■レビュー内容




「そりゃそうさ!おいしく育てよって注ぐ愛情だもの」
世間知らずで劣等感の塊なのにお人好しな八軒の家庭環境も徐々に明かされてきます。鶏の卵、鹿の解体、経済動物の世話のバイト等々を経て、得たものを使って答えを出そうともがく。物語の構成が秀逸です。
■あらすじ【ネタバレ注意】■
バイトにも慣れたそんなある日、兄慎吾が訪ねてくる。勇吾が帰ってこないと言っているから母に様子を見て来てと頼まれたのだという。八軒は、東大合格を果たしたのに中退して、ラーメン屋になるなどという言葉の通じない兄が苦手だった。慎吾は、勇吾の様子を見て母親に大丈夫だと連絡するのだが、替わった父親に二人とも碌でもないことをしていると言われる。だが、慎吾は、言う通り東大には入ったんだ、後は好きにさせてもらうと言い放つのだった。
嵐のように兄は去って行き、バイトも最終日となるが、八軒は大失敗を犯してしまう。バイト代を貰えないという八軒に、御影家の人たちは、人は誰でも失敗をすると諭す。八軒は、苦労して手に入れたお金の使い道を考え始めるのだった。
二学期が始まる。名前を付けた子豚が気になり豚舎へ向かった八軒は、子豚がまるまると肥え、立派な豚になっていることに驚く。畜産実習の富士先生からもうすぐ出荷だと言われた八軒は、命を頂くことの答えをまだ出せていないと焦るのだった。
八軒は、答えを出すため豚舎の仕事を買って出る。そんな中、豚丼が出荷される日が来る。八軒は、富士先生に豚丼を買い取りたいと言い出す。ペットとしてなら許可しないという富士に八軒は、肉となった豚丼を買い取るというのだった。
豚丼が出荷され数日後、家畜がと畜場へ運ばれ枝肉となるまでの工程を視聴する授業がある。必修ではないという授業に参加した八軒は、鹿の解体をしたこともあってか最後まで見ることが出来るのだった。
そして、肉となった豚丼が帰ってくる…。