2005/07/29(金)03:21
ずっと昔の話。
ある人に出遭った時のインスピレーションから作った物語です。
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首にスカーフを巻くことが好きだった彼女は、海のそばの切り立った崖の連なった海岸線のそばに住んでいた。
切り立った岩場だけれど、その崖から少し離れるとそこには緑溢れる大地が広がり、たくさんの放牧された羊やヤギがのどかに草を食べていたりした。豊かな大地は放牧とたくさんの畑を人間に提供していた。
けれど、その土地は豊かであるが故にたくさんの支配者が訪れ、そこに住む人々は多くの支配者の交代に怯えていた。その集落のあまり豊かではない家で暮らしていた彼女だった。ある時彼女の集落もその争いに飲み込まれ、愛する人や家族を失っていく。
なんとか生き残った彼女は、その焼かれた家々の煙を呆然と眺めながら、レジスタンスに入る決意をするのだった。小さなレジスタンスのリーダー。それはあまりにも過酷で、味方の裏切り、敵襲、取り締まり、それらの様々な出来事の中で、生と死の狭間を駆け抜けながら彼女は人を信じるという事に堅く心を閉ざしてしまう。その目はただただ未来だけを悲しく見詰めていた。
様々な戦いをくぐり抜け、強い精神力で生き抜いてきた彼女だったが、ある大掛かりな取り締まりで捕まってしまい、海を臨む丘の上で張り付けにされてしまう。そして最後まで命乞いをしなかったという理由で、そのまま唇を噛み締めて一生を終える。。
そんな彼女の見詰めた未来とは一体なんだったのか?
世の中をまっすぐに見ることのできなくなってしまった瞳の奥には何が映っていたのか。。?
僕は勝手に想像してこう思う。
彼女の思い、それは狂おしいまでの生への執着ではないだろうか。人はなぜ愛し、憎み、裏ぎり、怒るのか。。そこには真実はない。人の心はあまりにも儚い。それはまるで風前に揺れるろうそくの炎のように捉えられない。
けれど、そこに生きていること、死なずに生きているということ。生として存在していることだけが揺るぎ無い真実なのだ。そう彼女にとって。
そんな彼女の待ち望む未来とは。。揺るぎ無い信念を持ち、その信念のためには命をも惜しまない人達、大人や子ども。その信念を貫く優しさと強さを持ち、限りなく生を大切にしながらも死を恐れない人々。
そして彼等の信念とは生とは分かち合うものであるということ。その生にも死にも理由があり、使命があるという事。そしてそれ以外は何もない。。
彼女の魂が深く癒されます様に。。