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chapter6

LastGuardianIIStarting Stars

chapter6「Duel」

神下病院の一室。
508号室に、2人はいた。

???「ご、ごめんなさい、はやてちゃん」
はやて「ううん、気にせんどいてな、ヒィリス。
    鍵忘れたのはウチのほうやし」

申し訳なさそうに言うヒィリスを、はやてが笑顔で許した。

はやて「あ、それとシルビアとシュレスにも電話しとかなあかんなぁ」

そう言って、自分の携帯を取り出す。
その時、レドナのアドレスの事を思い出し、自然と顔が赤らむ。

ヒィリス「何かいいことあったの?」
はやて「ん?まぁ、ちょっとなぁ」

照れくさそうに、はやてが言う。
そのまま、シルビアとシュレスに電話をして、病院に来るように言った。

ヒィリス「でも、はやてちゃんが最近は元気を出してくれてよかった・・・」
はやて「ウチは皆に会ったときからうれしかったで?
    それも、この本のおかげやけど」

茶色の本を指差す。

はやて「この本の力を使えば、あっちの世界では足の自由も利くし。
    ・・・・・でも、ちょっとあの気持ち悪い白い怪物見るのはいややなぁ」

苦笑して、はやてが言う。

ヒィリス「そんな敵から、はやてちゃんを守るのが私達の使命ですから。
     辛かったら、いつでも・・・・」
はやて「ううん、ウチも、ヒィリスたちと一緒なら戦える。
    それにレドナ・ジェネシック言う人も追ってて、その人がすぐ近くに居るんやろ?」
ヒィリス「でも、彼ははやてちゃんには危険すぎます。
     シルビアや、シュレスの傷も・・・・」

悲しそうな顔で、ヒィリスが言う。

はやて「それでもええよ。
    ・・・・・守りたい人もたくさんできたから」
ヒィリス「はやてちゃん・・・・」

はやて(ウチも、暁君を守りたい。
    せやから、レドナ・ジェネシックを・・・・)

窓から見える、夜空に、はやては誓った。

はやて(レドナ・ジェネシックを倒す・・・!!)

その時、ヒィリスが何かを感じとった。

ヒィリス「!?
     は、はやてちゃん、敵が」

その途端、病院を中心として、小規模で魔法陣が展開された。

はやて「いくで、ヒィリス!」
ヒィリス「はいっ!」

瞬時、はやての胸元に茶色の本が飛んでくる。
本は、自ら主であるはやてに魔力を供給させる。
その魔力に、はやての足は感覚を回復していく。
その茶色の本、シュレッケンウェポン、デモンアルターを片手に取る。

はやて「来て、ベルゼルガの黒衣!」

はやての私服が光となってはじけ、リーンジャケット、スィテプスの黒衣を纏う。
黒い服の中心に金色のライン。
ミニスカートの両側には、また長いスカートがつけられている。
後方には、黒い小さな羽根がついている。

両目を閉じ、はやては武器を具現化させた。
金色の光がはやての右手に現れ、金色の杖アポカリプスへと具現化する。

ヒィリスもその間、自分のリーンジャケット、ベルゼルガの修道着を身に纏っていた。
そして、自分の武器、指輪型のルォースリングを具現化させた。

2人は、病室の窓を開け、そこから外に出た。
無論、リーンジャケットの効果で、2人は難なく飛翔することができる。

病院の屋上に、その敵は居た。
灼熱の赤い髪を持つ少女と、ブロンズの髪をした少年。
カエデとロクサスだ。
カエデの方は、リーンジャケット、トライヴァルの緋衣を身に着けている。

カエデ「来たわね、デモンアルターの所持者!!」
はやて「絶対にこれは渡さへん!」

そういって、デモンアルターを強く抱き寄せる。

ロクサス「でも、俺らが開発したエクツァーンモデルの前ではどうかな」

どうやら、2人にはエクツァーンモデルデータは、奪い取ったのではなく、自ら開発したと聞かされているらしい。
そして、カエデとロクサスの持つエクツァーンモデルが、うねりを上げた。
レムリアブレッドをロードし、弾丸が排出される。

カエデ「喰らえっ!グリュンヒル・プリンセスの力を!!」
ロクサス「行け、グリュンヒル・ライト!」

蒼白の大剣、グリュンヒル・プリンセスの刃が蒼く輝く。
同じくして、緑色の軽剣、グリュンヒル・ライトの刃も蒼く輝く。

ヒィリス「あの弾丸を打ち出す形式の武器・・・。
     シュレスが言ってたのと同じ」
カエデ「とりあえず、守護神ベルゼルガから断つっ!!」

一気に膝に圧力を溜め、開放させ、高く飛ぶ。
それに加え、トライヴァルの緋衣の特殊効果である高速移動を行う。

ヒィリス「ルォースリングッ!
     全方位攻撃魔法、ラフレイム!!」

ヒィリスの右人差し指と、中指に嵌る2つの指輪が光る。
瞬時、魔法陣を展開し、ヒィリス周辺を灼熱の業火が焼き尽くす。

ロクサス「いっくぜぇっ!
     氷結魔法、コーフィアッ!」

グリュンヒル・ライトの先端に魔法陣が現れ、コーフィアが放たれる。
しかし、レムリアを帯びたその魔法は、通常威力の倍以上の効力でラフレイムを打ち消した。
一瞬ヒィリスが怯む。
その隙を見逃さず、カエデのグリュンヒル・プリンセスが襲い掛かる。

はやて「デルタウォール!!」

アポカリプスを振り、ヒィリスの眼前に防御魔法を展開させる。
いくらレムリアを帯びた武器を駆使しても、カエデはそれを打ち破ることができなかった。

カエデ「あぁーもう!これだから防御魔法は嫌いなのよっ!」

防御魔法との鍔迫り合いに負け、宙を舞い、付近のビルの上へと着地した。



同刻、第44エクステンドステーション。

エンフィ「やった、魔力感知システムは回復・・・・。
     って、すぐそこで戦闘やってるじゃん!!」

モニターに、その戦闘が行われている場所が映し出される。
次に、衛星でその場所を捉え、詳細な画像が送られてくる。

レドナ「カエデとロクサス!?」
フィーノ「あっ、あの子が持ってる本って」

モニターを指差す。
黒衣を纏う少女の左手にある本。

シーフォ「デモンアルター・・・・。
     ということは、彼女が主・・・・!」
ヴァルニス「だが、帽子で顔が見えぬな」

リーンジャケットの一部であろう白い帽子で、こちらからは顔が見えなかった。

シーフォ「対象を以降、"黒衣を纏う少女(アイオーン)"と称する。
     エンフィ、すぐに戦闘を録画して!
     レドナとヴァルニスは迎撃に」

エンフィに指示を出す。
すぐにエンフィは端末を操作して、録画を開始する。

フィーノ「わ、私も行きます!」
レドナ「今の状況を考えてみろ。
    ハッキングでここまでしている、反エクステンドが攻めて来る可能性が高い。
    全員ガーディアンを出せば、誰も守れない」
シーフォ「えぇ、そのとおり。
     でも、状況次第によってはフィーノさんも出させるわ」

フィーノも納得し、残ることを了承した。

エンフィ「あ、2人ともこれ持っていって!」

そう言って小型通信機を2人に投げた。
それを掴むと、2人は急いで戦闘区域へと急いだ。


出撃から5分後、2人は戦闘区域へと到着した。
すぐさまリーンジャケットと、武器を具現化させる。

レドナ「とりあえず、突っ掛ってきたらどっちにも応戦するぞ」
ヴァルニス「あぁ、分かっている」

しかし、5分間は長い時間であった。
確認すると、アイオーンは消えて、代わりにベルゼルガが2人増えていた。
しかも、その2人はレドナには見覚えがあった。

レドナ「シュレス・・・・シルビア・・・・」
シュレス「ん・・・来たか、レドナ!」

こちらに気づき、シュレスが言う。
しかし、すぐさまカエデの攻撃を避けるため、高くジャンプして、視界から消えた。
同じくして2人も思いっきりジャンプして、窓を使って屋上まで行った。

屋上につくなり、レドナに火炎魔法が飛んできた。
間一髪地面を側転しかわす。
休むまもなく、グリュンヒルEXは弾丸を排出する。
漆黒の刃が緑色の光を放ち出す。

カエデ「レドナ!?」
レドナ「はぁぁぁっ!!!」

問答無用で、レドナは身近に居たカエデに切りかかった。

カエデ「ちょ、ちょっと待ってってば!!」

蒼白のグリュンヒルも弾丸を吐き出し、蒼い光を放つ。
そして、漆黒のグリュンヒルの斬撃を受け止めた。

レドナ「ハッキングしてデータパクるとは卑怯なまねしてくれたな!!」
カエデ「ハッキングって・・・どういうことよ!?」
レドナ「じゃあ何でお前らがエクツァーンモデルを使ってるんだ!?」

エンフィの思いを代弁し、叫んだ。

ロクサス「あ、兄貴ハッキングって何だよ!?」

慌てて問うロクサスに、ヴァルニスのバロックガンブレードの銃撃が襲い掛かる。
グリュンヒル・ライトはカートリッジをロードし、蒼く輝く刃で銃撃を跳ね返した。

シュレス「シルビア、ヒィリス、あいつ等はどうやら対立しているらしい。
     今のうちに両方潰すぞ」
シルビア「あぁ、それにレドナと決着つけて、神を引き出さねぇーと」

それぞれの武器を構え、レドナとカエデのグリュンヒル対グリュンヒルの鍔迫り合いに介入した。

シュレス「チェーンブレイバァァーッ!!」
シルビア「爆砕!!」

銀色の剣が鞭と化し2人の間に入る。
シルビアのハンマー攻撃が来る前に、2人は後ろへ下がった。

ロクサス「2人から離れやがれ!!」

グリュンヒル・ライトが魔法陣を展開し、氷結魔法を繰り出す。
しかし、それは、上からヒィリスの火炎魔法で打ち砕かれた。
その両者を、ヴァルニスの銃撃が追う。

ヒィリス「物理攻撃は防御しずらのに」

銃弾を建物を壁にして回避するヒィリスが呟く。

レドナ「おらぁっ!!!」

建物を破壊し、レドナが隙を見せたヒィリスに斬撃を入れる。
しかし、寸前で防御魔法を発動させられ、相打ちで終った。
だがその間、ヒィリスの後方にはカエデが居た。

カエデ「まずお前からぁっ!」
ヒィリス「ぁ・・・・っ!!」

しかし、グリュンヒル・プリンセスは振り下ろされることは無かった。
その時、誰しも上を見上げた。
上空に広がる巨大な白い魔法陣の存在に気づいて―――。

シュレス「シルビア、ヒィリス、あれが来る」
シルビア「ちぇっ、美味しいとこもっていきやがって・・・」

悔しがるシルビアだが、その顔に笑みがあった。
そして、デモンアルターの守護神ベルゼルガ3人は、移動魔法を使い、戦闘区域から離脱した。
その瞬間、頭上の魔法陣から膨大な魔力結晶の雨が降り注いだ。
建物をぐしゃぐしゃに破壊し、それはレドナ達に襲い掛かった。

レドナ「くっ、デモンアルターの主の攻撃か!?」

回避するレドナの足と手は休むことが無かった。

レドナ「カエデ、ロクサス、ここは退け!
    また今度会った時に詳しく説明してもらう」

返答を聞く前に、レドナは攻撃範囲から逃れるために魔法陣内の端へと移動した。
後にヴァルニスが続く。

カエデ「れ、レドナ・・・・」
ロクサス「姉貴、はやく俺らも逃げよう!」

無言でカエデは頷き、2人も魔法陣内の端へと移動した。
それから30秒ほどで魔力の雨は止み、マプティラズディも解除された。
町は元どおりの姿で、兄も変哲が無かったことを雄弁に語っていた。

はやて「ちょっと・・・・やりすぎてもうたなぁ」
シルビア「そんなことないって!
     まぁ、ちょっと獲物取られたのは悔しいけどさぁ~」

苦笑するはやてに、シュレスが笑顔で答えた。

ヒィリス「でも、妙に残る魔力反応が気になります・・・。
     戦闘区域は消滅しているから、残存だと思うけど」
シュレス「深追いはするな、ヒィリス。
     あの攻撃ではやても相当な魔力を使っている」

無言でヒィリスは頷いた。

一方、反エクステンド機関では。

カエデ「どういうことなのよ!
    これって、エクステンドが開発元なの!?」
ザルバ「あぁ、しかし、それがあれば我等でもエクステンドに太刀打ちできる」

怒るカエデの声に対して、冷静にザルバは答えた。

ザルバ「エクステンドが憎いのではないのか?」
カエデ「そ、それは・・・・あの事件は忘れてない。
    でも、ここにいるエクステンドは皆良い人達だよ!」
カース「あのBFB事件のガーディアンも含めて、良い人達、というのか、カエデ?」

奥から、カースが現れた。
彼の口からでた"BFB事件"。
それは、カエデの脳裏にレドナを連想させるワードであった。

カース「あのレドナも、ここのテリトリーを守ってるラストガーディアンだ。
    あの反逆者までも、カエデは良い人と言うのか」
カエデ「前にイクトゥーと戦ったときだって、レドナは力をかしてくれたし・・・」
カース「エクステンドも、目的は同じシュナイガーの殲滅。
    そのためには、俺たちも一時的にはエクステンドと協力をする。
    だが、反逆者に対する罰は例外だ」

カエデは、返答てきずに唇をかみ締め、下を向いた。

ザルバ「どうするのだ、カエデ」
カエデ「・・・・分かったわ、もうこれについては何も言わない」

その言葉を聞き、ざるばは後ろを向き、また怪しげな笑みを浮かべた。


第44エクステンドステーション。

エンフィ「戦闘データを記録してたけど、最後のあの魔法陣が出てからまたバグっちゃって・・・」

モニターに映されたさっきの戦闘の様子。
しかし、最後の攻撃のところでノイズが入り、エラーが出ていた。

レドナ「やっぱ、主の攻撃らしいな」
シーフォ「えぇ、そう考えて間違いないわね」
ヴァルニス「だが、あれだけの攻撃を行う魔力を一体何処で溜めていたんだ?」

唐突なヴァルニスの疑問。
しかし、それはかなり深い問題となった。

エンフィ「それも問題だよねぇ・・・。
     ずーっとチェックしてたけど、瞬時に膨大な魔力反応が現れたもん」
フィーノ「吸収系の魔法でも、集める時に少しくらいは反応がありますし・・・」
シーフォ「でも、レドナ君なら分かってるんじゃない?」

突然、シーフォがレドナに振ってきた。
ちょうど、レドナも今自分の意見を言おうとしていたところであった。

レドナ「あぁ、かなり少量の魔力をデモンアルターを通して出すことによって魔力を増加膨張させたって線がある。
    これなら、蟻1匹の存在も見逃さないように注意していないと感知されることはない」
ヴァルニス「それが本当だとすると、相当やっかいなものだな、あれは」
エンフィ「それに、反エクの奴等からデータパクリかえさなくちゃいけないし。
     はぁ~、なんだか仕事が一気にどっときたね」

大きくため息を付く。
それから、今日のところは解散し、各自通常世界に戻った。

AM0:04。
第44エクステンドステーションの司令室に1つの影があった。
その影は、端末を操作していた。

???「・・・・・これで、完了」

すると、メインモニターにエクツァーンモデルのデータが現れた。
それだけではなく、奪われた全てのデータと思われるものが戻ってきた。

そして、その影は何事も無かったかのように司令室から出て行った。

to be next chapter


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