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テーマ:法律についてのあれこれ(91)
カテゴリ:知って役立つ 暮らしの法律
知って役立つ 暮らしの法律(3) 自己破産(下) 財産があってもできる?
今回は、住宅など一定の財産がある場合の自己破産の申し立てです。 Aさんは建築現場の塗装工で、妻と子ども2人の家族です。クレジットカード、キャッシングカードローンの返済のほか、8年前に土地と建物を購入し、住宅ローンも返済しています。 3年ほど前から仕事が激減し、次第に借入金の返済が困難に。雪だるま式にカードローンの借金が増えました。 家と建物を売って借金を返済できるのであれば、破産申し立てはできません。Aさんの場合は、売却しても借金が大きく残るため、返済は不可能です。 「管財人」がつく Aさんは破産申し立てをすることにしました。土地や建物など財産があるAさんのような場合、前回紹介した破産申し立て手続きの後、次の点が違ってきます。 ①裁判所が「破産管財人」を選びます。 破産管財人は、Aさんの財産を詳しく調査して不動産などの財産を売却し、借金相手の債権者に配当するのが主な仕事です。破産管財人がつく場合は、20万円以上のお金を裁判所に納めなくてはなりません。 ②Aさんの不動産を処分する権限は、すべて破産管財人に移ります。申し立て後、数日中に、破産管財人と面談し、必要書類等を引き渡します。一定期間、郵便物も破産管財人に転送されます。 ③通常、1~2カ月に1度のペースで「債権者集会」が裁判所で開かれます。出席するのは本人、その代理人弁護士、破産管財人、希望する債権者です。裁判官が破産管財人の仕事の進行状況などを確認します。債権者も意見を述べます。 財産を処分しても返済しきれなかった借金については、多くの場合、免責されます。Aさんは申し立てから約1年後に免責許可決定が出ました。 早い段階で相談 破産申し立てをして免責決定を得るということは、「借りた借金を法的に返さなくてよい状態にする」強い効力があります。そのため、財産があれば、それをお金にかえて、債権者に公平に返済する必要があります。 借金の解決にはほかに、一部だけを返済していく方法もあります。どの方法をとるにしても、大切なのは、返済が難しくなった段階で早めに相談することです。 【処分を免れるもの】 処分する(金銭にかえて配当すべき)財産には、不動産、保険解約返戻金、自動車、有価証券等、退職金相当額などがあります。 自己破産をしても処分しなくていい財産(自由財産)には、99万円以下の現金や、衣服・家具等の生活必需品(差押え禁止動産)、破産手続き開始後に新たに取得した財産が含まれます。 なお、処分すべき財産であっても、破産管財人の意見を聞き、破産者の手元に残すことが認められる場合があります。東京地裁では、生命保険解約返戻金や不動産の換価額が20万円以下の場合は、破産者の手元に残す運用をしています。 大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所) 「しんぶん赤旗」日曜版 2016年10月9日付掲載 自己破産したからって、身ぐるみはがれて無一文からスタートではない。 生計費非課税と同じ考え方なのですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年11月30日 10時20分31秒
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