ラインの虜囚
ラインの虜囚 [ 田中芳樹 ]【アフィリエイト】 ■レビュー内容 「人をさがしてる。勇敢で、ものずきで、ついでに暇な人」 主人公が快活な少女ってのもあるが、子供向けに書き下ろされたものなんだろうか、ちょっと物足りない感じがする。歴史上の人物を主要登場人物にして興味を持たせる辺りは中国の歴史物と書き方が一緒。史実がどうのって考えると気になってしまうので気軽に読めなかったなぁ。コリンヌだけが架空の人物なのか気になってしょうがない。北国の女悪魔なんて言われると気になるし…。好きな方はカリブの海賊物探したり、コナン・ドイル読んだり、レ・ミゼラブルや椿姫まで行くのかなぁ。わしゃ、完全空想物の方が好き。 ■あらすじ【ネタバレ注意】■ 16歳のコリンヌは、亡くなった父の手紙を携えてカナダからフランスへ渡り、祖父ギイ・ド・ブリクール老伯爵と面会する。しかし、祖父はコリンヌを孫とは認めず、行動で証明して見せろとある調査を成し遂げれば認めてやると言い出す。それは、ライン河にある双角獣の塔に幽閉されている人物の正体を調べると言うもので、コリンヌは仲間を集めて双角獣の塔へ向かうことに。猶予は50日間、12月25日までだった。 その夜、町へ出たコリンヌは、天才作家を自称する若い大男アレクサンドル・デュマ、富豪風の謎の紳士ジャン・ラフィット、酒場であっという間に4人の若者をのした中年の男モントラシェと名乗る3人と出会う。コリンヌは事情を話すと、3人は興味を示し同行を承諾する。 祖父に会ってから9日後、コリンヌは仲間とともにライン河に向けパリを出発する。初日、何事もなく宿をとる。その夜、コリンヌが馬の様子を見に行くと、「暁の四人組」のモンパルナスとグールメールに襲われる。ラフィットとモントラシェが現れ、モントラシェがあっさり撃退する。コリンヌは、命を狙われているのだった。 一行は10日ほどでライン河のほとりに到着した。あれ以来暁の四人組の襲撃はない、ということは、待ち伏せがあると警戒し川岸の馬車屋で準備を整える。予想通りモンパルナス、グールメールの二人が100人程の仲間を雇い現れる。無策無秩序な100人を策をめぐらすラフィットとモントラシェが手玉に取り、暁の四人組の二人を捕らえる。一行は、ライン河を渡る。 料理屋で昼食を摂ると、店の亭主に双角獣の塔のことを訪ねる。ニ、三年前までは荒れ果てた塔だったが、昨年プロイセン軍が来て塔を修復すると塔周辺で軍人がうろつくようになったと言う。しばらくすると、プロイセン軍の軍人が数人現れ、モントラシェが士官と口論の挙句、乱闘騒ぎになるが、コリンヌの機転で士官を人質に双角獣の塔へ向かう。捕らえた士官は、塔に幽閉されているのはナポレオンで、仮面をかぶっているという。一行は双角獣の塔に到着する。 ラフィットとモントラシェは罠を警戒しつつ、塔の部隊をおびき出す作戦を立てまんまと塔へ侵入し、最上階で仮面の男と対峙する。モントラシェは、一瞥するなりナポレオンではないと言い、一騎打ちが始まる。両者とも互角の戦いだったがモントラシェが押され始めるが、短期決戦を決め猛然と反撃に出ると仮面の男は抗しきれず均衡を崩し倒れる。仮面の男は負けを認め、プロイセン軍のシュタイン伯爵と名乗り、モントラシェをジェラール准将と呼ぶ。モントラシェは、ナポレオンの麾下で並ぶもののない名剣士エティエンヌ・ジェラール准将だった。ジェラールはコリンに事情を話し詫びた。 双角獣の塔の囚人は、ナポレオンではなかった。コリンは目的を果たしパリへ帰ることになる。暁の四人組の待ち伏せを警戒し一行はライン河を南下、フランス西部からパリに向かった。襲撃は回避できたがパリ到着は12月25日、伯爵邸で伯爵と甥のマルセルに事の真相を報告する。しかし、伯爵は結果を信用しようとしない。ラフィットが核心を切り出し、二人が暁の四人組のバベとグラクスーだと看破して見せ、奇襲をかけようとしていたモンパルナスとグールメールをジェラールが取り押さえる。そして、黒幕、本物のマルセルが現れ、真相を語る。マルセルは伯爵を殺害し、遺産を餌に暁の四人組を騙したのだった。マルセルは屋敷に火を放ち姿をくらませる。 屋敷の焼け跡から伯爵の遺体が発見され、祖父である伯爵が父を追い出したことを悔いていたことを知ったコリンヌは涙した。翌年3月、カナダへ向けコリンヌは旅立って行った。アレクサンドル・デュマ(1802年7月24日 - 1870年12月5日) フランスの小説家。『椿姫』を著した同名の息子と区別するために、「父」を意味する père(ペール) を付して大デュマ(Dumas, père)とも呼ばれる。父は、フランスのルイ16世時代の竜騎兵トマ=アレクサンドル・デュマ。息子は、『椿姫』の作者アレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)。ジャン・ラフィット(1782年9月15日 - ?1826年) 19世紀初期にメキシコ湾で活動した海賊。フランス・ボルドー生まれ。1803年のルイジアナ買収後、ニューオーリンズ近くのバラタリア に "王国" を設立、米英戦争のニューオーリンズの戦いにおいて、1000人以上の兵士をアンドリュー・ジャクソン側(アメリカ側)に出して Edward Pakenham率いるイギリス軍と闘った。エティエンヌ・ジェラール准将(1773年4月4日 - 1852年4月17日) ナポレオンに忠誠を尽くす騎兵将校。アーサー・コナン・ドイルの『勇将ジェラールの回想』、『勇将ジェラールの冒険』の2部作は彼を主人公とした冒険小説。パトロン=ミネット(Patron-Minette、子猫男爵)「レ・ミゼラブルより」 1830年から1835年にかけてパリで暗躍した悪党集団。4人の頭(バベ、グールメール、グラクスー、モンパルナス)を中心に構成されている。