悩ましいアイピース(接眼レンズ)選び
私が子供の頃、アイピースは望遠鏡本体に2個程度付属して来るのが普通で、 当然、倍率は2種類。これであらゆる天体を眺めていたものだ。 これにバローレンズという焦点距離を伸ばすためのレンズを加えても、倍率は 4種類。 当時の接眼レンズは、安いものではラムスデン式。普及機にはハイゲンや ミッテンゼー・ハイゲンなどが付属してきたが、さらに高級機となると、 ケルナ―、エルフレ、オルソなどが付属してきたが、このアイピースを後から 買うにも、子供の小遣いでは滅多に買えた物ではなかった。 最近では、コストダウンが進み、驚くほど安価に、それなりのアイピースを 入手することが出来るようになった一方、望遠鏡本体が買えるほどの高級 アイピースもあり、選択肢は爆発的に増えた。 これは、ハレーすい星などのイベントの時だけ天体望遠鏡が売れる、ニッチな 市場の日本に較べ、空の暗い地域も多く、より星空が身近な米国などにおいて、 眼視観望派が着実に増え、比較的安価で良質なシュミットカセグレンなどが普及 したことに伴い、眼視では命とも言えるアイピースが充実したこともある。 この時期、日本のマニアは、写真撮影に走り、国産のアイピースのラインナップ はさほど増えてはいなかった。 21世紀に入ってからは、我々アポロ世代が老眼に鞭打ち、眼視に戻ったことも あり、眼視用の望遠鏡も充実してきた。 国産の名工と言われる某光学製品も復刻され、また、海外製も形式によっては 量産しやすいため、良質な製品も多く選べるようになった。 当然、ちょっと気になるとネットなどでポチっとしてしまうわけで、我が家の アイピースも100を超えている。 こうなると、一晩の観望で全部試すことなんて、まず出来ない。 1本の鏡筒につき、数回に分けて相性の良いアイピースを選び出し、それらに 集中して観望することになる。悩ましくも楽しいものである。 PENTAX_XP_24 posted by (C)kirk1701