魔法瓶の中の夏休み
魔法瓶の中の夏休みセブンイレブンでみぞれを買う。氷りイチゴだ。夏休みの味を思い出す。そういえば、いちばんよく買っていたアイスキャンディーは、1本5円の、赤城のアイスベターだ。包装紙も何もなく、裸のままで、店先にある簡易冷蔵庫の中にいれて売っていた。それは、大きな魔法瓶のようなモノだった。「おばさん、アイスベターちょうだい!」というと、「きんちゃんは、アイスベターがすきだねえ」といいながら、駄菓子屋のおばさんが、魔法瓶のお鍋のふたのようなモノをポンとはずしてくれた。中をのぞくと、ヒンヤリとした空気が顔に当たった。_________あまりの蒸し暑さに、目を覚ました。夜中の4時でまだくらい。トイレにいこうと、ふすまを開ける。廊下の真ん中に、あの駄菓子屋の、大きな魔法瓶がおいてあった。ふたをポンと取り、中をのぞくと、真っ青な空と、まっ白な入道雲が見えた。子供のころの、夏休みがそこにあった。