☆おまけ☆桃花幻想記 50
☆おまけ☆桃花幻想記 50 ~花嫁~リンと通鷹が結婚すると宣言した時、桃源郷の面々は、 やっとかという風に皆一様にため息をつきました。 「結婚式って言っても、本当に式だけよね」 ラスが、リンの花嫁衣裳を身にまとうのを手伝いながら 笑います。 リンは、頬を染めて恥ずかしそうにうつむきました。 通鷹はリンの家に住むようになり、竹林の庵は仕事場として残し、 リンの家とつないでしまいました。 もともと仲の良い二人でしたが、二人の距離はぐっと縮まり、それはそれは幸せそうなカップルとなりました。 「さあ、準備ができたわよ。花嫁さん」 ラスは、にっこり笑って、リンにヴェールをかぶせました。 「ありがとう、ラス」 ラスの手を借りて立ち上がり、扉の方へと向かいます。 ラスが扉を開けると、タキシード姿の通鷹が微笑んで、 リンに手を差し出しました。 「綺麗ですよ、リン」 嬉しそうに微笑んで、通鷹の手を取ります。 そのまま、腕を組んで広場で待つみんなのもとへと 歩いていきました。 リンの歩幅に合わせてゆっくり歩く通鷹に、リンが 話しかけます。 「ずいぶん前に話してくれた、鬼ヶ島の話…あれってどうなったの?」 突然の話にきょとんとしつつも、記憶を探って話しはじめます。 「あれは、鬼ヶ島の頭領と初音が結婚するんですよ。」 「それで?」 「鬼と呼ばれる人たちは、本当は髪や肌の色が違うだけの 同じ人たちで…」 「それから?」 「それから…」 そこまで、話して通鷹はリンの方をみます。 好奇心いっぱいといった風に、瞳を輝かせているリンに苦笑して、 花嫁の額に口付けました。 「帰ってからにしましょうか」 リンは、あ、という顔をしてから幸せそうに微笑みます。 拍手喝さいの声が聞こえてきて、太陽の光り輝く外へと通鷹と二人で足を踏み出します。 リンはまぶしそうに目を細めました。 おわり今度こそおわりです。ご愛読ありがとうございました(^^)桃源郷のことを知ったのは、小さいころに絵本で読みました。中学校、高校で、本や学校の教科書で読んだのをきっかけに、中国がものすごく好きになりました。好きが高じて、大学生の時に、中国語サークルに入り、一ヶ月ほど中国に行ってきました。ほとんど観光のようなものでしたが、天津大学を拠点にいろんなところに連れて行ってもらいました。この頃気持ちが盛り上がって、本格的に留学しようかと思いましたが、帰国した途端ぱったりと興味を失ったという^^;感慨深いです。