■レビュー内容
「オーディン、覚えておけよ。魂というものは磨り減るものなんだ」
イエスの処刑の後、現在に至る経緯が明らかに、見事な構成です。逃げ出そうとしていたジョシュアが死を選んだ心情は、マリアとの事だけではないような…。オーディンと再会したからこそなのでしょうか…。
■あらすじ【ネタバレ注意】■
フレイアの無事を確認したオーディンは、イエスを連れ自宅へ帰る。イエスは、処刑された後、ポンペイでオーディンと再会するまでのことを話し出す。
アテナは、スコットランドのバートリー夫人の下を訪れ、アルゼンハイムの森にあった棺のことを聞くと、夫人を伴ってアルゼンハイムへ向かう。ソフィアとルーの助けを得て、バートリー夫人の案内で棺のある洞窟へ入り、棺の前で祈りをささげたアテネは、ポンペイでのことを思い出すのだった。
処刑され遺体を放置されたイエスは、生命活動を維持するため体の体積を減らし子供の姿になり、そのままになってしまう。マリアとともに南仏に逃れたが、ポンペイに「イエスの父親」がいると言う噂を聞き、マリアを残しポンペイへ。やっと見つけたジョシュアは、堕落してしまっており、イエスのこともすぐには分からない始末だった。
イエスは、ポンペイで貴族の屋敷に拠点を作り、アテナを奴隷商から買い取った後、屋敷に匿っていた。アテナは、巫女の才能がありイエスにいくつかの予言をする。ポンペイの町が滅ぶこと、ジョシュアが誰かに追われベスビオスの火山へ登って行くことを…。
イエスの父親の噂を聞きポンペイの町へ来たオーディンは、イエスに会った翌日のジョシュアと偶然出会う。ポンペイから逃げ出そうとしていたジョシュアは、オーディンに会ったことで吹っ切れたのかもう終わりにしたいと、ベスビオスの火山へ登って行き、火口へ身を投げてしまうのだった。
そして、ベスビオス山が噴火する。ジョシュアを捜しベスビオス山へ向かったイエスは、降りてきたオーディンと出会うが、ジョシュアの死を告げられる。地震と噴火が激しくなると、二人は離れ離れになってしまうのだった。
町に戻ったイエスは、崩壊してしまった屋敷を前に必死にアテナを捜す。アテナは瀕死の重傷を負っており、イエスはアテナを助けるために自身の血を分け与えるのだった…。