絵本合法衢
明治座で歌舞伎を久しぶりに鑑賞「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)」「冷酷な二人の悪人を主人公に据えて悪の魅力を存分に描く、四世鶴屋南北ならではの仇討狂言の傑作」と紹介されていたけど、悪役が主人公の舞台でした演ずるのは片岡孝太郎で、二人の悪役を一人が演じます一人で悪の限りをつくすわけだ 笑話の内容はだいたいな理解で適当に見流していたのですけど悪役が これぞ悪党! と言わんばかりに見得を切る場面では、観客からはたびたび拍手が湧いたちょっとコミカルな要素も入るので、リアルな悪役とは違いますよ昔の映画「時計じかけのオレンジ」の悪役主人公も、よりきつめのキャラではあったがコミカルな要素があるにはあったな 昔、リバイバル放映を映画館でしていたのだけど悪事を働く場面では、観客席から笑い声がけっこう漏れ聞こえたそんなことを連想しながら見ていました今回の歌舞伎の悪役は、最後には仇討ちに殺られてしまうバタッと頭をこちらに向けて大の字に倒れて終幕しかし、しばらくすると悪役はムクっと起き上がりくるりとこちらに向きなおして端坐し、頭を垂れ、観客に行儀のよい挨拶をしはじめるこの転調ぶりが妙に可笑しくてさっきまで悪の限りを尽くしていたのに、急にかしこまるものだからそれにしても悪人ばかりが出てくる歌舞伎だったな正直者は馬鹿を見るばかりで、どうしたものやら、と思っていたけど最後はやはりまっとうな終わり方で観客さんもそれなりに満足ではなかったのかなけどこの歌舞伎狂言は悪の魅力を主題にされたもの悪の魅力 悪の美学 とはなんでしょうね街で咲いていた紫の花をいくつか