祠:青鷺 14
祠:青鷺 14 ~青鷺~ 大野の寺の境内で、信はのんびり散歩をしていました。 今まで、仏教やお寺の教えに興味はあったものの、 それほど熱心に関わったことはありませんでした。 息子二人など、すっかり夢中になってしまい、次男にいたっては、 将来、僧侶になると今から張り切っているのです。 不思議な出会いに導かれてこの島に住むようになり、 お寺の行事にも参加する内に、自分の体の奥にたまっていた垢が 流れ去っていくように感じました。 それと同時に、お寺との関わりが自分にとって、 とても深い縁をもったものだということがわかるように なってきました。 大野に教えてもらいながら、仏教や島のことを学びます。 そうやって一緒に過ごす内に、前世や輪廻についても興味を 持つようになりました。 「どこかで、お会いしたことがあるんでしょうな」 お酒を飲まなくなっても赤ら顔はかわりません。 人の良さそうな笑い顔に、自然と信の頬も緩みます。 「その時もこうやって、お世話になったんでしょうか」 「逆かもしれませんよ」 そんなことを話しながら、散歩をして、小さな沼にでました。 そこには1羽の鳥がゆったりと歩いています。 病院で見た鳥と同じ鳥でした。 「鷺…でしたっけ」 「青鷺ですな」 信は、鷺はみんな白いものだと思っていました。 少しくすんだ羽の色は、とても青いといえるものでは ありませんでしたが、好ましく思ったのを覚えています。 目を細めて青鷺が沼のなかをつついている様子を眺めていると、 信のおなかが、ぐうと鳴りました。 「何か食べていきますか」 「では、遠慮なく」 沼をあとにして、二人はもと来た道を戻っていきました。 青鷺は、大野と信のことなど気にもとめず、 のんびりと沼の中を歩き回り、大きく翼をはばたかせました。 おわり**************************************ご愛読ありがとうございましたvアオサギWikipediaよりにほんブログ村 ↑応援ありがとうございますv今日も良い一日を!Happy&Lovev