祠 17
祠 17 ~エピローグ~その後、橘渚は楠家に居候し、島の研究所の助手として 働き始めました。 彼女が独自に導き出した論文は、あらゆる研究所で 雑誌に掲載され、世間を賑わしました。 「それで?航さんとはどうなったの?」 暗闇の中で、さわさと音を立てる竹林のざわめきに 混じって、一人の女性の声が響きました。 月明かりに、ぼんやりと銀の髪と翠の瞳が輝きます。 「風は寝てしまいましたよ」 苦笑する通鷹に微笑んで、リンは風の額にキスを しました。 通鷹は、もう一度風の布団を整えて、さっと 立ち上がります。 ふたりで仲良くならんで、風の寝室をでました。 リンは、通鷹の肩にもたれかかって、もう一度 問いかけます。 「それで?二人はどうなったの?」 穏やかに微笑んで、リンの額に口付けます。 それから、そのままリンの耳元で小さく囁きました。 「もちろん、二人は結婚しましたよ」 「ハッピーエンドね?」 「めでたし、めでたしです」 さざ波のような笑い声が響いた後、ほどなくして庵の明かりは 消えました。 月明かりの夜に風が吹き、竹林のなかを駆け抜けます。 さわさわと大きく竹がしなり、緑の葉に銀の光が きらめいて、まるで蒼い海のようでした。 おわり*****************************ご愛読ありがとうございました(^^)