2020/03/30(月)22:19
暮らしのはて?なぜ? PCR法ってどんなもの?
暮らしのはて?なぜ? PCR法ってどんなもの?
新型コロナウイルスに感染しているかどうかを検査する方法としてPCR法という言葉がよく聞かれるようになりました。PCR法とはどんなものなのでしょうか?
PCR法はポリメラーゼ、チェーン・リアクション(ポリメラーゼ連鎖反応)法のことで、P、C、Rはそれぞれの言葉の頭文字。ポリメラーゼというDNA合成酵素を使って遺伝子のDNAを複製・増幅する技術です。
DNAは複製するごとに倍に増えるので、複製を繰り返すことで多数のDNAを得ることができます。検体に含まれる調べたい遺伝子のDNAの量が少なくてそのままでは検出できなくても、PCR法を使うことで検出できるようになります。
貝体的には、まず調べたい遺伝子のDNAが入った水溶液の温度を上げることで2本鎖のDNAを1本鎖に分離します。分離した1本鎖のDNAを、そのDNAをもとにつくった複製開始に必要なプライマーというDNA断片、DNAの材料のヌクレオチド、さらにポリメラーゼが入った水溶液の温度を上げることで複製します。
実際の操作は、調べたい遺伝子のDNAとプライマー、ヌクレオチド、ポリメラーゼが入った水溶液の温度を上げたり下げたりする手順を繰り返し、増幅します。増幅した遺伝子のDNAの塩基配列を読み取ることで、調べたい遺伝子のDNAが存在するかどうかがわかります。この方法を発見した米国の生化学者、カリー・マリス博士は1993年にノーベル化学賞を受賞しました。遺伝子のDNAを増幅する過程で蛍光色素を取り込ませることで、塩基配列を読み取らなくても、調べたい遺伝子のDNAが存在するかどうかを知ることができる方法もあります。新型コロナウイルスは1本鎖のRNAウイルスなので、PCR法で調べる前にRNAをDNAに変える「逆転写」という操作が必要となります。また、PCR法による検査で必ず新型コロナウイルスに感染しているかどうかがわかるわけではなく、感燃染していても陰性と判別される場合や、その逆もあります。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年3月30日付掲載
DNA(デオキシリボ核酸)
遺伝情報を記録している基本的物質。
G(グアニン)、C(シトシン)、A(アデニン)、T(チミン)の4種類の核酸が並んで構成される。
DNAは二重らせんで、GにはCが、AにはTが必ず対応する。
ウイルスの場合は、二重らせんのDNAを持たず、一本のRNAだということだ。
新型コロナウイルスの場合も一本のRNA。
DNA解析のスピードが飛躍的に向上していることで、実用化されたPCR法ってことだ。