世界遺産の島、端島(軍艦島)へ♪
今年の7月に、日本がユネスコ世界遺産委員会に申請していた「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が、無事に世界遺産として登録されました。私の住んでいる鹿児島でも、旧集成館、寺山炭窯跡、関吉の疎水溝の3つが認定されました。今回指定された世界遺産の中で、以前から1度行ってみたかった場所の一つが、長崎県の端島。通称「軍艦島」です。というのも、大好きな映画、007の「スカイフォール」に出てくる架空の都市、「デッド・シティ」のモデルになった島だと聞いていたから。ごく最近では、現在封切り中の「進撃の巨人」のロケが、実際に行われたそうですが、世界遺産登録後はロケ地として実際に使用することはできなくなるらしいです。ということで、あれこれ調べてみて、鹿児島からバスツァーが企画されているのを知り、それを利用して行くことにしたんです。行く前に、色々と軍艦島ツァーを調べて知ったのですが、年間365日のうち、上陸できる日は約100日しかないそうでなんですよね。今回の日程では、ちょうど台風15号が近づいており、一抹の不安を抱えつつ、向かいました。今回私たちが利用したのは、軍艦島コンシェルジュという会社です。この船に乗って、いざ軍艦島へ!!本当にいいお天気だったので、行くときはデッキ席に座りました。軍艦島に向かう途中も、ガイドの方が色々な説明をしてくださいます。そして、こんな風に徐々に軍艦島が近づいてきました。軍艦島は、長崎港から南西に約19kmの沖合に位置する島で、南北に約480m、東西に焼く160m、周囲約1,200m、面積約63,000平方メートルという小さな海底炭坑の島です。当初は草木のない水成岩の瀬にすぎなかった小さな島は、採掘技術の発達とともに、周りを6回に渡って埋め立てる形で護岸堤防の拡張を繰り返し、現在の形になったそうです。岸壁が島全体を囲い、高層鉄筋アパートが立ち並ぶその外観が軍艦「土佐」に似ていることから、「軍艦島」と呼ばれるようになったそうです。海の中にぽっかりと浮かぶ鉄筋コンクリートの建物は、とても異質な感じがします。この付近は、ちょうど島へ上陸するための桟橋がある地点です。左奥の建物が、多分、30号棟だと思うのですが、1916年に建てられた日本最古の7階建て鉄筋コンクリート造りの高層アパートだそうです。周辺をぐるっと回って、島の様子を見学させてくれます。山の一番高いところにある居住棟は、炭坑の幹部職員用の社宅で、そこはお風呂もついていたそうです。この狭い島の中に、小中学校、病院、映画館やパチンコ店などもあったそうです。この島では、飲料水と電気の確保がとても重要な問題であり、飲料水は当初は海水を蒸留していたそうですが、のちに給水船で運ばれるようになり、高台の貯水槽に蓄えられ、数カ所の共同水栓から配給されるようになったそうです。この狭い島の中で、最盛期には約5,300人が生活していたというのですから、驚きです。1891年から1974年の閉山まで、約1,570万トンもの石炭が採掘され、採掘作業は海面下1,000m以上の地点まで及んでたそうで、気温30度、湿度90%という悪条件下での仕事の過酷さは想像できません。そんな採掘作業は、エネルギー需要の変化に伴って減少し、1974年1月に閉山し、同年4月に無人島になったそうです。本来なら、上陸しての見学ができるはずでしたが、激しい波のために、今回は上陸することは叶いませんでしたが、周囲を見るだけでも、日本の発展のために寄与した歴史の一部を感じることができました。今回、世界遺産として端島全体が登録されたわけではないそうで、鉄筋コンクリートの建物たちの劣化と崩落が激しくなっており、建物の保存のための経費獲得が難しいということを、ガイドのかたが話してらっしゃいました。実際に数年前の画像と最近の画像の比較も紹介されましたが、外壁部分の崩落による変化が一目瞭然です。日本の近代化を支えたこれらの資産を、後生にしっかりと伝えるためにどうすべきかを、考えなければならないと感じます。また機会を作って、次回は是非、上陸してより近くで日本の歴史を体感したいと思います。