2004/04/18(日)23:53
あるおっちゃんの話
まず、久々の更新が重い話でごめんなさい。
ただなんとなく・・
書き留めておきたかった話です。
長くなります。楽しい話ご希望の方、読まないほうがいいよ。
そのおっちゃん、妹の同級生のお父さん。実家の近所に住む60過ぎのおっちゃんです。
その嫁、自分を身奇麗にするために働いてるような人、と言う噂。
娘、早々に嫁ぎ幸せに暮らしている。
息子、30過ぎても働きもせず・・・年上の子持ちの人と結婚・・働かず・・・
そのおっちゃん、私の父ちゃんの親友と呼べる人でした。
以外に思われるかもしれんのですが、過疎地、田舎、山の中・・・
近所づきあい、人間関係・・のどかなものとは限りません。
年の差3歳くらいやったかなぁ・・おっちゃんは父ちゃんの親友やった。このことの意味、大きいかもしれんと思う。
私が子供の頃のおっちゃんは、真面目で腕の良い左官で、明るく優しかった。厳しい父ちゃんと比べ、羨ましいって思ってた。
本を読むのが大好きで、夜は小説を読み漁っていたと、当時聞いた。
そうそう、A新聞の俳句投稿も数回載ったらしいわ。
その後私は故郷を離れ、大阪へ。ほとんど接触のないまま時は過ぎた。
噂には入院したとか聞いてたけど・・
言葉が差別に当たるとして、今は使えないけれども、「木の芽の芽吹く頃に出る病気」だったらしい。
遺伝性のものらしい。おっちゃんの母親もそうだった。
治療のかいあって、治ったと聞いた。心底ホッとした。
あの、賢かったおっちゃんが訳のわからない事で後ろ指指されてるのを聞くのは辛かったから。
それから10年も過ぎた頃だろうか・・・
父ちゃんが死んだ。癌だった。
親友だったおっちゃんは悲しみ、火葬場で酔っぱらった。
それでも、父ちゃんの最後の始末を「オレがやる!」と強く言ってしてくれた。
癌で亡くなった人の、癌であった部分は、火葬しても焼けない。そのまま残ってしまう。最後の始末は、かなりツライもんになるんよ。
それを、そのおっちゃんは、「とうちゃんの始末はオレでなきゃ、あかん」ってやってくれた。
その気持ち、すごく嬉しかった。
それからまた10年、おっちゃんのよくない噂を、色々と母ちゃんから聞いていた。
酒に溺れて、人の家に勝手に入って酒を盗んでは飲んだくれてると・・・
哀しかったぁ・・・あのおっちゃんが、「アイツがいつ来るかわからん。鍵閉めとけ」と言われてるなんて・・・
おっちゃん、きっとまた、病気がでちゃったんや。私はそう思う。
そのおっちゃんが、死んだ。
前日の夜から行方がわからんようになって、警察に届けてた。
夜になり、山だからモヤが出て探されへんし、朝にまた・・って事に。
翌朝・・コンクリートで固められた側溝に頭から落ちて死んでいるおっちゃんを警察が発見したらしい。
足取りを追ってみると・・・
飲み屋が留守だったのをいい事に、ウィスキーのボトルを勝手に一本飲んだ。
その後、店の外で寝ているところを店主が発見。
が、商売物を飲まれて気ィ悪いし、放って置いた。その後、姿が消えた。
目を覚ましたおっちゃんは、無断で向かいの家のおばちゃんの自転車に乗ったらしい。
で、そのまんま・・・・側溝に落ちた
母ちゃんは言う・・
「最後は酒に溺れて、迷惑がられてあんな死に方して・・・」
私は思う。おっちゃん、つらかったんやろうなぁ・・・って。
おっちゃんの嫁が、以前迷惑をかけるおっちゃんの事を愚痴っていたらしい
「ほんまなぁ、あんなんやったら、はよ死んでくれたらエエのに」って。
このおばちゃん、「葬式やで片付けの手伝いに・・」って行った近所の人が「どっから手ぇつけてええやら・・・」って帰ってくるほど家の中散らかしていたらしい・・台所洗剤や、スポンジさえなかったそうな。
おっちゃん・・・どんな思いでこの数十年暮らしていたんやろ。
綺麗に着飾った嫁と、散らかり放題の家。
大事に育てたはずの、怠け者の息子と、嫁、連れ子。
親友だった、むっちゃ健康体やと思っていた父ちゃんの死・・・
バブル崩壊も多少の影響はあったかもしれん。
働こうにも仕事は減る。年はとる。息子は自立しようともしない。
家は安らげない・・・
唯一愚痴ったり、話し合える親友は先立っていない。
もともと気持ちの弱い、病気を持っているおっちゃんは、その重みに耐えられんかったんやろう。。。人間が壊れてしまったんじゃないかと思う。。
想像だけど。
なぁ・・
年を重ねたら、人間てこうも変るものなんやろうか?
読書家で、優しくて、笑顔が印象的やった、あのおっちゃんでさえこうなったぁ・・
つらぁてしゃ~~ないねん。。。
親戚のおばちゃんも、だんなさんが死んだら、むっちゃ気ままになてしまって、人気者からうっとうしがられる存在になったぁ。
私は、将来私に何か不足の事態が降りかかっても、冷静で、自分を見失わずにいられるやろうか。
あの、おっちゃんでさえ、ああなってしまった。
嫁いだ娘さえ、悲しそうな顔一つしないまま、葬式は終わったらしい。
なんかね・・・
すごくいろんな事を考えさせられました。
おっちゃんが今、天国で父ちゃんと再開し、美味しいお酒を飲めていることを心から祈ります。