星になった。
新年からの体調不良で、先週はそれぞれの科で精密検査の結果を聞いたり再診に行ったりで、毎日病院や処方箋を巡ってた。それらもやっとひと区切り。少し休める・・・と思った矢先、仕事の依頼が。ずっと休みを貰ってたので、これが私の『仕事初め』だ。仕事量にギャラが見合わないのだけれど。何事も視野の狭い経験の少ない私には学びが多く、この仕事で得たモノはお金で手に入らない。与えられたチャンスに感謝して、この身の肥やしとしたい。今日も鈍ってた心と体をフル回転させ、締め切り目指して突っ走り中♪(の休憩時間)******いとこのK兄ちゃんが亡くなった。現場編集者を貫いた人生。大手を退職してこの十年くらいは、フリーで大好きな本作りに励んでいたようだ。私はチャラい分野の編集者の時間が長かったけど、彼は硬派で読んで価値のある書籍一筋だった。だいぶ年が離れているので、子供の頃親族の集まりで顔を合わせる以外、個人的な付き合いはなかった。それでもK兄ちゃんとその兄のM兄ちゃんがギター抱えてハモって、フォークソングを次々唄っていたのを幼い私が眺めてたシーン、今も鮮明に覚えてる。井上陽水が多めで伊勢正三南こうせつ吉田拓郎あたりを、ふたりすごく真面目な顔して唄ってたんだよなぁ。そのお蔭で陽水の名曲はほとんど知ってるし多分唄える。大学受験で初めて上京した時も、仕事の合間に不安な私に付き添い、会場まで送ってくれた。大人に成ってからは、同じ関東の空の下暮らしていたけど。思い立って直ぐに会えるような近さでもなく。私は忙しさを好いことに、「便りがないのは元気な証拠」と思い込んでた。それなのに。数年前からガンで闘病してたらしい。思い当たることはある。その頃、珍しく彼の姉兄が九州から上京してきたのだ。今思うと、あの時、K兄ちゃんが彼らに病気のことを打ち明けたんだろう。その後からM兄ちゃんもK姉ちゃんもどことなく元気がなかった。そう思うと、更にツラい。今更だけど、K兄ちゃんの足跡が気になって、なんとなく名前を検索した。するとあの柔らかい表情の懐かしい顔を見つけた。編集者としての仕事を評価され、インタビューを受けていた。それを読んで彼の書籍作りに対する情熱や仕事の夢を知り、とても感動した。と同時に、道半ばでこの世を去らなければならなかった彼の“短い一生”を思うと、胸が痛んだ。主をなくしたSNSには、闘病前までにマメに更新された“幸せ”が沢山見つかった。それなりに苦労や悩みはあったようだが、家族を愛し自然を愛し健康に気を遣い本や仕事を愛し・・・“完璧で素晴らしく優等生でリスクの少ない生き方“してたのに。それでも病には克てなかった。その才能や夢を奪ったガンが憎い。亡くなる日の朝。数年ぶりにいきなりあげられた“コメントのない1枚の画像”・・・あれは本人が載せたの? だとすると、誰に何を伝えたかったんだろう?葬儀の日は、私の原稿締め切りと重なり、お別れには行けない。だから都合良く解釈した。K兄ちゃんが言ってくれているんだ。「好きな仕事頑張って、締め切りを越えて」と。知らなかったけど、彼は星を見上げるのが好きだったようだ。綺麗な空を見るためにわざわざ夜明け前に起きて、星空を眺め癒やされていたのがSNSから伝わってきた。その星がフライングして、K兄ちゃんをそっちの世界に連れて行ってしまったんだね。これから星を見る度に、きっと思い出してしまうよ。★ ★ ★ ★ ★今日のひとこと。「CMに出てた彼の正体、やっとわかったわ。」K兄ちゃんが唄ってたのを思い出す。