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さて今日は、「英国留学回想録」です。
「エッセイに命を懸ける」第6回。 「MEMEという概念は社会科学の発展に貢献するか?(前編)」 (2001年1月) 今日は最初に、この時期の ちょっとした出来事を書こうかと思う。 年が明けて、すぐに私は日本から英国に帰った。 英国ではクリスマスは重要だけど、 新年はそれほど祝わない。 ということで、 学部事務所のおばちゃんからは 「今日から事務所の仕事始めました。」 と1月2日にメールが着たりした。(苦笑) 私が修士だった2001年は 何日から新学期が始まったのか、 あんまりはっきり覚えてなかったのだが、 1月4日くらいには始まってしまっていたと思う。 その新年早々に、 新年会といってはなんなのだけど、 官僚のN子さんの家でちょっとしたパーティがあった。 前に書いていると思うけれど、 N子さんは国際関係論修士課程に通っている。 旦那さんのDHさんは同じく官僚なのだが、 私たちの1年前から 同じくうちの学校に留学していて、 昨年経済学の修士号を取得し、 今年は統計学の修士課程に通っていた。 DHさん・N子さん夫妻の家は、 今私が住んでいるところの近く。 あの当時、私は学校の寮に住んでいたわけで、 同じくパーティに招待されていた JYAのA子ちゃんとバスに乗って 夫妻の家に向かった。 ところが。。。 ここで私の慌て者ぶりが遺憾なく発揮されてしまう。 私はバスに乗り込んだ頃から、 どうにも夫妻の家の前のバス停を 乗り過ごしてしまわないか、 乗り過ごしてしまわないか、 そればっかり考えてしまってしょうがなかった。 無理もない。 夫妻の家は、学校から離れたところにあるわけだ。 私を乗せたバスはうちの学校を出て、 どんどんどんどん森の中みたいな田舎に入っていく。 しかももう夜で、外は真っ暗だった。 この当時の私など、 勉強ばっかりやってて、 学校の外なんてほとんど出ていなかったのだ。 慌て者で気が小さい私が、 うううううううううううううううう。 道に迷ったらこわいいいいいいいい。 となってしまったとしても、 ほんとに無理はない。(苦笑) その結果、なんと夫妻の家まで 歩いて約1時間の距離を残して、 「まだですよ。まだ着かないですよ。」 と制止するA子ちゃんを引っ張って、 私はバスを降りてしまった。。。 森の中だった。 それから歩道を歩けど歩けど、 街の灯りなど見えてこない。 30分くらい歩いた。 ぜーぜーはーはー、 ぜーぜーはーはー、 「電話してみよう」 N子さんの携帯に電話する。 DHさんが車で私とA子ちゃんを救出にやってきた。 「どうもすみません」 白い車にほうほうの体で乗り込んだ。 それが現「かみぽこカー」 当時DH・N子さん夫妻の愛車の、 日産マイクラ(欧州版マーチ) に私が初めて乗った時だった。 「どのくらい歩きました?」 車の中でDHさんに聞かれた。 「ははは。ご、5分くらい。。。」 恥ずかしくて「30分」とは言えなかった。(苦笑) 夫妻の家に着くと すでに宴たけなわであった。 とほほ。。。 N子さんのコースメートである、 U美子(私のブリティッシュカウンシルのコースメートでもある)、 DHさんの友人のケンちゃんが来ていた。 ケンちゃんとは 経済学修士に通っていた日本人の若者。 かみぽこぽこには既に登場している。 もはや休眠状態のシリーズ「男の手料理」で セガダという赤ワインを紹介したときに 登場してくれた。 坂口賢二をソフトにして知性的にした感じである。 またも男前の登場。(笑) 留学生活が始まってから、 非常に個性的な「女性陣」がたくさん登場してきて、 大変だったのだけど、 この頃から徐々に企業派遣の人とか 研究キャリアの長い人とか、 自分の勉強に刺激を与えてくれる男性陣に 出会うようになっていた。 今日はここまでだけど、 これから本題にもどんどん登場してくるので、 1つよろしくお願いしたいと。 さて、本題。 新年になって、いよいよエッセイ書きにも 緊張感を感じるようになってきた。 課題は5000WORDSを3本。 締め切りは2月16日。 あと約6週間だから、 1本を2週間で書かねばならないということである。 いよいよ緊張感が高まってきた。 この私がエッセイを書く過程を どんな風に書いたらいいのか、 実はこれが結構悩んでいる。 それで結局思ったのは、 あんまり文章として 上手くまとめようとするのではなく、 だらだらと順番に書いていくのがいいかと。 そのほうが生々しさが伝わるかなと思うし。 最初に取り組んだエッセイは、 「MEMEという概念は社会科学の発展に貢献するか?」 だった。 MEMEっていう概念は、 前に一度書いたと思うけど、 GENE(遺伝子)をもじって作った概念。 MEMEとは人間の頭から頭へ 模倣という行為を通じて伝わっていくものとされた。 そして、この模倣という行為を、 動物の中で人間だけが身につけたことが、 人間の脳を他の動物にはない巨大なものに進化させた。 簡単に言うと、 こんなような概念だった。 最初にどこから手をつけたかというと、 スーザン・ブラックモアという英国の大学の先生が書いた、 MEMEそのものについて書いた本。 つまり、このエッセイのコアとなる本から始めたわけだ。。 ペーパーバック版の原書を買うと同時に、 その本の日本語訳版をアマゾンで購入した。 エッセイを書くために最初にやったことは、 まず英語版を脇に置きながら、 日本語版をじっくり読んで MEMEという概念そのままを読んだことだった。 これでまず、上に書いたように MEMEを理解したわけだ。 しかし、これだけではエッセイにならない。 これまで何度も書いているけど、 エッセイとは知識を披露するものではないからだ。 エッセイとは、今日のタイトルにもなっている 質問に答えるもの。 質問に答えることで MEMEという概念に対する 自分の主張を明らかにすることだ。 そこで次に読んだのは、 MEMEという概念について 「賛成」「反対」双方の立場から 書かれた本を読むことだった。 これについては ブラックモアの本の参考文献欄を参考にすると同時に、 へーゼル・ハリー教授が推薦してくれた本やジャーナルを 収集することに努めた。 ここで非常に驚き、恐縮したのは、 世界的哲学者・ハリー教授が、 私ごとき一修士の学生のために、 わざわざハーバード大にいる元同僚に 「私の学生のために、 MEMEに関するいい本を推薦してください。」 とメールしてくれたことだ。 ハーバードの先生の返事も早かった。 1日以内にダーッと本やジャーナルのリストが来た。 この大先生同士のやりとりのメールのコピーが 全部私に落ちてきたものだから、 もう私はびっくらこになってしまったのだ。 最初にMEMEという概念を作った人の本から その本に対する批判、 ブラックモア氏以前のMEMEについての議論、 そしてブラックモア氏の本に対しての賛成や反対の議論。 「模倣」についての動物の行動論の本なんかもあった。 まずこれらの本を集めた。 それから、このMEMEという概念が 元々ダーウィニズムから着想されていることから、 ダーウィニズムに関する本を探した。 これは日本語の本。 ここまで年内にやってたんですよね。 英語の本は日本帰国前に集め、 日本に帰国してからは日本語の本を集めながら、 ブラックモア本の日本語版を読んでいた。 そして、年明けて英国に帰ってから、 エッセイを書き始めたわけだ。 では、ここからどんな風にやったか。 それは次回ということで。(笑) それでは、また。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年08月10日 00時31分40秒
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