■レビュー内容
「実はわたしも、ひとの亡くなるお話は嫌いなんです」
やっぱり、本郷に直接聞けばいいってのが鍵でしたか。殺人事件のないミステリーなのにサスペンス感があって楽しめました。入須の返事に奉太郎は何を思ったのか…気になります。
■あらすじ【ネタバレ注意】■
結局、沢木口の解決策も却下した古典部員達は帰途に就く。帰り道、奉太郎は入須に待ち伏せされお茶に誘われる。三人の探偵役の解決策が却下されたことを聞いた入須は、奉太郎を探偵役に指名し、君にはその才能があり、特別であることを自覚しろというのだった…、味でしょう。
夏休みに部室に来た奉太郎は、里志と摩耶花に散々に言われるが、未完成の映像と三人の探偵役から得た情報から、ある結論に達する。奉太郎は、入須を前に推理を披露し、入須から本郷の謎を解いたのだと、礼を言われるのだった…、万人の死角。
夏休みが終わり、完成したビデオ映画の試写会に呼ばれる。奉太郎以外の古典部員へのお披露目でもあった。試写が終わり、F組の生徒からは概ね好評価のように思われた。だが、摩耶花からはザイルはどうしたのかといわれ、里志からはホームズを参考にした脚本が叙述トリックのはずがないといわれ、千反田からは本郷が半ばで脚本を諦めなければならなかった心境が察しられないと言われてしまうのだった…、Why didn't she ask EBA?。
三人の指摘が的を射ていると感じる奉太郎は、再度考え始める。そして、ある事に気付くのだった。今度は、奉太郎が入須をお茶に誘うのだった。
今回の騒動は、最初から入須が仕組んだものであると話し始める。入須は、本郷を悪者にしないため、ビデオ映画を完成させるため、出来上がってしまっている物をちゃんと使うため、つじつまがあうシナリオが必要だった。その能力のない探偵役三人を出汁にして、奉太郎をおだてシナリオを作らせたのだった。
才能があり特別だと言ったのは、嘘なのかと詰め寄る奉太郎に入須は、全く動じず本心からの言葉ではない、それを嘘と呼ぶのは自由だと言い放つのだった。
最後に残ったのは、千反田の疑問に応える事だけだと奉太郎は、本郷が脚本を途中で諦めてしまった心境を解き明かして見せるのだった…、愚者のエンドロール。