文化の日
逝く秋に彼の手帳を開きけり(ゆくあきにかれのてちょうをひらきけり)ずっと開けずにいた彼の抽斗を開けた黒革の手帳と茶色のペンケースに万年筆が二本と腕時計が入っていた彼の癖で小さい文字がびっしり書き込まれて中間はほとんど書かれていないが6月頃からびっしりと文字が入りテレビを見ながらなのでしょうその時の政情までも詳しく書かれていて8月に亡くなる6日前まで書かれていたもう手が震えていて殆ど読めない状態肺癌だったので呼吸の苦しさは相当なものだったようだもっと分かってあげればよかったと読めない文字を追いながら涙が溢れてくる我慢強い人だったのであまり苦しさを見せず私たちが行くとにこやかに応対していた彼…今年の八月に十三回忌を終えました