☆おまけ☆『竜と人魚』
☆おまけ☆『竜と人魚』「そういえば…」爽やかな風を受けて、黄金の龍が不安げな声をだしました。リラの行く手を先導する天狗と背中に乗っている人魚のラスがそろって、何かと聞きます。「ここ、空の上よね?」「そうだけど?」「それが何か?」きょとんとした天狗と人魚がリラに意識を向けます。「ラスは大丈夫なの?」「何が?」ラスにはリラが何を言いたいのかさっぱりわかりません。龍の背を撫でて続きを促すと、リラは迷うように口を開きました。「ラスは平気なの?」リラの言葉にやっと納得がいったという風にラスは笑い声をあげました。天狗は、なんのことやらと、やっぱりきょとんとしています。「大丈夫よ」そう声がして、龍の背をもぞもぞ動く気配がしました。ラスが動くたびにくすぐったくて、思わず笑みがこぼれます。その感触がおもしろいなと目元を和ませていると、目の前ににょきっと白い足が現れました。「ほら。私、陸でも暮らせるようになったのよ」白いふわりとしたスカートから足が二本、のびています。驚いている龍を眺めて、天狗が笑います。真昼の白く輝く太陽が青い空を明るく照らしています。白い波のような雲をかきわけて、進んでいくと、ほんのりと甘い桃の香りがただよいはじめました。☆おまけ☆『竜と人魚』おわり******************************************ご愛読ありがとうございました(^^)おまけも書けて満足ですv