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第7回坊っちゃん文学大賞受賞作。表題作と「7s blood」の二作品収録。
「卵の緒」 自分を捨て子と信じて疑わない主人公の少年と、その母親。親と子の絆を描いた作品。 文字も少なくて、あっという間に読めてしまう作品です。だからといって、内容が軽いわけではなく、親と子、家族の絆がきちんと描かれています。 全体的な雰囲気にも重苦しさは感じられないので、さくさくと楽しく読みすすめられ、読んだ後も満足感を得られるのですが、よくよく考えてみると、主人公の母親の性格や主人公の出生の秘密などに、現実味を全く感じなかったりします。 なんだか、現実の生々しさが抜けているといいましょうか。 しかしだからといって、「嘘っぽい」「安っぽい」と感じないのがこの作品の不思議なところです。作品に現実感が薄くとも、主人公や母親、その他の登場人物が語ることには、妙な説得力があり、読んでいて心に訴えかけてくるものがあります。 多分これはこの作者の持ち味なのでしょう。 また、さらっとだけ語られる小気味良いラストに、思わずホロリとさせられます。個人的にお気に入りのラストです。 「7s blood」 女子高生の主人公は、ある日突然、腹違いの弟と二人暮らしをすることになる。 「卵の緒」と同様に、この作品も現実的ではないけれど、少し風変わりで良く出来た人物たちが登場します。 こちらもまた、人物、設定に現実感はないと思いながらも、心に訴えかけてくるものがあるので、素直に感動出来る作品になっています。 ただ、こちらの作品はいまいち説明がされないまま終わってしまったところが多々あったように感じました。 ※以下多少ネタばれがあるので、反転してます。 主人公のその後とか、彼とはその後どうなってしまうのか、島津との関係などです。 特にあんなに弟に頼り切っていた主人公はその後一人でやっていけるのだろうかと心配で仕方ないです。 まあ、こんなにその後が気になるということは、この作品に深く入り込めたということなので素晴らしい作品であることの証明でもあると思うのですが。 家族の繋がりを描いた優しさ溢れる2編が収録された作品です。 読んだ後、心がぽかぽかと温かくなります。 寒い今の季節、湯たんぽ代わりに、いかがでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
こんにちはぁ~♪
「瀬尾まいこ作品に悪人なし」でございます。(笑) 世の中しょっぱくなりすぎだとこんな作品がウケるのかなぁ~と思ったりもします。 瀬尾まいこさんですが、現役の中学教師です。 エッセイによれば、生徒、親、学校関係のエライ人達も作品を読んでいるそうで、そのあたりは逆に苦労があるのではないか?などと思いつつ行間を読むのも楽しみの一つです。 (2011.02.06 16:02:44)
きたあかりさん、こんにちは!
>「瀬尾まいこ作品に悪人なし」でございます。(笑) >世の中しょっぱくなりすぎだとこんな作品がウケるのかなぁ~と思ったりもします。 そうなんですよね~。悪人が登場しない物語なのに、面白く読めてしまうなんて、凄いことですよね。年を重ねるとこういう作品に、ほっとしてしまう自分がいます。 >瀬尾まいこさんですが、現役の中学教師です。 >エッセイによれば、生徒、親、学校関係のエライ人達も作品を読んでいるそうで、そのあたりは逆に苦労があるのではないか?などと思いつつ行間を読むのも楽しみの一つです。 今の時代、学校の先生は何かと苦労が多いかと思うのですが、その中で作家活動をされるのは縛りが多くて、大変そうですね~。それを踏まえて読むと、また違った読み方が出来そうですね! (2011.02.07 16:06:25) |
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