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さて「英国留学回想録」です。
今日は「春休みのユ・ウ・ウ・ツ」第2回、 「あの~、PhDに行ってもいいですか?」。 冬学期の最後の日に、 最初に書いた3本のエッセイの 成績が発表された。 まあ、これまでいろいろと 悲喜こもごもあったわけで、 真剣に落第→帰国も想定していたわけだが 成績が出てみると拍子抜けというか 意外に悪くなかった。。。。 非常にほっとしたわけだが、 同時に親など周囲から 勧められていながら 本人は「絶対に無理」と思っていた 「PhD(博士課程)に進む」 というプランが、 にわかに現実味を帯びてきた。 。。。。と、ここまでは 前々回書いたことだが、 PhDに進むには、 「PhDに進みたいという意思」 を学校に伝えないといけない。 当たり前のことではあるけど。。。(苦笑) ということで私は春休みに入ると、 早速行動を始めた。 私の意思を学校に伝えるために。 しかし、今振り返ってみると、 これは恥ずかしいの一言だね。 だって、研究テーマも決まってない、 どの先生に指導を受けたいかも決まってない、 ただ、「PhDに行きたい!」 ということだけが決まっていたのだから。 それでいったい何の意思を 学校に伝えるというのだろう。。。(苦笑) しかしね。。。 誰もこんな私を止めてくれなかったんだよね。 芝生の上をハイヒールで歩くM子さんも 「きゃ~!PhD、かっこいいですね。 イギリス人の男の人、たくさんいますよね~? 紹介してくださいね!!」 ってな調子だし、 U美子、まやちゃん、まきちゃんとか、 BMWは私のものよな子も、 「すご~い!」 と言うばかり。 官僚N子さんまでもが、 あの人らしいそっけない言い方で 「いーんじゃない? どーせ1年で日本に帰っても、 就職ないんだしさ」 つーか、誰か止めろよ、この俺を。。。(苦笑) ということで、 「君、PhDに行きたいというのはいいんだけどね、 何を研究したいの?行きたいというだけじゃ だめなんだよ」 こう先生に言われる不安など感じることもなく、 私はホイホイと先生方のところに向かった。 最初は私の英国のおじいちゃん、 コースダイレクターの アラン・レイトン=スミス教授。 「やあ、かみぽこ。今日はなんだい? エッセイの結果はどうだった??」 私が研究室に入ると、 いつものようにニカッと笑いながら おじいちゃんは聞いてきた。 「65、62、60点でした。」 私が答えると、おじいちゃんは 再びニカッとしてこう言った。 「それはよかった。 英語が母国語でない留学生で、 そんないい成績は なかなか取れるもんじゃないよ。 それに。。。」 それに? 「かみぽこは、 最初どーなることかと 思っていたからねえ。。。」 あ、やっぱ思ってたのね。 はは、はははは。。。 ちょっと恥ずかしい気持ちになったが、 それでも私は本題を切り出した。 (こういうところがまたアホというか。。。) 「あの。。。 成績も悪くなかったことだし、 PhDに進むことを考えたいんですけど~。 これは可能でしょうか?」 おじいちゃん、一瞬の間があった後、 ニカッと笑って、 「。。。そうか。 かみぽこがPhDに進むことを 考えてくれるなんて 私はうれしいよ!」 私はほっとして続けた。 「ありがとうございます! では、これからどうしたらいいですか?」 「まず研究計画書を作って、 私のところに持ってきなさい。 見てあげるから。 英文で2000WORDSくらいかなあ。」 おじいちゃんが言った。 「あ、はい。わかりました。」 と言いながら、私は (え?そんなものがいるの??) と内心思っていた。 後から思うと バカもここに極まれりである。 PhDに進むには、 研究計画書が一番大事であるという 最も基本的なことすら わかってなかったということだから。。。 救いはおじいちゃんから 「ところで、どんなことを研究したいの?」 と聞かれなかったことだろう。 もし聞かれてたら、 その場でハイさようなら、だった。。。(苦笑) こういう妙にするすると 問題なことをすり抜けられているのが、 この留学を通しての 私の強運のような気がせんでもない。 さて、おじいちゃんとの面会が終わって、 お茶でも飲もうと芸術会館のカフェに行ってみた。 そこに当時学部長で、 私が受講した「福祉の理論」の先生だった アンディ・ルーニー教授がいた。 まだ時間的には お昼をちょっと過ぎた頃だったけれども、 もう1パインツの生ビールを片手に、 葉巻に火をつけて ぶわ~っと吸っていた。 葉巻のにおいが カフェ全体に漂う中、 私は教授に近づいていった。 「やあ、かみぽこ。 エッセイの成績はどうだったのかな?」 「65,62,60でした。」 というような会話をした後、 私はまたも切り出した。 「あの~、PhDに行きたいんですけど~、 この成績だったらいけますでしょうか?」 ルーニー教授、一瞬の間があった後、 ぶわっと葉巻を吹かして こう言った。 「大丈夫だよ。 修士をパスさえすれば、 PhDに行く資格がある。」 今思えば、非常に一般論としての 回答だったのだが、 私は「PhDに行ける」と 勝手に解釈した。 「ありがとうございます!」 いい気分になって、 私は席を立った。 どうなんだろうね、これ。。。 これは以前書いた 「勘違いの効用」 ということなのだけれども、 ともかく、いい悪いは別にして、 私は両教授の「一瞬の間」の意味を 全く考えることなく、 PhDへの道を勘違いのまま 歩き始めたのでした。(苦笑) それでは、またね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年12月13日 10時42分49秒
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