コタツの上の豆渡しゲーム
ふたつの皿とお箸を用意する。ひとつのお皿にあずきなどの豆を入れる。それをもう一つのお皿に箸で移すだけなのだ。それを何十秒でできるか。幼い頃、コタツの上でよくやったものだ。兄は手先が器用だった。妹は豆の数を減らすというハンディーがつく。すると、いつもビリが私なのだ。ああ。うん、時間を計るといっても、ストップウォッチなどない。目覚まし時計での計測だ。うん、いい加減ということだ。いつもビリ、いい加減な計測、それなのにあきずにやった。「ねえねえ、豆運びゲームをやろうよ」母や兄に、私はむずかったらしい。不器用な私の相手をするのに、兄はすぐに飽きた。うん、母と妹が、私の相手となる。そうそう、一粒の豆が箸でなかなかつかめない。一粒、それだけで時間的に妹に負けるということがあった。でも、冬のコタツの上の遊びということで懐かしく思い出す。「おまえはいつまでも箸の使い方がうまくならないね」ある宴会の席で、母から言われてどきっとしてあの「豆つまみゲーム」を思い出した。ふふふ、今なら、もっと上手にやれるだろうか。うん、この際、はっきりと言っておこう。「自信ないや」