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キャンプのスタッフで、 それこそ年の差は親子ほどちがうけど気の合う未来から 数ヶ月ぶりに電話がかかってきた。 元気そうな声にホッとし、 それから連絡が取れなかったことに対して、 小言の一つ、二つを口にしながらも安堵からか、声が弾む。 21歳の彼は、自立していたのだけれど、 収入の魅力もあってだろうが、夜の仕事に就いていた。 親元へ戻る気はないのか、 今は辞めてしまったけれど有名進学校に通っていた彼、 もう一度大学を目指す気はないのかと、 親ばかな私が意見をしても笑ってかわすだけだった。 +++++ キャンプでの手伝いを始めてから2年目の夏。 私は、初参加時に茶髪でピアスだった未来を疎んじていた。 彼が私に同行すると知り、ほかの子と交代を頼もうかと 思うくらいがっかりした。 ところが彼の働きぶりに好感が持てたので、 いろいろと話をしているうちに、すっかり意気投合した。 そして、今年はピアスをはずしてきた理由を話してくれた。 昨年、未来は穏やかで、子どもの指導に熱心な安藤先生と同行した。 安藤先生は、当時金髪に近い茶髪で人目を引き、 ほかの大人たちからヒンシュクだった未来にも普通に接してくれた。 それどころか「未来さんはどう思いますか」と丁寧に話しかけ、 尊重してくれた。 「未来さんって呼ばれたこと」それが彼の頑なな心の氷を溶かした。 未来は大感激して、キャンプから戻ると猛勉強した。 「安藤先生のような小学校教師になりたい。」 担任とけんかして高校を辞めてしまった少年が、 安藤先生の心に触れ、何も指図されなくても、感化されたのだった。 未来の子どもたちへの態度もそれまでの遊び半分からガラっと変わった。 翌年、未来は大検に合格した。 けれども、親元を再び出て、未来は自活の道を選んだ。 そんな彼と音信が途絶え、仲間の誰とも連絡を取っていないと知って キャンプのスタッフは気をもんでいたのだった。 「引越しをして、仕事も変わりました。」 「携帯もかわったので、知らせようと思って」明るい声にヤレヤレ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
December 30, 2005 01:17:54 PM
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