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今日は久々に「かみぽこ異人交遊録」だ。
いつ以来だっけ? 「韓国のおばさん」以来?? ということで、今日は 「うちの学校の『トルシエ』監督」。 マルコ。 イタリア人。経済学の博士課程(PhD)。 彼はわたしと同じ時期にうちの学校に来た。 わたしは3年前の7月末、10月からの修士課程本コース開始の前に行われる、 プレセッショナル・イングリッシュコースに通ったが、 彼も同じコースに参加するため、ミラノからやってきた。 このプレセッショナル・イングリッシュコースには 主にラテン系、中華系、日本人の3種類の人種が参加していた。 10月からの修士課程が始まる前に、英語力を強化する目的で行われるコースだ。 だいたいラテン系というのは、意味不明に自信家な人が多く、 「わたしは修士課程が修了したら、PhDに進むに決まっている」 と、言い切っている人がほんとに多かった。 わたしなど、その当時は1年の修士が終わったら日本に帰国して就職するつもりだったし、そもそもPhDとはなんなのか、よくわかってなかった。 「PhDってなんじゃらほい?」 だったのである。 そんな中で1人、妙に自信なさげなイタリア人がいた。。。。 マルコである。 彼の顔は日本人なら一回見たら絶対忘れない。 なんてったって、 あの「フィリップ・トルシエ」前サッカー日本代表監督にそっくりなのだ。 しかも、トルシエさんと同じようなメガネまでかけている。 しかし、この「うちの学校のトルシエ」は 赤鬼・トルシエ監督とは性格的に似ても似つかない。。。。 マルコは自信たっぷりの周囲のラテン系学生とはかなり調子が違っていた。 にこりともせず、むすっとした顔で 「わたしはPhDに進めるかわからない。 経済学修士は難しいコースだ。進みたいとは思うが、自信がない。。。」 と繰り返し言っていた。 また、彼は陽気で楽天的なラテン系のイメージとは実にほど遠く、 「わたしは顔が悪いから。。。。」 「わたしは悲しいほど女性にもてない。。。。」 というのが口癖だった。 みなさん、トルシエさんの顔を思い出して欲しい。 日本人から見て、まあ男前かどうかは評価が分かれるところだろうが、 そんなに悪い顔ってことはないのでは? しかし、ラテン人の感覚では、 薄い顔というか、色気に欠ける退屈な顔ということになるようだ。 その上、彼はイタリア人のくせに、 しかもわたしより若いくせにファッションセンスが悪く、 いつもよれよれのスーツをノーネクタイで着ていた。。。。 イタリア人らしい、体にぴっち~~っと張り付いた服など一度も着たのを見たことがない。 マルコは勉強態度は非常にまじめな奴だった。 しかし、ラテン系学生の間では、 「あいつは退屈な奴だよ」 と、悪評ふんぷんだったのだ。。。。 しかし、プレセッショナルコースが終わり、 10月に本コースが始まると、 こんな状況が少しずつ変わってくる。 自信たっぷりのはずのラテン系学生と学校内ですれ違うと 「かみぽこ。なんてストレスフルな毎日なんだ。。。」 「かみぽこ。俺はもうやっていけない。こんなに勉強が大変とは思わなかった。。。」 などと言い出す奴続出。。。。 おいおい、あんたらみんなPhDに行くに決まっとるんちゃうんかい。。。 更に年が明けて1月くらいになると、 この人たちだんだん開きなってきた。 「かみぽこ。やはり我々は人生を楽しむことが必要だ。 こんな勉強などにストレスを感じている毎日は悲しい。 パーティだ!パーティ!」 こんなところで人生楽しんでどうすんねん。。。 しかし彼らは続けて、 「かみぽこ。なぜお前は毎日勉強ばかりしてるんだ。 人生を楽しめ。お前はこのままでは豊かな人生は送れない。」 とわたしに説教を始める始末。 余計なお世話や。ほっといてんか! これが4月くらいになると、もうやけくそになる。。。。 学校の寮の前の広場では、毎夜ラテン系のドンちゃん騒ぎが行われる。 ギターをかき鳴らす奴。踊り狂うやつ。 カンツオーネ、ボサノバ、サルサ、サンバ。。。 いや、いろんなリズムの音楽が流れる、流れる。。。。 今、わたしは学校の芸術会館のカフェでコーヒーを飲みながら周囲を見渡す。 あのプレセッショナルコースの時、 「わたしはPhDに行くに決まっている」 といった奴ら。すっかり姿を消している。。。。 PhDに進んだのは、かみぽこと「マルコ」の2人だけ。 外国では、自己主張が何より大切だとよく言われる。 こつこつまじめにやること以上に、 自分をしっかりアピールすることが大切だと。 しかし、わたしはマルコの姿を学校で見かけるたびに思う。 まじめにこつこつ物事に取り組んでいく奴が最後に生き残ることは、 世界のどこに行っても実は変わらないのだと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2003年10月09日 05時43分12秒
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