2018/02/04(日)05:27
師匠の師匠
◆以前、稽古生に「ここは何流ですか?」と尋ねられたことがある。
15歳で入門した最初の道場で、私も同じことを先輩に尋ねた。
何しろあの道場には「流派」を示す表記がどこにもなかったのだ。
初めて昇級した時、免状に「正統沖縄(琉球?)空手道」と書かれて
おり、さらに疑問が深まった記憶がある。
やがて、発祥の明確な大流派に移り、さらに30歳を過ぎてこれまた
発祥が明確な(=マスコミで散々宣伝されていたから)い移ると、
「流派」というものに対する拘りが全くなくなっていた。
本気で稽古し、ガチンコの組手や大会を経験すると、つまるところ、
何流だろうが「効く技は効く」という当たり前のことに気づく。
こうしてうちの稽古では注釈をつけたうえで、三つの流派の技術を
取捨選択して紹介している次第。
目指す境地は明快なので、20年やってきて混乱はない。
これが流派の伝統(=型or形)の継承が目的になると、家系図の
ような自流の出自をやたらと気にすることになるが、その点、わが
道場は私が退けば終わり。
メンバーにも自身の空手に対する価値観によって、いつでも自由に
行動するように言っているので、気楽なものである。
それでも、数年前に最初の師が早逝した時を境に、自分が習った
空手の素性をどうしても知りたくなった。
数年がかりで、当時の知己などを頼って調べてみると・・・。
最初の師は、空手(唐手)が本土に紹介された草創期に「正統」と
された著名な空手家で、その方自身が「空手に流派なし」と頑なに
貫いた方だったことが分かった。
当然、わが師始め、幾人かの彼のお弟子さんたちは、流派を名乗らず、
〇〇会とするだけで指導を続けてこられたらしい。
その中には私も昔からよく知る大きな団体もあった。
調べてみれば、一世紀も前に真実を看破し、弟子たちに求めるべき
方向性を指し示された大師匠に感謝!