オペラ「マルタ」
懐かしや”庭の千草”(アイルランド民謡「夏の名残りのバラ」)が、主題歌のオペラ「マルタ」を上野文化会館で観る。6月8日(日)は、ウィン・フォルクスオーパーの千秋楽である。マルタの初演は、1847年11月25日、ウィーンのケルントナートール宮廷劇場(ウィーン国立歌劇場)で上演された。物語は、身分違いの恋に実は実は高貴な生まれ(貴種流離)などが絡み合い、最後は、ハッピィエンドで幕のありきたりな物語である。---------英国王宮の女官2人は、退屈な宮廷の生活にうんざりして、農婦に変装し,市場へお祭り気分で出かけるが、ひょんなことから、裕福な農家で奉公人として雇われる事になってしまう。若い農家の雇い主・ライオネルは、マルタに求愛するのだが、身分違いのために、彼女は、彼をこっぴどく振るのだが・・・さてというお話(タイトルロールの「マルタ」とは、農婦に化けたときの偽名)。---------物語は、貴族階級と庶民階級との超えられない違いが興味深く描かれているのだが、タイトルロールのメルバ・ラモスは、声は美しいが「庶民的」な雰囲気のため、貴族階級の高貴なるイメージにかけている。また、身分違いのために冷たい態度をとっていたヒロインが、ライオネルが貴族であることがわかってから、愛を告白し許しをこうのが、打算的な貴族階級の女性に見えるのは、演出上なんとかならないものであろうか?ライオネルが振り回されてかわいそうに見えるのだが。(演出で、ハリエットが愛と超えることのできない身分の壁に悩む場面をもう少し描くとか・・・)全体的には、装置も衣装もシンプルでありながら美しく、屋根裏部屋の雰囲気、居酒屋のほの暗さや夜の月など照明の使い方も自然であり、狩の場面の着ぐるみも含め絵画のようなイメージが好感。ただ、こちらももう「ボッカチオ」と同様、もう少し小さめな箱で観たほうがより楽しめたと思える舞台であった。千秋楽ならではのカーテンコールの金・銀の紙吹雪もテープも、楽しい彩である♪<マルタ>4幕のオペラ指揮:エリザベス・アットル Elisabeth Attl作曲:フリードリッヒ・フォン・フロトーレディ・ハリエット(マルタ)(アン女王の女官。ひょんなことから奉公人「マルタ」となる):メルバ・ラモスMelba Ramosナンシー(ユリア)(ハリエットの親友。ハリエットと共に奉公人「ユリア」となる):ダニエラ・シンドラムDaniela Sindram トリスタン・ミクルフォード卿(ハリエットの従兄): マティアス・ハウスマンMathias Hausmannライオネル(プランケットの義弟で、実はダービー侯爵の遺児。奉公人マルタを愛する。): ヘルベルト・リッペルトHerbert Lippertプランケット(豊かな農家の主。奉公人ユリアを愛する。): アントン・シャリンガーAnton Scharingerリッチモンドの判事: ヨゼフ・フォルストナーJosef Forstner ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団 Orchester der Volksoper Wienウィーン・フォルクスオーパー合唱団 Chor der Volksoper Wien 本日のきもの:燕模様の紗合わせ(絽と砂では無く紗と砂)で、吹く風が心地よい。帯は宝尽くしの細帯。帯留は銀に真珠の便利もの。