美しき罪~天はニ物以上を彼に与えてしまった。
何も予定がなく、なんとなくネットサーフィンして時間潰してた。Radikoのプレイリストをチェックしてた時、たった今流されたばかりの楽曲を右目で確認。明らかに色男な見た目の若い男の、不敵な笑みを浮かべたジャケ写。そこに示された楽曲タイトルは『何なんw』。自他共に認める『男前好き』な私には、ルックス的にはストライクでも、このタイトルには”嫌な感じ”しかなかった。なのに彼の名前を検索してしまった。何が引っ掛かったのか自分でも分からない。単にこのふざけたタイトルとニヤついた顔に、勝手にムカついたのかもしれない。「YouTubeで話題騒然!ピアノの奇行師」みたいな持ち上げ方に、多少の違和感を覚えながらどんな奴か見てやろうと思った。きっと“見かけ倒し”なんだろうと激しく疑いながら、YouTubeで彼がカバー曲を演奏する動画を観た。なんだ、このクオリティの高さは!! しかも鍵盤を叩き楽しそうに唄う姿に色気が猛烈に溢れ出してる。安藤政信に似たイケメンの兄ちゃんが、鍵盤を前に”弾いてる風に振る舞ってる”とかいうレベルの動画じゃなかった! しかも1997年生まれの20代という若さで、この選曲のセンスの良さは何なんだ? 彼が生まれる前のヒット曲や隠れた名曲を洋楽邦楽問わずチョイスして、まるで自分の作品のように慣れた手つきでピアノを鳴らし、唄いこなす。色んなミュージシャンが様々な名曲をカバーしてるのを聴くが、そのどれよりも素晴らしく聴こえるのは、私の気のせいではないだろう。彼のイイ所は、楽曲や歌手へのリスペクトが見えるとこだ。皆に馴染みある楽曲の雰囲気を壊さず、そのイメージに合う衣装や空間を選び、“彼の色やスパイス”を加えていく。そしてどんな時も躍動していて、彼の息遣いや鼓動までが聴こえそうに楽しい。腕のいい調理人の手さばきをカウンター越しに身を乗り出して観る時のワクワク感。あれに近い面白さが全面に満ちている。演奏や唄い方が完璧なカバー曲は、他にも沢山ある。胸を打つ楽曲も山ほどある。けれど藤井風(ふじいかぜ)というこのアーティストには、それらのすべてを超えてしまう“とてつもない力”を感じずにはいられない。さっきまで”斜めに見ていた自分“を激しく恥じた。そしてあっという間に、彼の演奏の虜になった。驚いたのは、この演奏や歌が、絶対音感により耳コピされたものってこと! 恐るべきスキルの高さ、である。子供の頃に習っていたピアノで大きく挫折し、それが“コンプレックス”になった私。公私共に音楽に夢中になった時代に好きになった人はみんな、ピアノを自在に弾きこなす『ピアノマン』だった。自分がピアノをうまく操れなかった後悔は、いつしかピアノを弾く人への憧れに変わった。そしてそんなアーティストの奏でる音色に、心震わせ癒やされる日々・・・。最近はその役割をショパンやラフマニノフの名曲で間に合わせていたが、今日からはきっぱりと言える。藤井風の音楽に出合えて良かった!! これから毎日、彼のYouTube動画で幸せになれる♪彼のYouTubeのコメント欄には、国内外問わず多くの書き込みがされている。その中にはこんな一文が目立つ。「同じ時代に生きてくれてありがとう!」私も今、無性にそう叫びたい気分に襲われている。藤井 風オリジナル曲『何なんw』https://www.uta-net.com/movie/277986/★ ★ ★ ★ ★今日のひとこと。「年賀状、書く相手いますか?」