2012/02/13(月)08:37
はじまり:はじまりのひと 7
はじまりのひと 7
~運命~
『それほど珍しいことじゃない、普段の生活にもあることだよ』
みんなの顔をぐるりとみまわして、肩をすくめます。
『私とあなたが出会ったことも引き寄せなのよ?』
ルナがクローディアににっこり微笑みます。
ルナは、陣痛に苦しんでいました。
ちょうど、シキが通りかかり、この屋敷へと案内してくれました。
そこには、ちょうど出産を終えたばかりのクローディアがいたものだから、
すぐにお産の準備にとりかかることができました。
生まれたばかりの赤ん坊も、出産を終えたばかりのルナも
安心して過ごすことができました。
それから、ちょうどルナは、『コンタクティ』という役割を
引き受けてくれそうな人を探していました。
クローディアたちは、国から出てあまり人目につくことが
できません。
『その上、君たちには素質がある』
これを人は縁と呼んだり、巡り合わせと呼んだりするのだろうと
説明します。
『それは、運命と呼ばれるものですか?』
『運命と呼ばれたり、不思議な糸と呼ばれたりもするね』
『けれども、ここで君たちは我々の誘いを断ってもいいんだ』
ロイの言葉に、息を呑むような雰囲気が広がります。
決して、強制でもなく、本人の選択を曲げるようなことは
彼らの世界ではご法度なのだそうです。
『人々の選択に我々は介入することはできないし、命令することもできない』
『できるのは、あなたたちを信じ、それぞれの選択した行く末を愛をもって見守ること』
『決断は、あなた方がしなければならないのだよ』
つづく