はじめのいっぽのてまえ

2021/06/15(火)12:00

アドルフに告ぐ 第2巻

まんが(1789)

アドルフに告ぐ(文春文庫版)(2)手塚治虫(著者) ■レビュー内容   「ぼく、日本人かい?ドイツ人かい?できればドイツ人がいいよ」  ヒトラーの出生の秘密を巡って事態が二転三転とするスリリングな展開です。権力によって人は抑圧され、差別や偏見によって人権は無視されて行く様は、最近の世界情勢を見るにつけ身につまされる。  日本もつい70年ほど前には帝国主義で自由などなかったんだと思い知らされる。昨今の香港やタイ、今現在最悪のミャンマーを目の当たりにすると、何とか自由な国で良かったと思う。韓国にしろ30年くらい前までは軍事政権だったんだよなぁ。東欧の民主化やアラブの春など自由や人権が重視されてきたんじゃなかったのか?評価にしろ批判にしろ自由にモノが言える社会であってほしいが、やっかいなことに最近は政治体制だけの問題じゃないからなぁ…。 ■あらすじ【ネタバレ注意】■ 勲が手にした重大な情報は、恩師の小城先生宛に送られていた。小城は、訪ねてきた草平に手紙を全て渡すことにする。草平は、やっとの思いで文書を手に入れ、その内容がヒトラーにユダヤ人の血が流れていることを示す文書で、ナチスを転覆させかねないものだと知る。だが、草平は、小城に張り付いていた特高の赤羽に目を付けられてしまう。逃げ切るために偶然通りかかったカウフマン夫人からお金を借りなんとかその場をしのぎ、文書をある場所に隠すのだった。  アカの証拠を押さえ小城も逮捕したい赤羽は、執拗に草平を追う。草平は、カウフマン夫人にお金を返した直後に逮捕され、文書を出せと迫る赤羽に拷問を受ける。自宅前で逮捕されて行った草平が心配になったカウフマン夫人は、知り合いの憲兵隊本多大佐にお願いして草平を釈放してもらい、自宅で治療をする。草平のもとに次々に各国情報部が、文書を売れとやってくる。草平は、本多大佐からも釘を刺されたこともあり、カウフマン夫人に迷惑をかけないよう置手紙をして出ていくのだった。  特高に目を付けられた草平は、会社も辞めざるを得なくなる。執拗に赤羽に付け狙われ、下宿や仕事場を転々とするしかなかった。赤羽は、文書の在りかが草平が毎日通うゴミ捨て場のどこかだとにらんでいた。やってきた草平を前にゴミ捨て場に火をつける。草平は仕方なく文書を取り出すと、赤羽に取り上げられてしまうのだが、赤羽は転んだ拍子に頭部に怪我を負い意識不明に、草平は放火と傷害の罪で捕まってしまうのだった。  草平を取り調べる仁川警部は、草平が犯人ではないとにらんでいた。目撃証言で疑いが晴れた草平は、仁川を信用して全てを打ち明ける。草平は、赤羽の持っていた文書を取り戻したいと言うのだが、意識を取り戻した赤羽が文書を持って行方不明になってしまう。赤羽を捜すという草平の身を案じた仁川は、草平と行動を共にする。草平は、小城のことを思い出し、彼女の故郷若狭へ向かうことにするのだった。  ドイツ情報部ランプが来日する。ランプは、勲の殺害や草平の拷問を指示した人物で草平がドイツを後にしたあと自殺したリンダの父親でもり、重大な情報の漏洩の阻止と娘の復讐のため、草平を追うのだった。  草平は、若狭で小城の兄に会う。身内がアカと知られたくない兄は、赤羽と妹を殺し海に捨てたと言うが、草平は信じない。兄をつけ回し小島に二人を監禁していることを突き止める。小島で小城に再会した草平は、勲の残した文書を手にする。だが、草平の行動はランプにも察知され、小島で仁川と兄が殺されてしまう。諦めず抵抗した草平は、ランプを崖下に落すのだが、文書も海に落ち失ってしまうのだった…。

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