【番外編】幸福のひと:ルエラとリク 7
【番外編】幸福のひと:ルエラとリク7 ~夢の終わり~ 「あとは、ごらんのとおり」 古く懐かしい記憶から、目が覚めたようにリクはルエラに笑います。 「今はこうして、僕の隣に君がいる」 「なんだか恥ずかしいわ」 当時の自分を思い返すと、顔から火がでそうです。 まわりの心配をよそに、自分はなんとぼんやりと日々を 過ごしてきたことでしょうか。 「あの時のリク様は見るに忍びなかった」 すぐそばで乗組員も笑います。 当時、そばでリクを励まし続け何かと助言してくれたのも この年かさの乗組員でした。 「もう少し、しっかりしていたらよかったんだけど」 やっぱり、頬に手をあてたままのルエラに微笑みます。 「僕はこれでよかったと思う」 そうでなければ、自分のことを振りかえることなど、 リクはしなかったように思えるからです。 ルエラの冷たい目と言葉でいっぺんに目が覚めました。 「それに、君がぼんやり屋さんじゃなかったら、他の人と 結婚していたかもしれないしね」 妻の額をつついて笑う夫に、ルエラはふくれっつらを しました。 それでも、ここでこうして笑えているのだから、 やっぱりこれでよかったのだと思います。 それでも、こうも言われっぱなしでは悔しいので、 ひとつ言い返してやることにしました。 「私がぼんやり屋さんじゃなくっても、あなたの隣で笑っていたわ」 絶対よと、つんとすまして言ったルエラに、きょとんとした表情を 浮かべます。 その様子を見て、年かさの乗組員は声をあげて笑いました。 リクとルエラは顔を見合せて、同時にふきだします。 空高くどこまでも広がる青空に、三人分の笑い声が 響き渡りました。 おわり **************************短編が、続くようにしてこの後にもあります。順調にアップできると思います~。