
忘れものは絵本の中に (実業之日本社文庫) [ 有間 カオル ]
<内容紹介より>
繁華街の片隅に、「絵本Bar クレヨン」はある。亡くなった祖父が託したという本を求め、青柳由良は店へ通うことに。バーの客は過去に大切なものを置き忘れた大人ばかり。飼い猫との思い出に浸る男、実母と確執のあるOL、息子に過干渉な母親、妻の介護に追われた夫…名作絵本を手に、彼らは心の迷宮に足を踏み入れる。落涙必至、珠玉の物語!
多分、相当好みが割れるのではないかと思います。
タイトルと表紙からはふんわり心温まるファンタジーを予想していました。
先の内容紹介よりも出版社からの内容紹介だと、より強くそう感じます。
が、各話の発するパワーがあまりにも違いすぎて、かなりヘビーな話もありました。
一話目は予想通りファンタジー要素が強い。
しかし続く第二話がキツイ。
一番読むのが辛かった。
かなり毒を含んだ登場人物たちが出てきて、途中で胃がむかむかしてきて、
これが続くのなら読むのを断念しようかと思いました。
いわゆる毒親と毒妹です。
本人は悪気のない良かれと思って行動している毒親。
それに対して言い返せない長女。
最終的に長女は自分の思う道を進みますが、本当にイライラむかむかして気持ち悪くなりました。
ここでちょっと告白しますと、私も娘からは「ママも結構な毒親なんだからさー」と言われます。
ええ、そうなのだと思います。
娘からは過保護と言われますが、年頃の娘を持てば当然でしょうという範囲の心配性です。
と言うところがもう毒親なのかもしれませんが
当事者同士でへらへら笑いながらそんな話をする程度の毒です。
まあそんな心配性の私を娘たちは上手く使っているくらいですし、娘は好き勝手やっています。
そんな私が読んでも本当に腹立たしく再読は絶対しない。
第三話もなかなかの毒親が出てきて、またか・・・と思いました。
まあこちらも徐々に息子離れが出来て生きがいを見つけるのですが、途中まで読むのが辛かった。
どの話も辛い状況から立ち直り前向きになる再生の物語で、
四話、エピローグと切ないけれど温かく締めくくられる。
それでも全体的な印象は毒キャラに染められてしまったようで
思い出すとまだ胃の辺りが重くなります。