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テーマ:ニュース(100372)
カテゴリ:その他欧州企業
サイエンスとテクノロジー分野における世界有数の企業であるメルク(Merck)は、メルクの材料を採用したグレーの半透明有機薄膜太陽電池(OPV)モジュールの提供を開始した。新材料はBelectric OPV社との協業によって開発されたもの。
新モジュールにより、デザインのオプションは無限に広がり、透明度や形状を維持したまま、最新デザインのニュアンスを建造物に加えることができる。このモジュールにはメルクの新組成の材料lisiconが含まれており、これにより部材の半透明性は維持しながら、従来に比べて発電性能が向上し、50 W/平方メートル以上の発電性能を実現した。 今回、大規模な生産ライン向けに最適化し、モジュールの大量生産が可能になったことで商品化が実現した。メルクとBelectric OPVは、以前より鮮やかな青色のOPVを提供しており、イタリア・ミラノで開催されたEXPO 2015(ミラノ国際博覧会)のドイツ館に採用されたほか、エチオピア・アジスアベバにあるアフリカ連合(AU)平和・安全保障理事会の本部施設にも導入されている。 OPVテクノロジー、特に建材一体型太陽光発電(BIPV)には数多くのメリットがある。例えば、建物の壁面などでは、天候状況により拡散する太陽光や気温の上昇といった条件下で、従来の無機薄膜太陽電池では急激な性能の低下がよく見られるが、OPVモジュールではそうした性能の低下は見られない。さらに、半透明で色の調整が可能な上、形状やデザインも自由に変更できるため、材料として非常に魅力的で、こうした特長が多くのBIPVアプリケーションにとって不可欠な役割を果たす。 EU地域内では、エネルギー消費量の40%、CO2排出量の36%をビルなどの建造物が占めている。このためEUは、今後建築される全ての建造物に対して、2021年時点でゼロエネルギーに近い状態(NZEB、nearly zero-energybuildings)の実現を求めている。 建物の外面に関して太陽熱利用を主体とするパッシブ型材料の性能は限界に近づきつつあることから、NZEBの目標達成が法的に義務付けられる中、その達成のために、太陽光発電を主体とするアクティブ型建物外面材料が求められてくると考えられる。グレーのOPVを基盤とするアクティブ型の建築部材は、発電能力と建物の美観の両方のニーズを満たす上での大きな一歩となる。 その他欧州企業の関連記事 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.12.15 15:10:11
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