☆おまけ☆幸福のひと
☆おまけ☆幸福のひと ~未来~ 強く明るく輝く太陽のもと、青く銀の光がちらつく海を船が渡ります。 その船の一室で、ルエラとリクは娘のミクをあやしていました。 つかまりだちができるようになり、はいはいは、もうお手のもの。 ちっともじっとしてないで、口の中になんでも物をいれてしまいます。 二人は笑ったり、青くなったりしながらミクの後をついてまわります。 リクの腕の中で暴れまわるミクの頬をつつきながら、ルエラが尋ねました。 「そういえば、ミクって名前はどこからもってきたの?」 リクは娘が生まれる前、名前をつけるのに大変頭を悩ませていました。 うんうんうなる夫をみて、本当に決まるのかと不安になったくらいです。 リクは、にっこり笑ってルエラを書斎に導きました。 相変わらず暴れるミクを抱いたまま、書斎の本棚から一冊の本をとりだします。 片手でパラパラめくって、ある単語に人差し指をおきました。 異国の言葉の横に、ルエラ達の話す言葉が載っています。 『未来(みらい)』 「この言葉は、別の読み方もできるんだ」 知り合いの商人に教えてもらったのだと笑います。 「『未来』と書いて、ミクと呼ぶそうだよ?」 「みらい…未来…ミク…」 何度も口の中で繰り返して、ルエラは笑います。 「良い名前だわ」 当然だとばかりに笑い、リクは娘の額にキスをします。 動き回りたいミクは、離してくれとばかりに、父の額を小さな手でぺしりと叩きました。 おわり************************2部終了です。ご愛読ありがとうございました(^^)まだまだ暑い日が続きますが、ご自愛くださいませ。