2009/05/26(火)06:43
歌舞伎座さよなら公演五月大歌舞伎(夜の部)
五月は、通念は団菊祭では、ありますが、今年は、歌舞伎座さよなら公演と
いうことで団菊祭とは、つかないんですね。
ポスターは、こちら
○恋湊博多諷(こいみなとはかたのひとふし) 毛剃
享保4年(1719)11月竹本座で初演された
近松門左衛門の人形浄瑠璃
「博多小女郎浪枕(はかたこじょろうなみまくら)」が原作で、
実際にあった抜荷買い(密貿易)の事件を脚色したものだそう。
見どころは、
大船が舞台上でぐるり回りその上で、
西海の海賊・毛剃九右衛門が異国風の衣装で
見得を切る「汐見の見得」の場面が特に有名ですね。
今回は、小女郎の身請けと宗七が、抜け荷中間になるまでですが、
実は、この後、悲劇がまっているという筋立て。
ただし、今回は、後半の悲劇は、カットされて
どちらかというと華やかな顔ぶれと、異国情緒を楽しむと言った感じですかね。
団十郎丈が、九州の訛りで”よかよか”と言うと、
そうだよなぁ~と思わされる大きさがありました。
○小猿七之助 御守殿お滝 夕立(ゆうだち)
初めて観るので、
小猿七之助と滝川との、濡れ場を舞踊化したもので
退廃美が濃厚な清元の舞踊ということだったので、ちょっと期待したのですが、
退廃的な雰囲気は、余りなかったのが残念・・・(^^;;
○神田ばやし(かんだばやし)
39年ぶりの上演となる宇野信夫の下町人情噺。
裏長屋の人々の心の交流を描いたほのぼのとした人情劇で、
実直な桶屋の留吉を海老蔵丈が、演じていて、ほのぼのとした風情である。
娘のおみつ役の梅枝が、可憐で清楚・お似合いでしたね。
無実の罪をきせられた男、罪を問うことの罪と人の愚かさを問いかけて、
笑いの中に深さがあるお話では、ありました。
○鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと) おしどり
曽我物のひとつなんですよね。
河津三郎(かわずのさぶろう)と股野(またの)五郎の角力(すもう)の話に
結び付けて脚色されていたものを、6世中村歌右衛門が1954年(昭和29)に
自主公演で、歌舞伎座で復活上演したそうです。
上の巻の長唄「相撲」は、
河津と股野が傾城(けいせい)喜瀬川の行司で相撲をとり、
敗れた股野が河津を呪咀するため鴛鴦の雄を射て、その血を得るまで
下の巻の常磐津「鴛鴦」は
傷ついた雄鳥の精が雌鳥とともに人間の男女の姿で現れ、
股野の企てを妨げるというもの。
海老蔵、菊之助、松緑と錦絵を見るような美しさではありました。
喜瀬川の河野はいい男ぉ~好き・好き、
股野は嫌じゃわいなぁ~つんつんという振りが、笑ってしまうぐらい
露骨で、おもしろかったですね。
<出演者>
○.恋湊博多諷(こいみなとはかたのひとふし)
作:近松門左衛門
團十郎:毛剃毛剃九右衛門
菊之助:傾城小女郎
彌十郎:座頭盛市
秀太郎:奥田屋お松
坂田藤十郎:小松屋宗七
○小猿七之助 御守殿お滝 夕立(ゆうだち)
菊五郎:小猿七之助
時蔵 :御守殿滝川
○神田ばやし
作:宇野信夫 演出:大場正昭
三津五郎:家主彦兵衛
海老蔵 :桶屋留吉
梅枝 :娘おみつ
秀調 :店子加蔵
團蔵 :店子惣助
○鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと)
菊之助 :おしどり遊女喜瀬川、雌鴛鴦の精
海老蔵 :河津祐安、雄鴛鴦の精
松緑 :股野景久
夜の部は、色々盛りだくさんと言った感じで、
16時30分から21時20分まで5時間近く、のんびりと過ごした時間ではありました。
本日のきもの:
雨模様のため今日も紬:同色総刺繍の古い紬訪問着に、百合の模様の塩瀬の名古屋帯。
帯留は象牙に蜘蛛、半衿も百合の刺繍を合わせて、初夏の風情を楽しむことに!