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カテゴリ:オーストラリアの文化
Sydneyの西42km、シドニー郊外でも最も南西側にCampbelltown(キャンベルタウン)という地域があり、その中の一角にMacquarie Links(マッコーリー・リンクス)という地区があります。
ここはいわゆるgated community(閉ざされたコミュニティ)で、周囲とは塀/フェンスで区切られ、敷地内はガードマン付きの厳重な警備に守られています。頻発する(と感じられる)犯罪から身を守るために町ごと殻に閉じこもっているわけですが、最初のgated communityはやっぱりというかアメリカで誕生し、現在アメリカの全人口の12%がそうしたcommunityの中に住んでいるとも言われます(※)。オーストラリアにはこのMacquarie Linksの他、Central Coast(セントラル・コースト)にあるPacific Lakes Estate(パシフィック・レイクス・エステイト)や同じくSydney郊外のCherrybrook(チェリー・ブルック)の中の一角The Manor(ザ・マノア??)と呼ばれる地区が、SydneyがあるNSW州内ではよく知られています。オーストラリアのgated communityはよく私営ゴルフ場がセットになっていることが多いです。余談ですけど。 ※はニュース記事より。出典不明。1997年のある調査ではおよそ800万人がgated community内で生活しているという報告があります。
Macquarie Linksがその門戸を閉じたのは2002年で、実際、2005年に隣接するMacquarie Fields(マッコーリー・フィールズ)地区で暴動事件(riot)が起きています。Sydneyの西側は多くの移民が住んでいることもあり、文化、人種、言語が混ざり合って独特の雰囲気を醸し出しており、治安もよいとは言えません。Campbelltownも英語の次に多く話される言語はアラビア語とスペイン語です。ただ、犯罪の発生率(crime rate)は1990-2000年代にかけて減少傾向にあり、gated communityの住人の印象とは一致していません。結局のところ彼らを駆り立てているのは実際に犯罪にあった経験ではなく、恐怖心であるという意見もあります。またgated communityの外と中の犯罪発生率には特に差がないという統計がいくつかあり、さらに門戸を閉ざすことで外部社会と物理的、政治的にも孤立し、子供にも歪んだ価値観を与えるとしてその弊害の方が多く指摘されています。しかしcommunityの中の人々にとってはすべてその逆が真実で、とにかく安心であると、犯罪はほとんどなくなったし子供を育てるのにも最適であると、外部との接触も保たれていると口をそろえます。住んでいる人がそう言っているのだからあんまり干渉しなくてもいいじゃん、という意見も一部にはあります。 世界的にみるとオーストラリアにあるgated communityの数は実は少なく、イギリス・アメリカの他、発展途上国など貧富の差が激しく犯罪が多発している国で、富裕層を保護するために、または富裕層が自らこのようなcommunityを設けている場合が多く見られます。
僕個人はまるで自分が隔離されているようでこのような所に住みたいとは思いませんが、国によってはそうせざるをえない事情があることもわかります。長く住むに従ってまたオーストラリアの違う側面を見つけた気がします。
参考(英語ですが)
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(2015.01.08 14:49:30)
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