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蓮 その2



 この間もカサカサに枯れた蓮を筒瓦にいけて(こういう枯れ果てたのもいけてといっていいのか・・・?)ここに紹介しましたが、今日紹介するのは玄関で平瓦にいけた蓮です。
 瓦といえば大抵は唐草などの紋様のある屋根を葺いたときの最前列になる軒先瓦が人気のようですが、古い瓦でそういうものは人気があるぶん値も高く自分などの手には負えません。ところが軒先以外の平瓦はまだ値も安く、なんでもないただの焼けた土の板だという点でかえって好みにあう点もあり嬉しいものです。(いや、そうは言っても飛鳥時代の素朴な唐草紋の瓦のかけらでもあったらそりゃ飛びつきますけどね。。。笑)
 奈良公園などを歩いていると点々と古い布目瓦のほんの数センチほどになった小さなかけらが目に留まります。かつての都の中心であり焼け落ちた伽藍も多々あったことでしょう。こういうものを拾って古い歴史に思いを馳せ大切にしていたのですが、ある時縁あって完形のこの瓦が手に入って何とも嬉しかったのです。
 無紋の平瓦は時代や生産および消費の遺構も特定しにくいので考古資料としてもそう尊ばれることはなく、また制作過程を示す布目と叩き目があるばかりで軒先瓦のような優美な紋様を欠くために鑑賞の方からもそれほど評価されないで、長岡京のものだということで時代は案外古いのですがこの瓦が自分の手元に来たのでしょう。
 このページで紹介するのはいつもガラクタみたいなものばかりですが、今日は珍しく「少しはマシなもの」です。でも時代も世間的な評価も超えてうつくしさは同じなのだ、と信じています。
 大きなこの瓦に残りの蓮を短く切らないままでざんぐりと盛ってみました。かたちがどうであれ瓦と蓮というのは何ともしっくり調子が合うものだという気がします。これだけで何とも言えない佛教的情趣に心を誘われるのは不思議なくらいです。
 蓮はこの前たくさんいただいて帰った山城のものですが写真中央の種が全て入っている大きな蓮だけは少し前に別の友人からいただいた奈良の蓮です。あらためて蓮の御縁に感謝します。


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