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カテゴリ:歌舞伎・古典芸能
六月、染五郎さんちの連獅子は書いたのに
極付幡随長兵衛(ばんずいちょうべえ)忘れてました。 舞台は「公平法問諍」というお芝居をしているところから はじまり、それを邪魔する悪い人を長兵衛が諌めて事を収め、 それをその悪い人の親分である水野十郎左衛門という人が、 メンツをつぶされたと、長兵衛を呼び出してだまし討ちにする と、言ってしまえば身もフタもないお話ですが、 お互いの立場やプライド、時代背景を踏まえてみると 登場人物の心理が生き生きと描かれていて、なかなか 見応えのある作品です。 長兵衛を気遣う女房の中村芝翫さんや健気な子役の坊や、 座っても、立っても、お辞儀の角度も相変わらず美しい 染様などが、見どころたくさんありましたし、 長兵衛の子分が毎年浅草で見ていて親しみのある亀鶴さんや オメッティなのもうれしいしね。 この劇中劇で面白かったのが御台柏の前の福助さんで、 乱暴者たちの出現に皆がおびえたり、平伏したり 右往左往しているのに「こんな奴らがなんなのよ!」的に ひとりだけ怖がっていなくて、むしろ反抗的。 それも、大騒ぎの中で目立たぬ程度に抑えているところが 荒くれ者が横行していた時代に生きていた人のリアルを 感じられるところがワタシ的にツボでした。 そして打たれると承知で出かけて行った水野邸。 もうバレバレなのにもてなすフリをする水野方に 長兵衛さんったら、堂々男らしいったらありゃしない。 そして、お酒をこぼされたことを理由にお風呂を勧められ その湯殿で次々と襲いかかる水野の手のもの。 長兵衛はこれを右へ左へとやっつけて、御大水野の登場! 相手に取って不足がねえから、綺麗に命を上げまする。 殺されるのを合点で来るのはこれまで町奴で、 男を売った長兵衛が命惜しむといわれては、 末代までの名折ゆえ、熨斗を附けて進ぜるから、 度胸の据わったこの胸をすっぱりと突かっせえ 新橋で観た鬼平も良かったけど、やっぱりこれが極めつけだ この胸のすく台詞が決まること。 播磨屋! 水野役の仁左衛門さん。いつもはウットリなのに 今回ばかりは素敵に見えない。ま、仕方ないか… そして、梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう) 髪結新三は、初めてなので楽しみだったけど この作品の良さがわからなかったのです。 何回か観てるうちにいつか、わかると思うけど。 歌舞伎ってそういうところがいいな。 そのうち下座や踊りの違いがわかる女になる予定。 髪結い幸四郎さんが人が自分を頼ってくれた福助さんをだまし、 その恋人を拉致監禁し、救おうとした親分にひどいことをするのが もう、いちいち納得できない。 チョイ悪な染様はいつもと違って新鮮だったけど その後、大家さんの彌十郎さんが登場し、 この大家がビックリするくらい因業親爺で、口アングリ! なんだけど、結果的に新三を懲らしめてくれるのでスッキリ するにはするんだけどね。 なんかトラウマになりそうなくらい彌十郎さんがインパクトあり。 そうそう、この中で松本錦成君が紙屋丁稚長松で部屋子披露があり それは清々しい嬉しい出来事でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
September 6, 2009 04:42:47 AM
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