■レビュー内容
「八軒くん、人気だねー。うん。労働力としてね」
頭でっかちで、視野の狭い少年の世界が少しずつ広がっていきます。経済動物にしろ、愛玩動物にしろ、生き物と関わると何かしら感じるもの、少年の成長物語。
■あらすじ【ネタバレ注意】■
ごみ捨て場で石窯を見つけた八軒らは、ピザが焼ける石窯に興奮する。なぜか八軒がピザを焼くことになり、御影ら女子の「食べた~い」の一言で、いろいろと調べ始めるのだった。
八軒は、小麦、野菜、チーズなどを皆に手伝ってもらいながら校内から食材を集める。ベーコンの調達を酪農科に頼みに行くと、売れ残りを試食させてくれるのだが、そのベーコンはつい先日まで子豚だったものだと言われ、子豚に名前を付けてしまった八軒は、食べられるのかと問われる。その旨さに舌鼓を打ちながらも、思い悩むのだった。
ピザ焼き当日、先生達まで集まってきてパーティーになってしまう。八軒の様子を見に来た中学の担任教師まで、参加していた。八軒は、成績にも点数にもならないことでも一生懸命になることが、こんなに楽しいことなんだと知るのだった。
夏休み、改修工事で寮にいられなくなった八軒は、実家に帰らず御影の家のアルバイトをすることに。御影の父親が腰痛で入院することになり人手が足りないとのことだった。
バイト初日。八軒は、実家に帰省しないことを連絡しようとするが、広大な敷地で携帯が圏外、繋がるところを探し休憩時間にお隣さんだと言う駒場の家の方面へ散歩に出るのだが、駒場宅には一向に着かず、道に迷ってしまう。とっぷりと日が暮れてしまうが、駒場に見つけてもらい一安心するのだった。
御影宅でも八軒を捜しており、八軒は、仕事をサボってしまったことを詫びるのだが、御影はこんな山奥で行方不明になったら命に係わるのだと心配していたと言うのだった。
お隣だと言う駒場宅は、御影宅から8㎞も離れていた。御影の祖父が迎えに来てくれたのだが、途中で鹿を撥ねたといい、鹿の解体を八軒にやってみろと言う。生きることは命を頂くこと、出来ないと逃げていてはいけないのだと意を決し、教えてもらいながら鹿を解体するのだった。
バイトを始めて数日が過ぎる。翌日に休みをもらった八軒は、駒場が言っていた同級生の稲田多摩子の家の農場を見に行くことにする。八軒は、御影家や駒場家とは比べ物にならない大規模農場に驚く。効率を求め機械化し利益最優先という稲田家、多少の非効率は許容し小規模安定重視の御影・駒場家と答えは一つじゃないんだと感じるのだった…。