目差すべきは・・・
義弟が休みを利用して、義母に会いに来ると言い出したので、悪いけど、その日は姑と義弟が軽く飲食できる準備だけして、逃げるに限る。この前もちょうど予定の詰まった日で、そんな感じで手を抜けた。これが2度目の自由になれるチャンス。義弟を利用してやる! というか、会っても文句や不満ばかりをぶつけてしまいそうで、そんな自分が嫌だし会っても長男の留守をあずかる嫁として義姉をして、なんだかんだもてなさねばならず、心底疲れるだけだし。ダンナにはそう伝えて義弟にもやんわり伝えてもらって、そのうえで、彼が到着する前に家を出た。夕ご飯の支度で戻るまでの数時間、私の好きに動ける自由を手にした。一番観たかった映画が、残念ながら希望の場所でまだ上映してないので2番目に気になってた作品を観に。【楽天ブックスならいつでも送料無料】あなたを抱きしめる日まで [ マーティン・シックススミス ]穴場のシアターは、平日の昼間ってこともあって、ほぼ高齢者。こんな私が最年少に見えるくらい違和感のある空間で、前列目ど真ん中ふかふかの真っ赤な椅子に陣取って、いざ、鑑賞!映画もドラマもどっちかっていうと米国より英国の醸し出す色が好みで主演のジュディ・デンチは、かなり好きな女優さん。我が家の同年代の老婆にも、爪のアカ煎じて飲ませたいと思うくらい素敵で知的で、おまけに愛らしい。同じ老いるならこんな風に年を重ねたい、と強く思う。同作では、50年前にはなれ離れになった息子を想い続ける素朴で信心深い田舎のお婆ちゃん役。いつもの颯爽としたイメージとはかけ離れた役を、あったかい眼差しでチャーミングに演じてる。実話がもととあって、展開がどんな流れになろうとも変えられない事実だから、物語の結末には何とも言い難い想いが残る。個人的にはスッキリはしない。理解し難い部分が多々あるのも、私自身クリスチャンじゃないし、子を産んだ経験もないし親になったこともないし、日本人だから、かもしれない。内容には共感できるものは、残念ながらあまりなかったが。名女優の新たな魅力を充分に見届けることができ、美しい英国のちょっと湿った風景が何よりも心に、潤いをくれた。脇を固める役者さんもドラマや映画で観たことのある人が、出てきたりもして、そこは飽きなかった。ただ、椅子があまりにも快適すぎて、出かける直前に飲んだ蕁麻疹の薬のせいと日々蓄積した介護疲れもあり、一瞬意識が飛んでしまった。ま、大したシーンじゃなかった、と思うことにする。映画を観終わって、時間つぶしに入った喫茶店もこれまた昭和で止まってて。ウン10年前のお嬢さんグループや、仁丹の香りのしそうな常連風の老紳士品のいい高齢者に囲まれて、減塩対策ばっちりな胃に優しいランチプレートを食す。なんでもない業務用のアイスクリームのおいしかったこと! 疲れてるなー、私帰りに最近治療で通ってる整形外科で、マイクロウェーヴの温熱に癒される。ここもお爺さんお婆さんだらけ。でも聞き耳たてたくなるほど、会話が楽しく、みんなかわいい。ほっと一息、疲れをとって家に着く。うまい具合に、義弟が帰った10分後。大好きな次男に一日かまってもらい、独り占めできた満足からか義母の顔は、珍しく晴れやかだった。そう、その笑顔だ。今我が家に足りないものは。だから早く治癒する努力をして、私達を楽にしてくれ。次の日。義弟が来た翌日は決まって、当日いいとこ見せようと張り切りすぎる彼女は、反動でわがままになり、挙げ句疲れて抜け殻になる。そして再び、ダンナに叱られ、私の雷が落ちる。あ゛゛~~~、昨日の豊かな時間が台無し。わずか一日にして、現実に戻される。★ ★ ★ ★ ★今日のひとこと。「今年はいつになったら帰郷できるんだろう。5月に帰るつもりがこんな事に」