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人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか」中川 毅、講談社 【私の評価】★★★★☆(83点) ■福井県にある水月湖(すいげつこ)には 7万年以上の安定した堆積物があり、 この堆積物を規準にした年代目盛りが 地質年代の世界標準になっているという。 つまり通常20%もの誤差を持つ 炭素14を使った放射性炭素年代測定値を 水月湖の堆積物が補正している。 もちろん補正には、 水月湖の堆積物だけではなく、 樹木の年輪やサンゴ、鍾乳洞の石筍なども 検討されているらしい。 ・最終的に得られた年代目盛りの誤差は、 5万年でプラスマイナス169年にまで 改善していた・・「標準時計」・・ 14C年代を正確な年代に読み替えるための 換算表のことである(p113) ■こうした古気候学では、 過去の地球の気温の変化が 知られています。 つまり、地球の気候は、 ほとんどが氷河期であり、 現在を含めて温暖な時期は1割もない という事実です。 さらに現在の温暖期は、 1万年前から続いており、 これまでの数千年しか続かなかった 温暖期としては異例の長さなのです。 ・現代と同等あるいはそれより暖かい時代は、 全体の中の1割ほどしかない・・ 数十万年のスケールで見た場合、 「正常」な状態とは氷期のことであり、 現代のような温暖な時代は、 氷期と氷期の間に挟まっている 例外的な時代に過ぎない(p34) ■地球温暖化は進んでいるのかもしれない と思いました。 ただ、それは温暖化が問題なのではなく 氷河期が来るのを遅らせている というプラスの意味です。 あと10年もしたら氷河期を遅らせるために どんどん温暖化ガスを出しましょう などと言い出す科学者が出てくるかも しれませんね。 中川さん 良い本をありがとうございました。 ─────────────── ■この本で私が共感したところは次のとおりです。 ・西暦869年の夏に、おなじく東北地方を襲った 貞観地震・・貞観地震の津波の地層は、 記録に残るいかなる津波よりも内陸にまで 分布していた・・次に起こるのは1000年後 かもしれない災害のために、税金から巨額の 対策費を支出し続けることに、999年間 いちども文句を言わない覚悟がある人は おそらくいない(p4) ・今から1億年前から7000万年前頃の地球は 今よりはるかに暖かく、北極にも南極にも いわゆる氷床が存在しなかった。 これは、IPCCが予測する100年後の 地球よりもはるかに温暖な状態である・・ 当時はいわゆる恐竜時代である(p29) ・およそ5万年が経過すると、14Cの残存量は ほとんどゼロになってしまう。そのため・・ ▼続きを読む http://1book.biz/2018/04/23/nakagawa.html 「人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、 これから何が起こるのか」中川 毅、講談社 【私の評価】★★★★☆(83点) [Amazonで購入する] http://amazon.co.jp/o/ASIN/4065020042/mag06-22/ref=nosim/ [楽天ブックスで購入する] ■目次 プロローグ──「想定」の限界 第1章 気候の歴史をさかのぼる 第2章 気候変動に法則性はあるのか 第3章 気候学のタイムマシン──縞模様の地層「年縞」 第4章 日本から生まれた世界標準 第5章 15万年前から現代へ──解明された太古の景色 第6章 過去の気候変動を再現する 第7章 激動の気候史を生き抜いた人類 エピローグ──次に来る時代 あとがき お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.04.23 11:57:54
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