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書こう書こうと思っていて、なかなか始めるきっかけがなかった「かみぽこ異人交遊録」。
実は第一回はこの人にするつもりはなかった。 でも、わざわざ寄ってくれたからなあ、カフェに。 で、敬意を表して第一回はこの人にします。 「スティーブン」 といっても、スピルバーグでもジェラードでもない。 哲学科の博士候補生。イギリス人。 外見は、長身、痩せ型。 カーリーヘアが、ちょっとだけ後退。 丸めがね。 年齢、たぶん27歳。 なんで知り合ったかというと、昨年まで文学部の修士にいたS子ちゃんの彼氏だから。 哲学者というだけあって、難しい奴かと思われるかもしれないが、 この男、実にイギリスの若者らしく、ボケている。 まずは車の話から行こうか。 私は愛車「かみぽこカー」を半年に1回定期的に点検に出している。 スティーブンもトヨタ車に乗っているが、 ある日私にこう言った。 「かみぽこ。なんで高いのにガレージで点検なんかするの?イギリス人は DIY(DO IT YOUR SELF.)だよ。自分で部品を取り替えたり、オイルを代えたりするんだ」 と自慢げに言った。 ああ、そう。 でも、車は大事だからね。とかその時は答えていた。 その2日後。。。。 スティーブンが来た。 「車が故障しちゃったよ。。。。一ヶ月修理で戻ってこない」 故障?一ヶ月もかかる故障ってなんだ??普通車ってそんな簡単に壊れるか??? DIYって、こいつはいったいどういう整備してたんだ? だいたいイギリスの高速道路を走ると1回に1度は車が故障して止まっていたり、タイヤがコロコロと転がっているのを見る。 この国では日本では考えられないほどよく車が壊れているのだ。 スティーブンもそうだが、イギリス人は我々からは想像を絶するほど手先が不器用。なんでも自分でやるのは立派だが、ねじが外れたり、間違った部品をつけたり、すごいことをやっているに違いない。 次に、ある日スティーブンが深刻そうな顔をしてやってきた。 どうした? 「いや、今哲学雑誌の編集担当になってて、他の奴の原稿を全部集めたんだけど、自分の分はまだ書き終わってないんだ。でも、締め切りがいつか忘れてしまって。。。もしかしたら今日なんじゃないかと思って不安だ。。。」 ??? お前、自分が編集担当なんだろ?締め切りがわからないって、 どゆこと???? 人の原稿を集めることに集中すると、自分の原稿を忘れる。 締切日を忘れる。 1度に1つのことしか考えられない、行動できない。 これもイギリス人らしいですなあ。 ある日、スティーブンと話した。 彼は今年で博士課程を修了する予定だ。 この後どうすんのって聞いてみた。 「いや、S子がいるから、2年くらい日本に行くかな。英語教師でもするよ。その後は、わからないなあ」 。。。。おまえ、ドクター取るんだろ?もう27歳だろ?? でもね、これは日本的感覚。 イギリスでは自分に合った職業を見つけるのをあせらない。 大学を卒業する前に就職活動を一斉にやることもないし、 卒業した後、自分に合う仕事が見つかるまで何度か職を変えるのも普通。 途中で放浪の旅に出るのも結構普通。 1年くらい世界一周したりね。 そういえば、うちの指導教官のドンも、若い頃六本木でブイブイ言わせたあげく、「政治と日本」に興味を持って大学に入りなおしたという経歴の持ち主だったな。 この辺は、実はあまり日本では知られていないことだと思うけど。 。。。。ということで、スティーブン。 日本人の私から見ると、かなり頼りなくて、ボケている。 でもね、これもイギリス人らしいんだけど、 彼、穏やかで絶対に声を荒げない。 人間がすごくいいんです。 彼女のS子って、最初私が会った時、正直言って印象は最悪だった。目つき悪いし、たばこぶかぶか吸ってるし、いかにも海外生活長いですって感じの派手な服着てたし。 情緒も不安定な子だった。会話するのが正直難しかった。 それがスティーブンと会ってから、がらっと変わった。 すごく落ち着いて、優しい表情になり、言ってることも普通になった。 彼女は日本に帰って、いい会社に簡単に就職が決まった。 スティーブンの穏やかさが彼女を変えたのだろう。 ちょっとボケてて頼りないけど、 人間はすごくいい。 スティーブンはいかにもイギリス人なナイスガイなのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2003年05月30日 19時02分58秒
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