2014/07/09(水)18:43
アリソン・ケイト 『嘘つきな唇』
嘘つきな唇 (ランダムハウス講談社文庫) アリソン・ケイト
≪内容紹介より≫
身分を偽り、姿を変え、命をかけて祖国を守るエリート諜報員集団SG-5。メンバーの中で最も寡黙な男、クリスチャン・ベインは新たな任務を前に苦悩していた。とある犯罪組織に捕らわれた人質の救出。通常ならばそれほど困難を伴う任務ではない。だが今回の相手は、かつて彼を瀕死の目にあわせた国際犯罪組織スペクトラ。しかも作戦上、敵方の美人秘書を誘惑しなければならず…。超セクシーなSG-5シリーズ第1弾。
退役軍人のスミッソンが統括するスミッソン・グループに所属する
5人のメンバー(だからSG-5)を、一人ずつ主人公に据えたシリーズ。
当初は5作でシリーズ完結だったのが、とっても人気があったため
新しく入ったメンバーを主役にして続編が数作でているくらい人気があるのだそうです。
著者はハーレクインでは濃厚と言われているBlazeというレーベルで活躍されているようでして、
この作品でもそういうシーンが多いです。
あらあら、そんなにがっつかないのよー、と言う感じ。
それも、女性がかなりガツガツしている感が否めません。
日本に比べてはるかにその手のことに開放的、自由なお国柄なのでしょうが
ここまで女性が直ぐに欲すると、ちょっとちょっと、
もう少し慎みってもんがあってもいいんじゃないのー、と思ってしまいます。
対して、今回任務で他人に成りすましているヒーローのクリスチャンは、
過去の任務中、女性に裏切られ、生きること、正気を保つことすら難しいほど
過酷な状況下におかれたことから、
簡単にはヒロインを信じることが出来ずに、自問自答を繰り返す
(髪をグシャグシャかきむしり、あ゛―――――って叫びだしたいくらいじゃないかな)。
ところが、自分が成りすましている男は、女性と見れば見境なく手を出す男で、
任務に徹するためには、さっさとヒロインを抱いちゃったほうがいい。
だけどクリスチャンとしては、他人に成りすましたままそんなことはしたくない。
ましてや、初めはただ欲情していただけのヒロインが、
次第に愛を欲するようになっているのが目に見えてわかるし、
しかも、認めたくはないが、自分もヒロインに魅かれている。
真面目なうえに、心に傷を負っている寡黙な男。
ヒーローがこういうタイプの男性でなければ、成り立たないお話ですね。
女好きだけど、任務だから我慢だ我慢!
なんてタイプの男子絵だと、話全体がすごーく薄っぺらい陳腐な感じがすると思う。「俺様についてこい!」みたいなタイプも良いですが、クリスチャンみたいなタイプも好き。
それから、ハンク・スミッソンの存在が大きい。
彼が何の為にSG-5を立ち上げたのか、いまいち明確ではないけれど
彼が亡き妻に思いを馳せ、SG-5メンバーを思いやるところがなかったら、
400頁以上あっても、特になにもないエロい本で終わりかねかったような気がします。
それから、これまで読んだ数少ないロマンス小説と比べ
登場人物のルックス表現が不足しているように思います。
これまで読んだ本では、髪の色・質・スタイル、身長、体格、目の色、癖etc.
そういったものが繰り返しでてくるので、キャラクターを容易にイメージできるのですが、
このシリーズはその辺の押しが弱いです。
って、何だかんだ言って、続きも読んでるんです、今(^^;
・・・だって図書館で5冊揃ってるんだもん。
じゃ、文句言うなって。