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カテゴリ:映画
恋愛映画…なのかなぁ、口のきけない女性の揺れ動く心を美しいピアノの調べとニュージーランドの荒々しい海の映像で表現した叙情的な恋愛映画。冒頭の浜辺に置き去りにされたピアノと海の映像にのせて流れるピアノの調べはとても印象的。
19世紀のスコットランド。口がきけないエイダ(ホリー・ハンター)は写真での見合いで、ニュージーランドの開拓者スチュアート(サム・ニール)のもとに嫁ぐことになった。娘のフローラ(アンナ・パキン)を伴い大切なピアノとともに、ニュージーランド南端の島にやって来た。しかし、新しい夫スチュアートは、彼女の大切なピアノを“運べない”という理由で浜辺に放置したままにする。悲しみにくれる母娘。しかも、夫はピアノをマオイ族と共に暮らす白人ベインズ(ハーベイ・カイテル)の土地と交換してしまった。彼は、演奏の仕方を教えてくれれば、ピアノを彼女に返すという交換条件を出す。そして、エイダの“ピアノ・レッスン”が始まった…。 口がきけない彼女にとってピアノは唯一の支え。夫は、彼女を愛し紳士的に振る舞うが、そんな彼女を理解しない。反対に、ベインズは、粗野で無愛想、ピアノを返す見返りに体を求める。彼女は、嫌いながらも徐々に惹かれていくのだが、官能的というより変態的な“ピアノ・レッスン”はかなり引いた。さらに、夫とのベッドでのやりとりで追い打ちがかけられた。フェチ的な感情は理解できなくはないが、ここで露骨に出すのは逆効果と思う。もっと、精神的に表現した方がよかったのでは…。 結局、ベインズと島を出て行くことになるのだが、恋愛が割り切れるのもではないことは分かるが、「辺境の地で自分を理解しない夫を嫌い、深く愛し理解してくれる男とやり直す。」というただそれだけでは納得いかない。ピアノを海へ捨てる場面は、一度死んで生をやり直すことを表現したかったのだろうか。映像的には幻想的で成功していると思うが、全編を通して、今ひとつ理解ができない。 ハンターとパキンがそれぞれオスカーの主演と助演を受賞している。ホリー・ハンターの指を切られる時の表情には、背筋が寒くなった。あの表情だけで全ての感情が読みとれた。今思い出してもぞっとする。 全編に流れる彼女の心を表現するピアノの調べはとてもいい。特に、繰り返し流れるテーマ曲が、その時々によって違って感じられるのがいい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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