
異邦人 (PHP文芸文庫) [ 原田 マハ ]
<内容紹介より>
「美」は魔物ー。たかむら画廊の青年専務・篁一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長逗留していた。妊婦としての生活に鬱々とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗画廊で、一枚の絵に心を奪われる。強い磁力を放つその絵の作者は、まだ無名の若き女性画家だったのだが…。彼女の才能と「美」に翻弄される人々の隆盛と凋落を艶やかに描く、著者新境地の衝撃作。
いつだったかWOWOWのドラマで観ました。
一気見をした記憶ですが、連続ドラマだったようなので勘違いかな?
絵画を題材にし、綺麗で静か、何かが潜んでいるヒタヒタと忍び寄るような怖さを感じながら観ました。
観た後に原作は原田マハさんと知りました。
彼女の絵画小説はいくつか読みましたが、私が読んだいずれとも印象が異なり
逆にそれがとても印象に残った感じです。
そのうちに読もうと思いつつ、なんとなく後回しになっていました。
読んでいる間、ずっとドラマの情景が頭に浮かんでいました。
それくらい映像が印象的だったということかと思います。
3.11後の東京と京都を舞台にして、2012年から連載されたそう。
著者の作品には3.11や9.11を絡めた作品がいくつもあります。
忘れていたけれど、確かにあの頃の東京はこんな感じだったかな。
タイトルの「異邦人(いりびと)」は、ドラマよりも小説の方がより強く感じました。
いりびと、よそ者を受け入れない。
でも顔のきく人に受け入れられたら、あらゆるところで扉が簡単に開く。
「ぶぶ漬けでもどうどすか?」
その言葉の真意を小学校の時だったかな、学校で習ったことを思い出します。
表面はにっこりして受け入れているようだけれど本音は違う。
それも根っこは同じことなのかな。
絡み合った男女の仲、才能ある者への嫉妬、
アートへの飽くなき情熱故にどこまでも静かに熱く我を通す。
青い炎のような一冊でした。

連続ドラマW いりびとー異邦人ー DVD-BOX [ 高畑充希 ]