し、ボールを回して構築していく攻めは伝統的なヴェルディのサッカー、いやヨミウリのサッカー。オールド・ファンを喜ばせるには充分だった。 でも女子でしょ・・・・なんて先入観がある人には是非一度見て欲しい魅力的なサッカーだ。(1月5日深夜日本テレビ系列で録画放送) 表彰式の後、ベレーザのサポーターと同じ側に陣取る大勢のアントラーズのサポーターが快く祝福。ペルーレ側のサンフレッチェのサポーターも健闘を称えていた。実に清々しい光景だった。 次はメインの天皇杯決勝。ここからはフットサルのチームメイトと観戦。国歌独唱は演歌歌手の長山洋子。やっぱり上手い。 サンフレッチェのゴール裏に座り、ひたすら勝利を願う。J2降格という憂き目に至ったのに、ここまで勝ち進んだのだ。本当の実力と、最後の意地を見せるには最高の舞台。Jリーグ・チャンピオンのアントラーズには是非「空気読んでください」昨年の流行語のようにならなければ良いが・・・・。 しかしサンフレッチェは、ここまで大車輪の活躍を見せた期待の新星・柏木が累積警告で出場停止。彼一人でここまで勝てたとは思えないがその存在感は攻守に渡って大きい。マスターピースを失った痛手は、試合を通じて如実に晒されることになる。 開始8分、アントラーズが右サイドを崩す。角度の無い所から内田がネットに突き刺して先制点。 中盤でボールを保持できない、前線の動き出しが少ない。やはり柏木不在が響いているのは明らかだが角度を変えて見ればアントラーズが相手の良さを徹底的に押さえ込んでいるのだ。 プレスは前線から果敢に行い、クロスや裏を狙うハイボールは屈強なセンターバックが完全に断ち切る。どこか面白みに欠けたとしても、カップ戦の決勝の戦い方を監督も選手も明瞭に理解している。これが強さだ。 1-0という現実的なスコアで終了するのかと思えば人数をかけて攻め込んできたサンフレッチェの隙を突き高速で反撃。試合終了間際には、交代で入ったダニーロが柳沢の丁寧で的確なパスから技巧的なシュート。これもネットに突き刺さり追加点。相手の息の根を止める。 サンフレッチェを応援していたので残念な結果。J2で戦う今年、何人かの主力選手がJ1クラブから引き抜かれるかもしれないが、ユースから育てた若手には逸材も多い。3年後、5年後を見据えたときJ2で経験値を稼いだことが要因となって大きな結果に繋がる可能性も秘めている。 試合終了後は靖国神社で初詣。日没間際だというのに、参道は大混雑。20代から30代の若い人が目立つ。存在の意義や本質も理解しようとしない人々と違い若い世代からの支持が広がっているように見えた。 お神酒を振舞って頂き、露店で牛串を食べる。少しだけ日が延びたことを実感し、1年の計を思う。