■レビュー内容
「愛してる。ずっと側に居て、守るよ。あの時、約束したように…」
あぁ、やっとすっきりしました。全部が解決したわけではないのですが、まぁ何とかつじつまが合った感じ。最後の方は、全部まとめて解決的な話になってますが…。あとがきに、重複した説明を構成しなおし決定版を出すとか…。普通、単行本にする時するもんだよ、こっちが何のために単行本で読んでると思ってんだよ。
全編通してとしては、設定が面白かっただけに残念。魔術戦は地味すぎ、肉弾戦は個性的な戦士が出て来たので良かったが、ほとんどなかった。アドリエ編は途中で終わった感じ、アステ・カイデ編は地味な政略ばっかり、ローダビア編は都合よくいきすぎかな。ギリで星3つ。
■あらすじ【ネタバレ注意】■
クラ・クムに建つ太陽神殿ピラミッドに入ったティーエは、アステ・カイデの太陽神殿ピラミッドにいるジヌーハに話しかける。ティーエは水晶の力を解放してほしいといううが、ジヌーハはケントウリ族の総意を取り付けるには4、5日かかるという。
その夜、マノロ・コウト山が噴火する。やがてこの村にも火砕流がやって来ることを悟り、このままではローダ・アンゼルにいるラクシらも危ない。助ける為にはピラミッドへ行き皆の力で火砕流を止めるしかないと、シルバらに協力を仰ぐ。一行はピラミッドへ向かう途中に、刺客に襲われるが、ボイスとシルバの護衛二人で退ける。シルバは自分を狙う国王の手の者だというが、ボイスはレスドゥの存在を疑っていた。ピラミッドに着くとクラ・クムの祭祀典長らが来ており皆の協力を取り付けティーエは指示を出す。そこへ、シルバの姉リマラの幽魂がやってきて火砕流を止めるのではなく逸らすのだと言う。ティーエはそれに従い祈りを始め、火砕流の流れを変えることに成功する。
ラクシらは、ローダ・アンゼルから離れたヴァユラの村に連れて来られていた。火山の噴火で火事が起こり村中が混乱していた。サトゥムが安全な場所に移動すると言い、街道に向かって移動するが、待ち伏せにあう。三人で切り抜ける覚悟を決め数人を倒すが、指揮官らしき男はサトゥムの娘タイーサを人質にしていた。マンレイドとラクシは抵抗をあきらめ剣を置くと、タイーサが隙を見てラクシの下へ逃げ出す。咄嗟にサトゥムとマンレイドが数人を倒し、ラクシにタイーサを連れて逃げるよう指示、ラクシは森の中に逃げ込む。二人は必死に抵抗するが、二人とも重傷を負わされ、敵の手に落ちる。隠れているラクシはタイーサの開放と二人の手当てを条件に出頭する。しかし、指揮官は、サトゥムを殺し、マンレイドに剣を突き立てる。
父とマンレイドのそばで助けを祈るタイーサの叫びがティーエに届くとティーエは幽魂投出でタイーサの下へ。そこに、火事の混乱でマンレイドらの行方を見失っていたバリカイとターリスらがやって来る。ティーエらはタイーサから事情を聴き、マンレイドの傷が浅かったのはサトゥムがかばったからだと知る。ティーエはタイーサの体を借りてマンレイドの傷の手当てをする。
二日後、マンレイドらがいるヴァユラの村にティーエらが到着する。ティーエは、シルバの力を借りマンレイドの治療を再度行って、もう一つの命も大事ないことをボイスに告げる。ボイスはマンレイドがボイスの子を宿していることを知る。
ラクシの身を案ずるティーエのもとに脅迫状が届けられる。目的はティーエを首都コーナムに誘い出すこと、相手は宰相ロストルとそれと手を組むソグドム教新統一派、実行はおそらくレスドゥだ。ティーエはコーナムに向かうことを決め、ヴァユラの村を出て、ルイーン・アールに到着する。ヴィザンはヘルルダルがコーナムへ連れていかれたと言い、一か月後のサラ・ソグドの大祭で生贄の儀式が行われるであろうことを告げる。
一行はコーナムに到着する。不案内なティーエらはラクシの捜索をシルバらに任せるしかなく無為に時を過ごしていた。ターリスからグラウル、シレル、ジャカンらがコーナムに来ていることを聞かされているがつなぎは無かった。ティーエはラクシの気配を感じていたが、ソグドム教の聖職者たちに察知されるため幽魂投出の捜索は出来ない。「死にたい」ラクシの強烈な感情がティーエに伝わる。ラクシはマンレイドとお腹の子の死に責任を感じ、自分がティーエの足手まといになることを心配し、自殺を図ろうとする。ティーエは幽魂となりラクシの下へ「いけません。ラクシ、生きるんですっ」ラクシに事情を話し、勇気づけ助け出すことを誓う。
コーナムに広がる意図的に流された噂が世界の相ティーエの存在を示唆し、ローダビアの次期国王争いに影響を及ぼし始める。ティーエは、シルバの使者に連れられソグドム教会堂に赴く。シルバは会堂総長ベルクカルらに引き合わせると、ティーエにヘルルダルとラクシを自由にする代わりにティーエが生贄となることを強要する。ティーエはボイスの制止も聞かず承諾してしまう。
ラクシが戻る。ラクシはマンレイドにしがみつき泣きじゃくる。皆一様に喜ぶが、ラクシは重暗い空気を感じ取り、ティーエがヘルルダルに変わり生贄の儀式に臨むことを聞かされる。ティーエは心配する仲間に引き受けた理由を説明し出す。儀式は2日間、初日に地脈を使い大陸全土の神殿にメッセージを送り、生贄の儀式の日に人々の祈りで地脈にたまった悪しきものを取り除くのだと…。皆は自分たちの出来る事、ティーエを守るということに集中すると誓いあう。ティーエは、心配でたまらないラクシを優しく抱き寄せる。
1日目の儀式が始まる。ティーエがピラミッドに上ると空からケントウリ族の乗り物が現れ、それにティーエが連れ去られる。ティーエは、ケントウリ族のケイローン、ジヌーハそして代表者ボルザーンと会い、水晶の秘密を聞く。ボルザーンは水晶の開放を約束する。そして、ティーエは、アドリエ巫女王システリナ、アステ・カイデ大司祭カリスウェンと巫女王レイトリンの協力を取り付ける。
生贄の儀式が始まる。空からティーエが現れ、集まった群衆に向かって呼びかける。「祈ってください。皆さんが大陸を救うのです」と…。ティーエの声は群衆の心に届く。その祈りに合わせたように大地が鳴動し、封印が解かれたアステ・カイデのピラミッドの水晶から一条の太い光の柱が天に突き抜けた。大陸は救われたのだった。