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2,3日前だったか、
英国の経済新聞「The Financial Times(FT)」 にこんな記事が載っていた。 北朝鮮関連の記事だったのだが、 ハイジャッカーの帰国と曽我さんの件が書かれていた。 この記事の中で、私が注目したのは 「日朝関係が進展するのはいいことだ。 なぜなら、北朝鮮問題を進展させるには、 日本の資金と人道援助が不可欠だから。」 という意味のことが書かれていたことだ。 これはつまり、FT紙は北朝鮮問題における 日本の重要性を強調しているということだ。 そこで今日はこのテーマで書いてみたい。 「日本の対北朝鮮外交をもう一度検証する」 私は小泉純一郎首相が5月に訪朝したとき、 「かみぽこぽこ」上で何も書かなかった。 なんでかと言うと、訪朝直後に内閣支持率がグッと上がったでしょ。 マスコミが最初否定的な報道を下にも関わらず。 私は「おお、日本の世論も成熟したもんだ」と その時思ったので何も書かなかった。 しかし、後から考えると、 内閣支持率が上がったのは、 単に拉致被害者の家族が帰ってきてああよかったと、 それだけであったということがわかった。 つまり、小泉外交がきちんと分析された上で 支持率が上がったわけではなかったと。 それならば、時間がたった今、きちんと一度分析しておくのもいいかと思う。 それで。。。。。 この問題については、この方に登場してもらおうか。 我らが芸術会館大学の至宝! 経済学部博士候補生(PhD)!! 黄昏ぶらざ~3号・O田!!! ということで、 今日は「新・黄昏ぶらざ~ず大いに語る」 言ってみたいと思います。 かみぽこ(以下K)「しかし、あれだよな、O田」 O田(以下O)「はい」 K「このFTの記事はおもしろいよな。 やっぱり日本の外交力って今、かつてないほど高まってるよなあ」 O「いやあ、その通りだと思いますよ。 僕もこの記事読みましたけど。」 K「うん」 O「まずこのFTの記事から思うのは、 ほんとに北朝鮮って今困ってるんだなあってことですね。」 K「ほう。どういうこと?」 O「いや、『日本の資金と人道援助が不可欠だから』って書いてあるでしょ。 なんで日本の資金と人道援助かってことですよ。」 K「ほう。」 O「これは推測するしかないんですが、 たぶん今年の北朝鮮の農作物の収穫高の予測が、 最悪と出たんじゃないですかね。 だから、これは食料とかの援助がないと いよいよ国がやばいということになってんじゃないかと思うんです。」 K「なるほどね。」 O「だから、5月の訪朝なんかそうなんですけど、 北朝鮮って日本に妥協しすぎだと思うんですね。」 K「例えば?」 O「いや、これは前回『靖国問題』の時に言いましたけど、 北朝鮮は拉致家族を帰しちゃったし、 援助ったって国際機関通じてのたった80億円分でしょ。 それに、行方不明者の再調査まで約束しちゃった。 こりゃものすごい妥協ですよね。」 K「そうだな。ものすごい妥協だと思うよ。 この小泉訪朝に関して、 今一つマスコミも世論もピンときてないみたいなんだけど、 これ、ものすごい成果だと思うんだよな。」 O「そうですね。」 K「というのはな、例えば北方領土の問題を考えてごらん。」 O「ええ」 K「北方領土ってな、 ずっとソ連が『この問題は解決済み』って主張して 話し合いのテーブルにもつかなかったろ。 そして、ソ連がロシアになった今日になっても 全く解決の糸口すらつかめん」 O「そうですよね。」 K「つまりな、国家が一度『この問題は解決済み』って言ったら、 それを覆させるってことは極めて困難なことだってことだ。」 O「そうですね。北朝鮮は小泉訪朝までずっと 『拉致問題は解決済み』 って言ってたわけですから。 それが覆るってことはものすごいだってことですよね。」 K「その通り。これは驚くべき成果なのに、 日本のマスコミも世論も全くそのことに気づいてない。」 O「まあ、拉致問題は北朝鮮が一方的に悪い極悪犯罪ですから、 家族が帰ってくるのは当然みたいなところがあるからでしょうね。」 K「それはそうさ。でも、外交交渉って考えたら、 これは大変な成果を勝ち取ったってことも事実。」 O「次に、『行方不明者の再調査まで約束しちゃった』 ってことですけど。これも驚きだと思うんですよね。」 K「そうだな。」 O「北朝鮮、なんでこんなこと約束しちゃったんでしょうね。 これは北朝鮮にとって、後々頭が痛いでしょうね。」 K「そうだな。結局、今更何人拉致してきて、それがどうなってるかなんて、 北朝鮮にもわかりっこないと思うんだよな。実際な話。 拉致した人が死んでたとしても、どこに骨があるかなんてわかんないだろうし。」 O「そうですね。」 K「それでもなんとかかんとか調べて、 日本に情報提供したとする。 でも、日本の世論が納得する情報を出せなかったとしたら。。。」 O「そう。その時は日本政府が 北朝鮮に対して強硬に出る理由を与えることになるわけです。 『世論が反対してますので、我々は援助も何もできません。』 って、日本政府は言えるわけですから。」 K「そうだよな。なんで北朝鮮はこんなこと約束したんだろうな。 いくら調べて日本に回答したって、たぶん世論は納得しない。 ずっと北朝鮮は日本が強行策に転じるのに怯えながら 交渉しないといけないことになっちゃったんだよな。」 O「そうですね。だから、これも日本は驚くべき妥協を勝ち取ったと思います。」 K「もう1つは、北朝鮮への日本の妥協とも言える援助80億円か。」 O「そうですね。これについては、何と言っても額が少なすぎます。」 K「そうだな。」 O「日本からすれば、屁みたいな額です。」 K「俺はこの件で日本が折れたっていう批判は 当たってないと思うんだよな。 批判をする人に俺がまずもって言いたいのは 『外交は子供のけんかじゃないんだから』 ってことだよな。」 O「ほう。」 K「いやな。外交交渉ってのは相手があることなんだよ。 交渉するに当たって、こっちの言い分が全部通って 相手の言い分はなにも通らないってことはありえないんだよな。」 O「そりゃ、そうですよね。」 K「それがな。日本の新聞とか見てると、 こっちの主張の多くが通ったにも関わらず、 相手の主張が少しでも通ると もう交渉は失敗だったみたいなニュアンスの 報道するだろ?」 O「そうですね。」 K「あれは違うと思うんだよな。 外交交渉のテーブルに着いたら こちらが一方的に勝つなんて事ありえない。 子供のけんかじゃないんだから。 だから、まずもって言いたいのは、 今回北朝鮮への国際機関を通じた援助が決まったということ 即、交渉の失敗みたいに決め付けるのはおかしいと。」 O「いや、全く同意します。」 K「俺はな『かみぽこぽこ』でも書いてるけど、 そもそもあんな異常な国と交渉なんかするなと言ってたわけ。 だけどな、日本は国際協調の中で 交渉で北朝鮮問題を解決すると決めた。 決めたからには、たとえ向こうが一方的におかしくても、 こちらも妥協しながら主張を通していかないといけないということだ。」 O「今回の小泉訪朝では、こちらが勝ち取った妥協と比べれば、 向こうが勝ち取った援助はあまりに少なすぎ。 はっきり言って大勝利ですよね。」 K「そうだと思う。こんな屁みたいな援助をするだけなんだから。 それも北に直接渡すんじゃなく、国際機関に渡すだけだろ。」 O「そうですね。それと、前回私が言った 中国と韓国が小泉訪朝を大絶賛してるという件なんですが。」 K「まあな。中韓は北朝鮮が崩壊してもらったら 何千万の難民が中国に押し寄せる 韓国にしてみれば、全く技術も何もない、 労働者にならない人間を突然何千万も抱えることになる。」 O「中韓は、北朝鮮の崩壊は おそらく15年単位で先延ばししたいはずですよ。 ところが、なんとか北の体制を維持させたいのに、 経済援助をやってもらわないといけない肝心の日本が 強硬な態度に出られたら困ると。 もう、日本の拉致問題、 中韓はハラハラしながら見てるんだということですね。」 K「そう。だから、この北朝鮮問題で、 日本の影響力はマスコミが伝えてるよりも 実ははるかに大きいってことだ。」 O「最後に、ジェンキンスさんのことに触れたいんですがね。」 K「うん。」 O「こういうと、曽我さんとご家族には大変申し訳ないんですが、 アメリカはジェンキンスさんの件、ギリギリまで強硬なことを言うと思うんです。」 K「なるほど。」 O「アメリカが強硬なことを言う。 いつまでたっても曽我さんの家族は離散したままだと。 日本の世論が硬化する。 日本政府が強硬になる。。。 これは6カ国協議での北朝鮮の交渉力を明らかに弱める。 だから、アメリカはしばらく強硬でしょうね。」 K「そうだな。小泉がブッシュに会いに行ったとき、 小泉が『金正日がブッシュに会いたがっている』と報告したら、 ブッシュが強硬に拒否したよな。 あれはブッシュと小泉の演技だろうね。 『あ~あ、アメリカはまだまだ強硬だと』 いうパフォーマンスだな。」 O「そうですね。北朝鮮は頭痛いと思いますよ~。」 K「外交カードにされてしまっている、 曽我さんや拉致被害者の方には 本当にお気の毒だけどな。。。」 ということで、黄昏ぶらざ~ずによる、 「日本の対北朝鮮外交をもう一度検証する」 でした。いかがでしたでしょうか? それでは、また~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年07月09日 22時35分19秒
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