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はじめのいっぽのてまえ

全89件 (89件中 1-10件目)

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2020.03.28
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 ■レビュー内容
 

 「支僑さま、本当なの…?」
 『落照の獄』には考えさせられました。昨今の常軌を逸した事件に憤り、死刑にしてしまえと思うのだが、執行を任せれたらやっぱり躊躇する。理屈ではなく反射とはうまい事表現されてます。死刑廃止論は、結局責任転嫁で間違ってもよいという気の緩みにつながりかねない。かといって人は過ちを犯すもの…、どうしたらよいものやら。『青条』は、十二国記らしい鬱々展開が続くのだが長すぎちゃう?ホッとできるのは終盤ちょこっと、辛かった。それに比べ『風信』は蓮花の思いが響いてグッときましたよ。青条と風信を合わせて路木、里木、野木の解説にもなってます。

 

■あらすじ【ネタバレ注意】■

丕緒の鳥
 夏官射鳥(せきちょう)氏に仕える丕緒は、役所に呼び出される。遂良は、新王が登極したといい大射の儀式の準備をしてもらいたいという。祭礼に際し弓を射る儀式で、射儀で的にする陶鵲(とうしゃく)を誂える仕事をしている丕緒だったが、予王の射儀で苦い思い出のある丕緒は、陶鵲を作る意欲を失くしていた。
 とは言うものの何もしなわけにはいかず、陶鵲を作る冬官府を訪ね工匠の主青江(せいこう)に会い、事情を話す。丕緒は、時間がないことを理由に以前に作った物を流用しようというのだったが、多くの工匠がいなくなり同じものを作るにも、やはり時間がかかるのだと言う。ならばと、新たに作ろうにも丕緒は、思案に暮れてしまうのだった…。
落照の獄
 柳国を震撼させた殺人鬼狩獺(しゅだつ)が捕まる。十六件二十三人の殺人に関与した狩獺は、群秋官、州秋官で殺刑に処されたのだが、劉王の殺刑を禁じた詔があり、州秋官は国府秋官へ送り、三度目の審理が行われる。
 国府秋官で司法府の司刑(しけい)を務める瑛庚(えいこう)は、娘の李理(りり)から「人殺しになるの」と言われてしまい、八歳の子供も知る狩獺の審理をすることに憂鬱になっていた。道理など分かるはずもない李理にはそんなことはしないと答えるのだったが、妻は李理と同じ年の子供が殺されている、遺族のことを考えれば殺刑にするべきだというのだった。
 審理が始まる。典刑(てんけい)の如翕(じょきゅう)、司刺(しし)の率由(そつゆ)の表情も瑛庚と同じく冴えない。この審理にあたって、殺刑の是非を主上に問うたが、主上は明確に指示を出さず秋官に任せるといったという。主上は明らかに政務に関心を失っている、柳国は傾きつつある。そんな中、殺刑を復活させれば、国はますます傾いていくのではないかという懸念を瑛庚らは抱えていたのだった。
 しかし、審理を尽くせば尽くすほど狩獺は殺刑に該当し、殺刑を禁じる意味はただ理性から来る野蛮だからと言う一点に尽きてしまい、禁じる意義を見出せないでいた。だが、殺刑に処すことを考えるとどうしても躊躇してしまう、何故か。殺刑を望むことも殺刑を躊躇することも理屈ではなく反射などだと思い至る。ならば、あとは罪人が教化できるか否かにかかわるのだと結論に至り、瑛庚らは狩獺に会いに行くのだった…。
青条の蘭
 継州出身の標仲(ひょうちゅう)は、地官庁の迹人(せきじん)国官の最下層の役人である。故郷に戻った標仲は、旧友で郷府の山師(さんし)となった包荒(ほうこう)と山に入り、変色し石化した一本の山毛欅(ぶな)の木を見つける。大事はここから始まった。
 初めは、標仲も包荒も気にも留めなかったが、数年が立ち帰郷した標仲のところに駆けつけた包荒は、慌てて一緒に山へと誘う。あちらこちらの山毛欅が石化していた。それでも、標仲は木の実をあまり付けない山毛欅が枯れたところで影響はないと思っていた。
 さらに、月日が経ち帰郷した標仲は、石化した山毛欅が建材として売れたという話を聞く。村人は喜んでいるようだったが、包荒は標仲に声を荒げて警告する。山から山毛欅が失われれば、山が崩れ里も民の命も飲み込まれると言う。包荒の説明にやっと事の重大さを悟った標仲は、包荒から野木(やぼく)から薬になる植物を探してくれと言われる。まさに、それが標仲の迹人の職分だった。
 標仲は、国中の森を回り薬となる植物を探すが一年たっても見つからない。包荒は、標仲に興慶(きょうけい)という猟木師を紹介する。浮民である猟木師は、野木から新種の植物を採取し商いする言わば、迹人の仇だった。初めは興慶を嫌っていた標仲だったが、その知識と見識の高さに感心する。興慶の協力を得てほどなくして薬となる植物が見つかる。だが、野木の下に群生するその植物は、直ぐに枯れてしまい、移そうにもあらゆる土や接ぎ木を試すも根付かない。三人は途方に暮れ四年の歳月が過ぎるのだった。
 やっとの思いで薬となる植物を移すことに成功した標仲らは、その植物に「青条」と名を付ける。株分けにも成功するが、圧倒的に数が足りない。山毛欅の病を治し山を守るには青条を国中の里木にその実を付けるしかない。それには王が路木に青条の実を付けるよう願うことが必要だった。標仲は、私財をなげうち役人に賄賂を渡し国府への陳情を願い出るのだが、やって来た役人は標仲らを拘束し、青条を金になるものと思い込み略奪しようとするのだった。いくつかの青条が切り倒されてしまったことに怒った興慶が役人の一人を切り殺してしまう。包荒は、すぐさま浮民である興慶に金を渡し国を出るよう言いうのだった。
 当てにならないと分かっていた役人をあてにした自身の愚かさを呪う標仲は、差し迫った危機を回避する術はもう自分が国府へ行くしかないと、残った最後の青条を笈箱に入れ、国府へ向け出発するのだが…。
風信
 十五歳の蓮花(れんか)は、いつものように母の手伝いを妹としていた。この日は、蓮花にとって忘れられない日となる。母と妹が突然現れた空行師によって殺され、父や祖父も州師の兵士によって殺されたのだった。この国から女を追い出すという王の理不尽な命令のためだった。蓮花ら女たちは、他国へ移されるため麦州の港へ向けて歩いた。その道中に、王が亡くなったとの報を聞き、多くの女たちは故郷に取って返すのだった。
 故郷に戻っても家族のいない蓮花は、摂養(せつよう)という街の郡春官の保章氏の嘉慶(かけい)の下働きとして身を寄せるのだった。
 暦を作るという保章氏の元には数人の部下がいた。候気の清白(せいはく)、候風の支僑(しきょう)、掌暦の酔臥(すいが)は、変わった人物でそれぞれ調べ事に没頭していた。蓮花は、そんな人々の世話係をするうち、調べ事の手伝いをするようになるのだった。
 暦を作るということが大変で重要なことかを学んだ蓮花だったが、彼らの浮世離れした行動には閉口していた。ある時、王が登極したと言う噂にそれが偽王だと言う噂が交錯する中、各地で紛争が起こるのだが、彼らは全く関心がない。だが、そうもいっていられない事件が起こり…。







Last updated  2020.03.28 11:43:33
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2020.01.02
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 ■レビュー内容
 

 「良い実が生ると喜んでくれます」
 華胥の幽夢は、良質のミステリーを読んでいるようで、特に後半背筋がゾクってしました。何度聞いても「責難は成事にあらず」って言葉には身につまされる思いがする。何事も後ろ向きでネガティブ思考なんで、「でも」「だって」「無理」…が口癖のように出て、つい不平不満を口にしてしまう。非難する前に、考え、行動するよう心掛けてはいるんですが…。アニメでも斎王と梨耀との会話の中にちらっと出てきます。
 珠晶の話に出てきた利広の正体が帰山で分かります。アニメでチラ出していた風漢って名前も出てきます。アニメだと絵面で誰だかはっきりわかってしまうんですが、こちらは何となくって感じ、小説はこういう楽しみがありますね。

 

■あらすじ【ネタバレ注意】■

冬栄
 驍宗の登極からしばらくが経ち、泰麒は驍宗から漣国への使者を仰せつかる。まだ、国も安定しない中、使者として国外へ行くことに不安を感じるのだったが、蓬莱からの帰還の時にお世話になった廉麟へのお礼と暖かい南の国と言う興味もあり役目を務める。
 泰麒一行は、半月をかけ漣国の首都重嶺(じゅうれい)に到着する。廉王の居宮雨潦(うろう)宮に招かれるのだが、廉王は変わった御仁らしく泰麒を雨潦宮の庭に作った畑で出迎えるのだった。元は農夫で、これは仕事だという廉王に興味を持った泰麒は、連日のように雨潦宮に廉王を訪ね、畑仕事を手伝う。王は仕事ではないのかと尋ねる泰麒に、廉王は王は役目だと、仕事は自分で選ぶもので役目は天が下されるものだという。王を選び幼く何も知らない自分には、もうできることがないと思っている泰麒に、廉王は王が国を見守るように麒麟は王を見守るのが役目だという。泰麒は、自分に出来ることを見つけるのだった…。
乗月
 峯王の崩御から4年が経ち、一時の混乱は治まる。峯王弑逆の首謀者恵州候月溪は、前王朝の主だった官吏に王朝を託し、恵州へ帰ることを告げる。月溪が朝を率いてくれるものと思っていた冢宰小庸(しょうよう)以下官吏らは、混乱する。そんな折、慶国から月溪への使者がやってくる。事情を聴いた月溪は、景王からの親書は冢宰が受け取ると言い残し、自室へ引き上げてしまう。慶国使者禁軍将軍青辛(せいしん)は、小庸から事情を聴くと、冢宰が親書に目を通し月溪へ見せるかどうかは決めてほしいと、景王の親書とは別にもう1通祥瓊からの手紙を差し出すのだった。
 小庸は、すぐに月溪を呼びにやり、事情を話す。青は、祥瓊が慶国で景王の女史を務めているという。祥瓊の恭国での振る舞いを知る月溪はすぐには信じられなかったが、青から恭国での行いも知った上で景王みづから取り立てられたと聞く。月溪は、青を自身の屋敷に招くのだった。
 青をもてなす月溪は、次第に自身のしたことを青に吐露する。月溪は、峯王を弑した大逆の罪人が芳国を統べることは出来ないと思っていた。皆は民の為になした美談だと言うが、民の為などではなく昔からよく知り尊敬していた峯王が民からこれ以上憎まれるのが苦しかったのだと。それでも、青はそれは民の為と同義っだといい、月溪が峯王のことを敬愛していたのだと知り、その子祥瓊のことも気にかけていることを知るのだった。
 自身が玉座については祥瓊に許されないという月溪に青は、自分が芳に使わされた理由を考えてくださいといい部屋を後にする。一人残された月溪のもとに書簡を携えて小庸がやってきて、景王と祥瓊の書簡を差し出す。読み終えた月溪は、祥瓊が罪を償うため恭国へ赴くことを知ると、一州候という身分を捨て仮朝の王となることを決め供王へ祥瓊の減刑を求める親書を出すのだった。
 月溪が恭国へ親書を出し、その使者が帰参する。使者は、供王は内政干渉だと大層怒り、減刑はならず国内で見つければ即刻たたき出すと仰ったというのだった。月溪は、その言葉を聞き供王の温情に感謝するのだった…。
書簡
 雁国首都関弓山の麓の一室に一羽の鳥が降り立つ。楽俊はその鳥の労をねぎらい、銀の粒を食べさせると、その鳥は女性の声で話し出す。声の主景王陽子は、政務のことや官吏のこと、お気に入りの女官のこと、巧国に行ったことや楽州の母親に会ってきたこと、そして即位の儀式の日程が決まったことと来てほしいことを話すのだった。聞き終えた楽俊は、鳥を頭の上に乗せ銀の粒をやり、鳥に向けて自身の近況を話し、窓から放つのだった。
 雁国首都関弓から慶国首都堯天へ3日をかけて飛んだその鳥は、陽子の元へ戻ってきていた。1日の政務を終え自室で女官とともにくつろぐ陽子に、その鳥は楽俊の声で話し出す。陽子は、延
王と延麒、そして大学の先生や生徒に良くしてもらっていること、母親の様子を見て来てくれたことへのお礼、即位の儀式には延麒に連れて行ってもらえることを聞く。
 一緒に聞いていた女官の玉葉は、陽子が楽俊に官吏ともめ事もなくと報告していたことに気を止める。陽子は、別に嘘は言ってない、もめる以前の問題だからという。玉葉は、心配させたくないのかと問うと、ちょっと背伸びがしたいんだと答えるのだった。半獣で巧国からの難民の楽俊が全て上手くいっているはずがない、苦労し努力しているに違いない。でもきっと楽俊は何も言わない、だから自分も頑張ろうって思えるのだというのだった…。
華胥の幽夢(かしょのゆめ)
 采王砥尚(ししょう)登極から20年余り、采麟が失道し、才国はまた沈もうとしていた。砥尚は、前王の治世が揺らぎ始めた頃から民の支持を得て、国政の乱れを正し荒廃と戦ってきた。前王が斃れた後、誰しもが砥尚こそが王となり才を救ってくれると信じていたが、その治世はたった20年で沈もうとしていた。
 采麟失道の報に接し動揺する官吏らを集めた砥尚は、以前と変わらず覇気に漲り威厳を発し、進むべき道は明らかであると確信に満ちた表情で言うのだった。
 冢宰栄祝(えいしゅく)と妻で地官長大司徒朱夏(しゅか)は、深夜に天官庁小宰の火急の用での来訪を受ける。小宰は、砥尚の父大昌(だいしょう)が何者かに殺され、砥尚の弟馴行(じゅんこう)が行方不明だというのだった。
 事件から数日が過ぎ、栄祝が夜遅く帰宅、身の回りの世話をしている青喜(せいき)と朱夏が呼ばれ、栄祝は青喜に事件の前日に馴行と会って話をしていたことを尋ねる。青喜は、馴行とのやりとりを包み隠さず話す。その時、屋敷に禁軍の兵士が入ってきて、栄祝と朱夏に謀反の疑いありとして拘束するというのだった。
 翌朝を迎える。このままでは、一族郎党処刑となる状況だったが、更迭された秋官長大司冦に変わって小司冦がやってきて、自宅での蟄居を命じ、さらに朱夏と図って謀反を企てた采麟を奏へ出すと言い、その同行をせよと言い渡すのだった。仁獣である麒麟が謀反を起こすなどあるはずもないことを知っている小司冦の顔にも苦渋の色が浮かんでいた。采麟に同行し戻って来るなと言う小司冦の言を入れ、栄祝らは采麟とともに奏へ向かうのだった。だが、奏で采麟を預け栄祝と朱夏、青喜は、残りの従者を残し才へ引き返すのだった。
 再度、館に蟄居を命ぜられた3人だったが、その後の沙汰もなく数日が過ぎる。そしてまたしても、小司冦が館を訪れる。小司冦は、馴行の遺体が華胥華朶とともに見つかったといい、栄祝に対処を任せたいというのだった。蟄居中の身の栄祝だったが、砥尚の母で太傅の慎思(しんし)の勧めだと言われ館を後にするのだった。
 青喜は、馴行の遺体と華胥華朶が一緒に見つかったことである疑問が浮かぶ。その訝る表情を見て取った朱夏は、気付いたことを話しなさいと青喜に詰め寄る。青喜は、あくまでも推測ですがと前置きしつつ、事の真相を話し出すのだった…。
帰山
 利広(りこう)は柳国首都芝草(しそう)に来ていた。街を見た利広は、良くないとと感じ言葉に出していた。「何がだ」と古くからの知り合い風漢(ふうかん)が後ろから声をかけてきた。風漢と利広は数百年来の旧知で、初めにあった時より風貌は変わらない二人は、普通の「人」ではなく、傾いている国を見て回ると良く出会うのだった。その夜、利広は風漢から柳の現状を聞き、芝草で覚えた感覚に確信を持つのだった。
 風漢と別れ利広は、荒れ果て沈んでいく国々を見分し、奏へ帰国する。滅びない国はない、その言葉を胸に刻む利広を待っていたのは、宗王先新(せんしん)后妃明嬉(めいき)兄利達(りたつ)妹文姫(ぶんき)そして、宗麟昭彰(しょうしょう)、600年を超える統治になるこの国は、こうして皆で助け合っていれば大丈夫だと思うのだった…。







Last updated  2020.01.02 10:28:02
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2019.10.20
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 ■レビュー内容
 

 「できる限りのことを超えたら許してもらいたい」
 この世に不可侵の条理や真理があるのなら、もっと楽に暮らせるのだろうか。それは神に祈ってもダメ、こっちは叶えてあげましょう…みたいに教えてもらえるような。李斎が西王母や玄君に憤るのは理解できる、神々の言は小を犠牲に大を救うというシステムのようで正論なんでしょう。でも、正しいからと言って受け入れられないこともあるよなぁ。
 何年ぶりか、十二国記の新作が出るって聞いてワクワクしてます。やっとの思いで、この話の続きが読めるんですね。楽しみ!!!!

 

■あらすじ【ネタバレ注意】■

 陽子は、寝ている李斎の寝間にいた。陽子に気づいた李斎に陽子は話しかける。同じ胎果である泰麒を思い、荒廃する戴国の民を思い苦しくなるのに、何もすることが出来ないのだと。李斎は、自分が犯した罪の重さを思い知り、陽子に兵を出してはなりませんと言うのだった。陽子は、李斎の真意を悟り、出来る限りのことをする、しかし出来る限りのことを超えてしまったらどうか許して欲しいと言うのだった。
 戴国の現状を確認し、戴国への直接関与は避け、泰麒の捜索が今できることだという結論に達する。だが、泰麒を見つけるのに10年かかったと言う六太は、簡単に泰麒を見つけることは出来ないだろうと言う。陽子は、以前から考えていたと言い語りだす。この世界では各国が協力して何かをなすことをしないのだと言うが、一つの国でどうにもできないことでも、協力すれば解決できることもあり、それを取りまとめる何かがあってもよいのではないかと。一同は思いもよらない提案に驚く。今回は、尚隆が調整役になり、各国へ打診することが決する。
 数日後、陽子は六太から恭、範、才、漣、奏の5か国の協力が得られたことを聞く。奏、恭、才が崑崙を、慶と雁は範、漣と協力して蓬莱を捜索することになる。陽子は、六太に連れられて蓬山へ行き、碧霞玄君と会う。六太は、泰麒捜索を天の定めた摂理に合致するかを問うのだと言う。玄君は、陽子らにこのままでは泰麒が不憫だと言い、六太の申し出を受けるのだった。翌日、陽子らは、泰麒捜索の件は天の条理に反しないとの回答を得、他にいくつかの返答を受け二人はそれぞれ帰国する。
 帰国した陽子を祥瓊が待っていた。祥瓊は、範国の使者がやってきて李斎に会いたいと言っていて、使者は城下の宿屋で待ってもらっていると言う。氾王からの親書を読んだ陽子は、祥瓊から事態の詳細を解説してもらい、やっと氾王自身が来ていて大事にせず李斎と会いたいのだと言うことを理解する。陽子は、景麒と浩瀚に相談し使者を迎える。
 李斎は、起き上がり支えがあれば歩けるほどまで回復していた。氾王であることは伏せ李斎に会わせると、氾王は李斎に腰帯の破片と帯飾りを見せる。それを見た李斎は、床に崩れ落ち、驍宗の物であると言うのだった。李斎は、この帯飾りは氾王から贈られたものであることを思い出し、目の前の人物が氾王であることを悟る。氾王は、これが戴からの玉の荷の中にあったといい、その荷は文州淋宇(りんう)からだと言う。帯の状態から後ろから刃物で切らていおり、驍宗が酷い怪我を負ったことは明白だが、行方の手がかりになる。氾王は、李斎に諦めるなと言い、李斎は一縷の望みを抱くのだった。
 泰麒の捜索が開始される。以前に泰麒を見つけた場所をおぼろげながら覚えていた六太は、捜索を楽観視していたのだが、すぐにそれが裏切られる。蓬莱全土を大まかに探ったのだが、麒麟の気配がないのだった。泰麒が蓬莱から帰ってこられない理由があることが判明するのだが、それが何なのか分からないままだった。そんな折、氾麟と廉麟が使令が怯えて言うことを聞かないと言い出す。大きな穢れ、災い、凶があると言うのだが、要領を得ない。強力な妖魔のような者ではないかと気づいた李斎は、饕餮の傲濫ではないかという。しかし、使令は、饕餮だとしてももう使令ではないという。
 蓬莱に妖魔がいるはずもなく、正体を確かめるため六太らは蓬莱へ渡り、その正体が穢瘁(えすい)に罹った泰麒で、ほとんど饕餮を押さえることが出来なくなっていた。六太は、一刻の猶予もないと悟り、各国に助力の要請を行い、蓬山へ向かうのだった。
 六太は、陽子と同行を懇願した李斎をともない蓬山へ。玄君に会い泰麒の現状を報告し、助け出す方法を訪ねる。翌日、玄君は思いもしないことを三人に告げる。泰麒を見捨てろと…。それを聞き李斎は、仁道をもって国を治めろという天帝が無慈悲なことを言いうのかと激高し、次の泰麒が王を選ぶまでに戴国は滅亡してしまうと助命を懇願する。李斎の訴えに玄君は、泰麒が戻ってきても、麒麟の性を失い使令もなくどうやって身を守り、逆賊を打つのかと問う。右腕を失っている李斎は、返答に窮するのだが、泰麒があることが戴国民の希望となると言って引かなかい。玄君は、とうとう六太に策を授けるのだった。
 角を失った泰麒は、ほぼ人で廉麟の呉剛環蛇は通れず蝕を起こすしかない。しかし、蝕を通り抜けることは仙にしか出来ないため、一時的に雁に泰麒の戸籍を用意し、延王が蓬莱に渡り三公に召し上げ仙とし、蝕を通すというものだった。不測の事態が起こりかねない危険な賭けを実行する。
 泰麒は6年の年月を経て帰ってくる。しかし、穢瘁はひどく、すぐさま陽子、尚隆、李斎が玄君の元へ連れて行くのだが、手に負えないと判じた玄君は、西王母に泰麒を託すのだった。尚隆でさへ初めて会う西王母は、泰麒の使令は預かり清めてみようというのだが、泰麒については何も言わない。李斎は泰麒を救ってくれるよう懇願するのだが、西王母は戴のために何もできない者が必要なのかと問う。李斎は、このままでは戴は滅びてしまう、どうか泰麒という希望をと言う。しかし、西王母は、何故戴が滅んでしまってはいけないのかというのだった。意外な問いに李斎は、戴が滅びるのならそれは自分のせいだからだといい、それは許せないのだと。神々ですら救えないなら、せめて戴の民に光をというのだった。西王母は、病は治すだがそれだけだと言い残し、三人を追い払うのだった。
 泰麒とともに慶に戻った一行が、皆に報告を終えると、麒麟たちはそれぞれ国へ帰っていく。西王母が治すと言った泰麒はしばらくして目を覚まし、李斎と再会する。多くの助力を陽子や六太、景麒に謝すのだった。
 泰麒は自分が動けるようなると、これ以上慶にすがるわけにはいかないと、何が出来るわけでもないが戴に戻ろうと李斎にいうのだった。しかし、李斎は自分が武人としてはもう役に立たないことを自覚しており、泰麒を守るだけの力はない、どうにか泰麒を引き留めようとする。李斎は、自分が守りたっかものが戴国ではなく、泰麒だったのだと気づく。泰麒は、李斎が言ったように神々が見放した戴の希望となるために戻る決意をするのだった…。







Last updated  2019.10.20 10:32:39
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2019.10.17
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 ■レビュー内容
 

 「だめです。李斎、それだけは、だめ」
 上巻は苦しい話に終始するのは恒例で分かってはいましたが、李斎の苦悩はわかるが花影がどうなったのかすごく気になる。黒幕が誰かが判明しているだけいいか、それともまだ何かあるのか。驍宗への信頼が裏目に出た様相で、驍宗にも信を置ける者がいなかったってことになるんでしょうか。誰かに真意を伝えていればここまで酷くならなかったように思う、花影の大司冦抜擢の話の様に…。琅燦と李斎のやり取りもなかなか良かった、李斎も素直でよろしい。

 

■あらすじ【ネタバレ注意】■

 驍宗の登極から半年ほどが経ち、戴国北方の文州で大規模な反乱が起こる。驍宗は軍を派遣するのだが反乱が各地で起こり、泰麒を白圭宮に残し自身も反乱の鎮圧に赴く。まだ幼い泰麒には事の詳細は知らされず、心配が募る泰麒は使令を驍宗の守りに行かせてしまう。それを持ていた、文州の反乱の首謀者は泰麒に刃を向ける。信じていた者に裏切られ、麒麟の力の源である角を斬られた泰麒は、その場から逃れるため本能から鳴蝕を起こし、蓬莱へ戻るのだった。泰麒が気が付くと、そこは自身の家の前で自分にきつく当たった祖母の葬式の当日だった。ぼんやりとした意識の中で何か大切なことを忘れてしまった思いに襲われるのだった。
 陽子の登極から2年、驍宗の登極から7年ほどが経ったある日、凌雲山の中腹にある巨大な門に騎獣に乗り重傷を負った戴国瑞州師将軍劉李斎と名乗る女性が降り立つ。立つのもやっとの李斎だったが、景王に奏上したいという。ひと騒動の後、主上の護衛を務める夏官大僕虎嘯は、李斎の必死の嘆願に陽子に会わせることを決め連れて行く。必死に意識を保ち続けた李斎は、陽子に戴国を救ってほしいと嘆願し意識を失うのだった。
 陽子は、医者に李斎の治療を指示し、冢宰浩瀚には戴国の内情を調査させる。戴国の内情はおおよそ噂の域を出る情報はなく、宮城に王も麒麟もいないが、王も麒麟も死んではいないということぐらいしかはっきりしなかった。李斎の回復を待つよりほかに出来ることはなかった。12日ほどが経ち李斎の容体が安定し、話が聞けるまでに回復するが、李斎は壊死がひどかった右腕を失っていた。李斎は戴国の現状を語り始める。
 文州の反乱が各地に飛び火、轍囲(てつい)でも反乱がおこる。轍囲は驍宗との縁が深い地だったため、驍宗自身が軍を率いて轍囲へ赴く。そんな中、李斎は大司冦の花影からある流言を聞く。轍囲の乱が驍宗をおびき出すため裏で糸を引く黒幕の策ではないか、驍宗は罠に落ちたのではないかと。考え込む李斎に花影はさらに続け、それをも見込んだ驍宗の策で、昨年行われた先王朝で専横を極めた狡吏を粛正した冬狩の続きで、白圭宮に残された重臣の誰かの反意を誘うものではないかとも言うのだった。白圭宮に残された臣は、禁軍左軍将軍巌趙(がんちょう)、右軍将軍阿選(あせん)、瑞州師将軍李斎と臥信(がしん)、文官では夏官長大司馬芭墨(はぼく)、冬官長大司空琅燦(ろうさん)、天官長大宰皆白(かいはく)、秋官長大司冦花影、春官長張運(ちょううん)、地官長宣角(せんかく)、泰麒の側近では瑞州令尹正頼(せいらい)、主だったものの誰かが黒幕なのではないかという流言が囁かれていると。そんな折、泰麒の鳴蝕が起こる。朝は混乱を極め、必死の捜索にもかかわらず泰麒は見つからず、そこへ轍囲から驍宗が行方不明という凶報が届くのだった。
 陽子の情報提供の協力要請に応じ延王と延麒が慶国に来訪する。延王は、蓬山に戴国の麒麟の実はなく、泰王崩御の報もないことを確認し、不確かな難民からの情報としつつ、泰王と泰麒は弑逆され犯人が李斎だという者もあることを告げる。さらに、延王は陽子に王師を戴国へ向かわせることは例えそれが民のためであっても覿面の罪となり、王も麒麟も数日のうちに死ぬのだという。
 陽子は、弑逆の犯人とされていることを李斎に問うと、李斎は核心を語りだす。鳴蝕の後、混乱を極めた朝をまとめたのは阿選だった。阿選は、驍宗の安否確認のため白雉の元へ行き、白雉が落ちていたと言い白雉の足を示す。一同は王の崩御を知り落胆するのだったが、阿選は御名御璽の捜索、負傷者の救護、鴻基の被害状況の確認と次々になすべきことをなしていった。主だった臣も驍宗の信の厚い阿選に困難な状況を託すことに異を唱える者はいなかった。しかし、文州の乱は治まらず臥信が将軍がいなくなった兵を率いるため轍囲に向かう。さらに、李斎の故郷承州で反乱が起こり李斎が出陣することになる。その前日、李斎は花影の再訪を受けるのだった。花影は、先の流言のことを持ち出し、黒幕は阿選なのではないかと言い出すのだった。李斎は、その指摘を否定できなかった、不安を抱きつつ承州へ向け出陣する。
 進軍の途中、李斎は、天幕に白雉を管理する二声宮に勤めていたという春官大朴の下官を迎えることになる。その下官は、鳴蝕の日、二声宮に阿選が来て春官の役人を惨殺し、剣では殺せない白雉を壺に入れ埋め、雉の足をもって白雉の足に代えて持ち去ったと訴えるのだった。花影の杞憂が正鵠を射ていたことを悟った李斎は、王宮の芭墨と文州の霜元(そうげん)に阿選の謀反を知らせる。だが、翌日、阿選が派遣した空行師が李斎の謀反を鳴らしやって来たのだった。李斎は、鴻基への連行される途中で逃亡、それ以降大逆の罪人とされたのだった。
 各地を転々とする中、幾度か阿選への反抗の機会があったがことごとく失敗、阿選は自身を非難する者、驍宗を褒める者を容赦なく葬っていった。その行いは、戴国を手に入れようというものではなく国を滅ぼそうとしているかのようだった。
 李斎の容体が心配され話が中断されると、陽子は一人考え込む。王も麒麟も民も隣国もそして天帝も戴国の逆賊を誅することが出来ない。そんなことがあってよいのか、だが、なす術がないという。
 蓬莱の泰麒は、本来いるべき場所のことも自身の獣の本能も忘れてしまっていた。泰麒の中に潜む妖魔は、泰麒を見張る看守の穢濁をも容認し、泰麒を守ろうとするのだがその鬱金の色がかげるのを感じ取るのだった。







Last updated  2019.10.17 10:52:35
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2019.05.03
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 ■レビュー内容
 

 「誰が疑わなくても私だけは、私の王たるべき資質を疑っている」
 鈴、祥瓊、陽子の心情の移り変わりがグッときます。陽子と景麒の絆もより強くなっていく。虎嘯が昇紘を討つ理由ってのが正義感振りかざしてなくていいです。三者のそれぞれの話が、一つにつながっていく構成がとても気持ちがいい。祥瓊と鈴が住民と虎嘯らを説き伏せる場面、陽子が景麒に乗って迅雷を叱責する場面、初勅を言い渡す朝議の場面、どれも爽快で、お気に入り。
 アニメでもとても面白くて好きな話ですが、浅野がいないことと昇紘がダメダメな悪党ってとこらへんが決定的に違います。浅野がいない方が辛い話が長々と続かないのでいいかな。あと、祥瓊が楽俊に会いに行ったり、鈴が才へ向かったりっていう話もない。遠甫が松柏で鞘を作る話もなかったし、玉葉も鶯嬌も出てこんかった。

 

■あらすじ【ネタバレ注意】■

 鈴は、清秀を轢き殺した郷長昇紘とそれを飼う和州候呀峰という二人のケダモノの存在を知り、それを見逃す景王を許せない。それは、清秀を守れなかった自身に向けられた怒りだった。清秀の仇を討つため、冬器と騎獣三騅(さんすい)を手に入れる。宿を探していると清秀を葬る時に声をかけてきた少年夕暉(せっき)に誘われ宿をとる。宿には虎嘯(こしょう)という夕暉の兄もいた。数日、郷城周辺を探索し昇紘の動向を探り、ある夜、郷城へ忍び込むため三騅を連れ宿を出るが、虎嘯が鈴を止めるのだった。虎嘯は、自分たちは昇紘を狙っているから、仲間になれと鈴に言うのだった。そうして虎嘯らの仲間になった鈴は、宿の手伝いやら武器調達の荷受けやら雑用をこなし、機会を待つ。
 祥瓊は、楽俊と旅をするうち自身の過ちを受け入れられるようになっていく。そして、楽俊が友だという景王の慶国へ行くことを改めて決意する。楽俊と別れ、慶国に入る。旅の途中で聞いた止水郷へ向かうため和州明郭に入る。そこで、芳国にしかないと楽俊が言っていたはずの磔刑の処刑が行われている広場に出くわす。自身の体験が重なり、思わず刑場に石を投げてしまい、刑吏に追われると、陽子に手を引かれ助けられ、陽子は囮になって刑吏を引き連れて行くのだった。明郭の隔壁に阻まれうまく逃げられない祥瓊は、桓魋(かんたい)という男に救われ館に招かれ、少しの間手伝いをすることに。桓魋は傭兵をしているというのだが、誰かの指示で行動し、何人かの部下を動かしているようだった。
 陽子は、拓峰で無残に子供が轢き殺され、和州でも非道が行われていることを知り、訪ねてきた景麒と和州明郭を訪れる。明郭で磔刑がなされる場に居合わせ、刑場に石を投げる祥瓊を助けるのだった。和州の現状に憤りを感じつつ、明郭を後にし、拓峰で会った鈴が海客ではないかと気になっていた陽子は、拓峰へ立ち寄る。鈴から、陽子が罷免した麦州候が民から慕われていたことを知り、景麒を問い詰めるのだが景麒の返答に、改めて自身のふがいなさに気づくのだった。里家に帰り着いた陽子は惨状を見る。蘭玉は殺され、桂桂は瀕死の状態、遠甫は連れ去られていた。景麒は桂桂を運んで宮城へ向かう。陽子は遠甫を助けることを決意するが、手掛かりは拓峰へ向かった男だけだった。
 ある日、鈴は荷受けのため豊鶴へ向かう。荷を持ってきたのは、鈴と同じ年の頃の娘祥瓊だった。二人はお互いの身の上話をするうち、お互いの目的がそれぞれ昇紘と呀峰であること、拓峰では武器を明郭では武器を売った金で傭兵を集めているのだと知る。さらに、里家の長老がさらわれたその夜、拓峰で閉められた門を開けさせた馬車があったと情報を交換するのだった。
 鈴が拓峰の宿に帰り着き、虎嘯はこれで準備は整ったと言う。その夜、騒ぎが起こる。陽子が鈴らの宿に押し込んでくる。陽子は、拓峰で虎嘯を捜してここまでやってきたのだった。陽子は、遠甫がさらわれたことを告げ、虎嘯らが犯人ではないかと詰め寄るのだが、鈴が祥瓊から聞いた話をし、夕暉は遠甫が呀峰に狙われている理由を話すのだった。状況を理解し郷城へ向かおうとする陽子に虎嘯らは、自分たちこそ昇紘を討つのだと意を明かすのだった。
 虎嘯らは、夕暉の策に従い郷城の占拠に成功する。昇紘を捕らえた虎嘯らに陽子は、呀峰を押さえるため昇紘を生かしておけと言うのだった。陽子は、昇紘から遠甫が呀峰のもとに送られたことを知る。夜が明けが来ようとしているが、止水郷の民衆は虎嘯らに呼応しようとしない。このままだと州師に全滅させられてしまうため、逃げ出す算段を始めるがそれも至難の業だった。予想より早く州師の空行師が来てしまうが、青龍門から5千の援軍がやってくる。それは、桓魋が率いる兵で、鈴はその中に祥瓊の姿を確認、味方だと虎嘯らに言うのだった。虎嘯らの乱を利用し、拓峰に州師をおびき出し、手薄になった州城を襲う計画を立てた桓魋は、州城攻撃を柴望(さいぼう)に預け、自身は拓峰へ来たのだった。
 陽子、祥瓊、鈴の3人が初めて一堂に会した。それぞれが別々に知ってはいたのだが…。それぞれに身の上話をするうち、陽子は自分が景王であることを明かす。二人は驚きながらも陽子を受け入れるのだった。
 その夜、州師の騎馬が先んじて拓峰につき、街に火を放つ。呀峰は街も反乱者も昇紘も焼き払ってしまう策に出るのだった。夕暉は数に劣る自分たちにできることはないというのだが、虎嘯は見捨てたら昇紘と同じだと言うのだった。夕暉はその言葉に策を立て指示を出す。陽子の指示で指令が州師を攪乱し、州師らの動きを止めることに成功する。州師は、未明に明郭で反乱が起こったことを知るのだが、そこに禁軍が到着するのだった。
 陽子は、祥瓊と鈴に何故こんなことが起こるのか自分でもわからないと言うと、祥瓊は堯天(ぎょうてん)にも敵がいたことになると言い出すのだった。祥瓊の言を聞き陽子は、靖共が全ての主犯であると思い至るのだった。禁軍を前に動揺する止水郷の民と虎嘯らを前に祥瓊と鈴は景王を信じて待てと説得するのだった。
 陽子は、城壁の上で景麒を迎え、騎乗し、禁軍将軍に向け言い放つ、全て知っていると…。







Last updated  2019.05.03 10:53:19
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2019.04.27
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 ■レビュー内容
 

 「そういう社会での仁道とはなんだ?」
 上下巻の上巻は延々と辛い話が続くってのはお決まりなんでしょうか。鈴、祥瓊、陽子それぞれ悩みを抱えるのだが、清秀、楽俊、遠甫と出会って、少しずつ変わっていく様が丁寧に書かれている。
 特に祥瓊と楽俊のやり取りは好きだなぁ。陽子が景麒を説得する場面、清秀が鈴に不幸自慢を戒める場面と名場面がたくさん、供王が供麒にびんたをくらわして、下女たちに礼を言う場面はお気に入り。
 三人の場面が頻繁に切り替わるのでアニメの様にダラダラと長く辛い場面ばかり続かないのは良かった。

 

■あらすじ【ネタバレ注意】■

 大木鈴は、貧しい一家を救うため口減らしで売られていく途中、突然降りだした豪雨で川に落ち虚海に流される。それから数年、言葉もわからないまま旅芸人と旅をする。ある日、才国翠微洞の梨耀という仙人と出会い、梨耀の言葉が理解できた鈴は、下女に召し上げて欲しいと嘆願するのだった。それから100年、梨耀のいびりに耐え続けていたが、慶国に同じ年頃の女王が誕生しその女王が海客であることを知ると、鈴は景王に会いたい思いが募り、とうとう翠微洞を逃げ出し、采王に庇護を求めるのだった。鈴は、王宮に召し上げられるのだが、采王に街で暮らしなさいと言われると、自分の気持ちは誰もわかってくれない、わかってくれるのは景王だけなのだと、景王に会いに慶国に行くと言うのだった。采王から旅券をもらい慶国に向かう。慶国に向かう船の上で鈴は、清秀という子供と出会う。清秀は、故郷を追われ両親を失い景王登極に合わせ慶国に帰るのだという。鈴は、自身の不幸を語って聞かせるのだが、清秀は鈴の身の上に少しも同情せず、そんな不幸はどこにでも転がっている自分が一番不幸だなんて思うなと鈴を突き放すのだった。妖魔に襲われ父親を失った時負ったけがの影響でどんどん病状が悪化する清秀を連れて鈴は、景王に会うため暁天へ向かい拓峰に着く。しかし、門前で清秀は通りかかった郷長昇紘の乗る馬車に轢き殺されてしまう。
 祥瓊は、芳国の公主だったが、父峯王仲韃と母王后佳花は国を傾かせ、峯麟ともに恵州候月溪により誅殺される。祥瓊は、里家に預けられまづしい暮らしと里家の長老からのひどい仕打ちを恨んでいた。やがて、祥瓊が公主であることが村人に知れると、祥瓊は私刑にかけられそうになるが、月溪がこれを救い出す。自身の課せられた責任を果たさなかったことに気づかない祥瓊は、月溪にも恨みをぶつけるのだった。月溪は、祥瓊を芳国には置いておけないと判断し、隣国恭国の供王のもとに身柄を移す。供王は祥瓊に王宮の下女をさせるのだった。供王の仕打ちへの不満に加え、慶国に同じ年頃の女王が誕生したこと知り、自身の身の上を呪う祥瓊は、とうとう、恭国の御物を盗んで逃げだし、慶国に向かう。柳国に入り宿をとると楽俊という半獣と同房となる。その夜、祥瓊は柳の役人につかまてしまい、裁判にかけられたのだが、柳の役人から賄賂を要求され御物を差し出すことで放免される。無一文になってしまった祥瓊を待っていたのは、楽俊だった。祥瓊は楽俊と旅を始める。楽俊は祥瓊に公主としての責任を語って聞かせるのだった。
 景王陽子は、即位式の後、なんとか政務をこなしていた。だが、この国のことが分からない陽子は、前王朝の官吏の顔色を伺い次第に言いなりになりつつあった。そんな折、大宰の屋敷から大量の武器が発見され三公も絡んで謀反が計画されていたと報告を受ける。冢宰の靖共は大宰らの厳罰を要求するのだが、反靖共派はそれに反対、朝議は紛糾するのだった。またしても、自分が官の顔色を伺い決定を下そうとしていることに気づいた陽子は、主だった官を罷免し実権のない役職に更迭する。そして、景麒にしばらく王宮を出て街の暮らしをして王宮ではわからないこと学ぶという。景麒は逗留先を案内することで了承するのだった。瑛州北緯郷固継にある里家に逗留することになった陽子は、そこで遠甫という里家の長老と一緒に暮らす蘭玉と桂桂という姉弟と出会う。遠甫は、陽子の話を聞き陽子の悩みの原因を取り除こうと、こちらのことを教えるのだった。陽子は遠甫の話を聞き徐々に肩の荷が下りるのだった。ある日、遠甫のもとに客がやって来て、陽子はその客が気になり探っていくうちに瑛州の隣の和州拓峰の門前で、清秀という男の子が馬車に轢かれるのを目撃するのだった。







Last updated  2019.04.27 10:36:57
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2019.04.07
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 ■レビュー内容
 

 「尚隆に比べれば、お前は屑だ」
 清廉潔白で誰からも慕われ尊敬される人物、そんな人の近くにいたいとは思わんなぁ。だって、いつ自分が非難されるともしれんし、完璧な人間ではいられないんで…。延麒が斡由を問い詰める場面、斡由の化けの皮がボロボロと剥がれていく、自身の正義は微塵も疑ったことがなかったのに、実際民を思っての行動は本物だったんだろう。異を唱える者がいることがいかに大切かってことでしょうか…。

 

■あらすじ【ネタバレ注意】■

 延王登極から20年。荒れていた国土は緑を増やし、人も増えつつあった。延王が即位するまでに、前王梟王崩御から16年がかかった。それは、延麒も延王も胎果であったためだった。延麒、蓬莱での名は六太は、応仁の乱の京で戦火に焼け出された家族に口減らしのため、十歳余りの子が山に捨てられたのだった。死の間際、蓬山に迎えられるのだった。その後、蓬山で暮らすのだが、麒麟の役割を知るにつれ王を選ぶことに嫌悪感を抱くようになり、蓬山を逃げ出し、蓬莱へ。それから三年、戦国時代をさまよい、瀬戸内の小さな国の跡取り小松尚隆に王気を見出し、蓬山へ帰還するのだった。
 確実に国力を回復する雁州国だったが、国力の回復を優先したため雁州国の官吏は未だ前王朝が任じた官が大半を占める。延王は、州候から主だった権力を取り上げ、各州に牧伯を置き政務を監視させたのだった。そのようなやりようが反感を招かないはずはなく、とうとう元州に謀反の疑いが生じるのだった。
 そんな折、延麒が更夜という者に誘拐されるという事件が起こる。更夜は元州射士で元州候の令尹斡由の部下だった。延麒と更夜には面識があった。十八年前、夜半に妖魔に乗る子供を見かけた延麒は、妖魔を操る子供に驚き声をかけ更夜という名を与えたのだった。その後、斡由に拾われ、斡由の命令で延麒を元州に招いたのだった。
 斡由は、延麒に政治に興味のない王に代わって自身が上帝位となることを要求するのだった。そんなことには応じられない延麒は、戦が始まることを覚悟、更夜と敵になることを憂慮するのだった。延麒は赤索条で角を封印され、牧伯の驪媚が人質に取られ容易に逃げ出すことはできなかった。
 元州州宰白沢が使者として玄英宮を訪れ、元州謀反が発覚する。延王は成笙を禁軍左軍将軍に据え元州へ向かわせる。元州と通じているであろう光州候の官を全て朝廷に召し上げ懐柔し、元州を孤立化させる。さらに、光州州師を解散させ、成笙に道中に兵と役夫を募れというのだった。
 禁軍左軍7千5百は、元州に到着する頃には3万に膨れ上がっていた。成笙は延王の指示通り、元州頑朴を包囲し、漉水に堤を築くのだった。斡由は王師の数の多さに驚き、光州からの援軍もないことに動揺する。しかし、降伏しようとはせず、言葉では民のためと言い、自身の失敗を認められないでいた。
 延王は、延麒を救うため単身、元州兵に紛れ込み頑朴に潜入する。驪媚は、延麒を延王のもとに返すため自身の命と引き換えに延麒の赤索条を切るのだった。延麒は、驪媚の意志を無駄にしないため、血に酔いながら必死に頑朴からの脱出を図るのだった…。







Last updated  2019.04.07 11:07:33
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2019.03.30
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 ■レビュー内容
 

 「…王には…天啓がなかったのです」
 麒麟がどうやって王を選ぶのか、どうやって使令を下すのかなど、解説が必要なところを何も知らない麒麟に教えるという方法で違和感なく説明する。麒麟にはあるはずがない過ちをしてしまったと悩むところなんか、物語の構成力でしょうか、面白かった。

 

■あらすじ【ネタバレ注意】■

 夏至が過ぎ、甫渡宮の周りには忽然と街が現れる。蓬蘆宮の端の門が開けられ、泰麒は甫渡宮に入り御簾が下ろされる。昇山者はかわるがわる甫渡宮に進香に入ってくるのだった。初めのうちは、様々な格好の人々に興味津々だった泰麒だったが、二日もすると飽きてしまい、街へ散策へ出る。羽根のある大きな犬を見つけた泰麒に、天犬という妖獣で名を飛燕というのだと、大柄の女性が教えてくれた。女性は、州師将軍の李斎と名乗る。飛燕を気に入った泰麒は、李斎に再訪を約す。しばらくすると、喧嘩に遭遇する。その場を収めた偉丈夫が、禁軍将軍の驍宗と名乗る。泰麒は驍宗の赤い燃えるような目に恐怖を感じるのだった。
 毎日のように李斎のもとを訪れるようになった泰麒は、李斎を伴って散策を始めると、今度は大きな虎に出会う。李斎は騶虞だと言い、周りの者に主を尋ねると、先日の驍宗が現れる。やはり恐怖を覚える泰麒だったが、驍宗が柔和な表情を見せるにつれ慣れていった。その日から、泰麒は李斎と驍宗のもとへ通うようになるのだった。
 驍宗に王気がないのなら今回の昇山者の中には王はいないということになり、女仙らは甫渡宮の扉を閉めるのだった。そんな折、泰麒は驍宗と李斎の騶虞狩りについて行くことに。当日早朝、二人は女仙からきつく注意を受ける。そのことを泰麒は、自分が転変もできず使令も持たない身だからだと謝罪するのだった。騶虞狩りの罠を仕掛け終わると李斎が洞窟を見つけてくる。三人は中に入るのだが、泰麒は獣の本能から危険だと悟り、二人に出るよう促すのだが、李斎が何者かに洞窟の奥に引き込まれてしまい、驍宗も後を追う。泰麒は止めようとする汕子の手を振り切り、後を追うとそこには伝説の妖魔饕餮がいた。饕餮の攻撃にさらされた二人を助けようと、泰麒は折伏の態勢に入る。饕餮が動きを止めている間に、汕子に李斎を救出させ驍宗に逃げるように言うのだが、驍宗は動けないというのだった。驍宗を助けるには饕餮を使令に下すしかないと、強い意志でにらみ合い使令に下すのだった。驍宗は泰麒を連れ蓬蘆宮へ帰還する。
 李斎の傷も癒え下山の期限が迫っていた。そんな中、驍宗が泰麒のもとに下山の挨拶にやってくる。驍宗が蓬山を下ったその夜、泰麒はいてもたってもいられなくなり、汕子と傲濫の手を逃れ麒麟に転変し、驍宗のもとへ行き、誓約を誓う。この日から、泰麒は偽りの誓約をしたと思い悩むことになるのだった。
 驍宗と泰麒は、蓬山の頂上で天勅を受け戴国の白圭宮へ下る。驍宗は自身の即位式と政務に忙殺されるのだが、泰麒の気鬱が気になり、景麒を招く。景麒は泰麒の身を案じると、泰麒は驍宗との誓約が偽りで王気も天啓もなかったというのだった。景麒はその言葉に驚くのだった。
 二日後、景麒が延王と延麒をともない再訪する。延王を前に驍宗は泰麒に叩頭礼を促すのだが、意に反し頭が下がらない。延王の叱責もあり顔面蒼白、額に汗しても体が動かなかった。そんな泰麒に景麒と延麒が駆け寄りこれで分かったでしょうというのだった。椅子に座らされ泰麒に、景麒は王気も天啓も目に見えたり何かが起こったりするものではないと言い説明不足を謝罪するのだった。その言葉に泰麒は全てを理解し、元の笑顔が戻るのだたった。







Last updated  2019.03.30 13:27:03
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2019.03.26
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 ■レビュー内容
 

 「麒麟だったら、できそこないの麒麟なんだ」
 泰麒と景麒の対比が面白い。純真無垢な泰麒が際立ってかわいいのだが、葛藤を抱えるその心の内がかわいそうで…。景麒が玉葉に叱られる場面はいい、景麒も少しづつ変わって行く様も。

 

■あらすじ【ネタバレ注意】■

 蓬山に失われた泰麒が帰還する。自宅の中庭から、見慣れぬ異界へ連れてこられたはずなのだが、人間ではない女怪の汕子の姿を見ても泰麒は不思議に思わなかった。女仙の長玉葉は、泰麒を見るとその黒髪に特に珍しい黒麒で吉兆だという。
 すぐに蓬山での生活に慣れた泰麒は、女仙の蓉可や禎衛から自分が麒麟という生き物で人間ではなく、王を選ぶ存在であることを知らされる。未だ転変もできず、使令も持てない身に、本当にそんなことができるのか不安に思っていた。そんな泰麒の気を汲み、玉葉は慶国の麒麟、景麒を蓬山に招くのだった。
 初めは純真でまっ直ぐな泰麒に戸惑う景麒だったが、女仙に叱られつつ、泰麒に麒麟がどのような生き物かを教えるのだった。夏至が近づき、景麒や女仙の思いとは裏腹に、泰麒は昇山者に会う前に使令を持つことはかなわなかった。
 そして、夏至がやってくる…。







Last updated  2019.03.26 13:04:34
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2019.03.11
カテゴリ:

 ■レビュー内容
 

 「…おいらには三歩だ」
 長々と続いた苦しい旅が終わり、ここからやっと本題が始まります。陽子の正体が判明する場面は爽快です。楽俊とのやりとりもいい。アニメも面白かったが、暗い話が長すぎました。こちらには塙王と塙麟の話は出て来ないし、延麒が延王を捜し出す話もここでは書かれてません。次巻が延王と延麒の話なんでしょうか、あとがきにあった陽子の話の前に書かれたのは「魔性の子」かなぁ、このシリーズでは出てないようです。

 

■あらすじ【ネタバレ注意】■

 妖魔に襲われ続け、異界の人にも何度か裏切られ誰も信用しないと決めた陽子だったが、力尽き動けなくなってしまう。陽子を拾ったのはネズミの姿をした楽俊と言う半獣だった。陽子は楽俊を信用しなかったが、体力の回復を優先する。楽俊は陽子の世話をしながらこちらの世界のことや海客のことなどいろんなことを教えてくれた。
 しばらくすると、母親が帰宅する。母親は普通の人だった。陽子の体力が回復すると楽俊は陽子を伴って雁国へ行くと言う。母親に準備をしてもらい陽子と楽俊は雁国へ行くため、港町の阿岸を目指すのだった。しかし、午寮の街を前に妖魔に襲われる。陽子は剣を取り妖魔を退けるのだが、楽俊が負傷する。陽子は楽俊を助けに戻ろうとするが、衛士が集まって来るのを見ると楽俊を残して逃げ出すのだった。一人に戻った陽子は阿岸を目指すのだが、またしても剣が見せる幻影と、その前後に現れる猿面の言葉に悩まされる。しかし、陽子は自身が人を信じることと、人が陽子を裏切ることには何の関係もない事を悟り、猿面を切って捨てるとそこにはなくしたはずの鞘があった。
 二月を経てようやく雁国へ着いた陽子は、楽俊と再会、楽俊に謝るのだった。楽俊は陽子を役所へ連れて行き、海客の登録を済ませ、王宮のある関弓へ向かう。楽俊は陽子の身の上を聞き普通の海客ではないことを悟り、延王に助力を請おうとしていた。そんな折、陽子は楽俊との会話の中で、「台輔」と言う言葉を聞き、景麒がそう呼ばれていたことを楽俊に告げると、楽俊の態度が一変するのだった。
 陽子を景麒が主と呼び、景麒が台輔と呼ばれていたことから、陽子は景王で景麒は慶国の麒麟景宰輔だと言うのだった。王様などと一概に信じられない陽子だったが、楽俊はすぐさま雁国の宰輔あてに書状をしたためるのだった。その夜、街中に妖魔が現れる。陽子はここまで追ってくることに絶望感を覚えつつ、妖魔と戦うのだが今まで以上に数が多く苦戦する。そこに助けに入る人物が現れ、妖魔を一蹴するのだった。その人物は、雁国王延と名乗るのだった。
 延王は、陽子の持つ剣は代々慶国王が持つ水寓刀だと言い、陽子を景王と呼ぶのだった。延王は陽子と楽俊を玄英宮へ招くのだった。延麒も交え、陽子が置かれた立場と景麒の行方、慶国の現状が伝えられる。景王は塙王に命を狙われ、景麒は偽王に捕らわれ、慶国は麦州を除いて偽王軍に支配されていると言う。自分には王の資格などないと言う陽子は、せめて景麒は助けてやって欲しいと言う言葉に頷く。
 陽子は楽俊の言葉に今出来る事をしようと決める。延王は、景王の求めに応じてと言う形をとり、偽王から景麒を取り戻すため兵を差し向ける。陽子は自らも剣を取り景麒を助け出すのだった…。







Last updated  2019.03.11 10:07:54
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